目次
・「お通し食べ放題」や「立ち飲み席ドリンク半額サービス」でお得感を演出
・食材原価を抑えるために仕入れを工夫
・仕入れのメリットを活かしつつ、「料理」で顧客満足度を追求
・ドリンクをしっかり飲んでもらい利益を取る
・家賃や人件費にはしっかり投資して、集客や満足度につなぐ
「お通し食べ放題」や「立ち飲み席ドリンク半額サービス」でお得感を演出
2021年7月、神奈川・武蔵小杉駅から徒歩1分の飲み屋街「センターロード小杉」内にオープンした「炭火串焼と旬野菜 きわみ」。朝締めのモツが売りの居酒屋で、8坪の小規模な店内に20席と6席の立ち飲みスペースを設けている。
12時から深夜3時までの通し営業で、近隣住民や周辺企業に勤務する会社員など20~60代の幅広い層を獲得。最高月商960万円、営業利益率20%という高水準を維持し、しっかり利益を出しながら集客もできる理想的なビジネスモデルを確立している。
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食材原価を抑えるために仕入れを工夫
利益を生み出すポイントの一つは、売りであるモツの仕入れ方法にある。以前は横浜の食肉市場の卸売業者を通じて買い付けを行っていたが、2023年4月にその卸売業者を買収。同店を運営する株式会社KIWAMIとは別会社を立ち上げ、そこから直接仕入れるシステムを構築した。
両社の代表取締役を務める阿波耕平氏はこう語る。「食肉市場に入荷されるモツの量は日によってバラバラで、基本的に少ない時期に合わせて値付けや各店舗に卸す量が設定されています。そのため入荷量が多い時期は入荷したモツの半分以上を廃棄することもあります。逆に言うと、半分捨てても利益が出るような値付けがされているということです。今回、卸売業者を買収したことで、これまで以上に原価を抑えて入荷できる構造になりました。今後、店舗を増やしていく上でメリットになるはずです」。
また、野菜については、八ヶ岳(長野県)に自家農園を所有し、そこから野菜を仕入れることで原価を抑えることに成功している。
仕入れのメリットを活かしつつ、「料理」で顧客満足度を追求
こうして安く大量に仕入れた新鮮なモツを上手く活用しているのが、お通しの「モツ煮」(462円)。食べ放題にすることで来店客の満足度アップにつなげている。「一度に10~12kgと大量に煮込むため、うま味が強くおいしいんです。原価率は22%でお通しとしては高めですが、自信のある料理を食べ放題で提供すれば口コミが広がると考えました」と阿波氏は狙いを語る。
モツ焼きも職人が1本1本丁寧に串打ちして炭で焼くなど手作りにこだわり、「おまかせ!きわみ串盛り」(5本858円)はメニュー表では「5本」とうたっているが、実際は6本を出してお得感を演出。原価率34%と比較的高めだがそのぶん満足度も高く、モツ煮と合わせて集客の要因の一つとなっている。
一方、一番人気の「モツのお刺身」(4点盛り1,078円、6点盛り1,408円)は高単価かつ利益も取れるメニューだ。「一番売りたい看板メニューこそ一番原価率の低い商品であるべき」(阿波氏)と考え、4点盛りは原価率14%、6点盛りは原価率16%に設定。
朝締めのモツを2時間かけて低温調理した自信作で、こちらも4点盛りは6点盛りに、6点盛りは7点盛りで提供することでお得感を出し、原価率は低くても満足度の高いメニューに仕上げている。
そのほか、自家農園のレタスを使った「レタス巻」(308円)も原価率21%と利益が取れて人気も高い商品。「モツ焼き以外はほとんどのメニューが原価率30%以下。モツの卸売を始めたので、モツ焼きも原価率23%まで下げることを目標にしています」と阿波氏は明かす。
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ドリンクをしっかり飲んでもらい利益を取る
お通し食べ放題と並ぶユニークな取り組みが、立ち飲み席は終日全ドリンク半額となるサービス。利益は少ないがファン獲得につながっており、入り口付近に人がいることで店がにぎわっている印象を与え集客に一役買っている。
また、ビールと並んで注文率が高く、原価率の低い「角ハイボール」と「レモンサワー」は2杯分のメガサイズがあることを必ず声掛け。これには「おかわりを待つ時間が短縮されるのでたくさん飲んでもらえる」(阿波氏)という意図があり、その結果1人3~4杯はドリンクの注文が入っており、利益アップにもつながっている。
物件や人材にはしっかり投資して、集客や満足度につなぐ
こうした取り組みで利益を創出する一方で、物件や人材にはしっかり投資することで集客につなげているのも特徴。「集客には立地が重要」(阿波氏)と考え、一等立地に店舗を構えており、家賃は坪5万円と高めだが、そのぶん集客力を高めることに成功した。
さらに重点を置いているのが接客で、「会社に利益を残すよりも人件費に還元したい」(阿波氏)という思いもあり人件費に投資。営業時間が長いことから以前は長時間になりがちだった労働時間を9時間のシフト制に短縮して休みを増やし、給与はそのまま、限られた時間で集中して生産性の高い業務を行うように促している。
また、冷蔵庫などの厨房機器はリースしておらず、初期投資をかけて毎月の支払いを抑えている。これにより、結果的に毎月、会社にしっかり利益が残るビジネスモデルを構築した。
こうしたモデル設計で、小規模店舗ながら1日平均100人を集客し営業利益20%を実現。現在の課題は、フードよりもドリンクの売上比率が高いこと。「売上の5割以上をフードで取ることで、もしドリンクの安い居酒屋が周辺にできても売りの料理で集客力を維持できるようにしておきたい」と阿波氏は語る。
2023年4月には横浜駅エリアに同じ業態の系列店がオープン。今後も同様のモデルで店舗展開していき、社員への暖簾分けも考えている。
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