2023/11/14 特集

必見!繁盛店「食堂かど。」2回転以上キープの術はズバリ、予約時間とメニュー

忘・新年会シーズンは、飲食店需要が高まり利益を期待できる大事な期間。少しでも多くの客を受け入れる、または客単価を上げることで1席が生みだす収益をアップさせたいところ。そこで、回転率と稼働率のよい繁盛店の事例を紹介。2TAPS社が運営する「食堂かど。」は、東京・三軒茶屋に10坪という狭い立地ながら月商900万超。どの時間帯も2回転以上させている。

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全時間帯が2回転以上!時間とメニューを駆使する繁盛店

酒場だけでは関われる人が限定されてしまう。子ども連れや妊婦さん、シニア層、お酒が呑めない人まで、多様な人々の“生活のワンシーン”で、ゆっくり過ごせる場所にしたいと、2020年春にオープンした「食堂かど。」。オープン時はコロナ禍でやむなく弁当販売に注力したものの、それが功を奏して料理のファンが増え、通常営業開始後、早々に人気店となった。

時間設定を駆使しメニュー数を厳選することで、昼夜ともに2回転以上を実現し、キープしているという。今回は回転率をあげるオペレーションにフォーカスして、話を伺った。

食堂かど。(東京・三軒茶屋)
東京都世田谷区太子堂4-26-6 ヴィラ三軒茶屋1F
https://r.gnavi.co.jp/8ef9t5pf0000/map/
ランチタイム 月~土曜日11:30~14:30
昼飲み 日曜日・祝日12:00〜15:00 ※定食の販売は無し
夜の部 17:30~22:00(金・土曜日は~23:00)
「人と人が繋がる酒場」を展開する2TAPSが、4店舗目の試みとして夜の時間帯以外も営業する店を2020年にオープン。ランチタイムは行列ができ、日曜日・祝日の昼飲みと夜の席は数週間前から予約で埋まる人気店で、毎日笑顔があふれている。

回転率アップのポイント
【ランチタイム】月~土曜日は定食で単価を上げ、滞在時間をできる限り短縮する
【昼飲みデー】 日曜日・祝日は昼飲みにチェンジ。客単価を上げて回転させる
【夜営業】   時間設定し、月〜木曜日は2回転、金・土曜日は3回転を目指す

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ランチから夜のシメパフェまで、1日最大7回転を実現!「CAFE&BAR FeRna」(東京・赤羽)

  • 晴れた日の昼は、暖かい日差しが降り注ぐ
  • 縁側に4席。2人客が向かいあう想定で、取り皿と箸、冬場はひざ掛けがセットされる

店があるのは東京・三軒茶屋の路地。まさに「かど」の10坪に、キッチンから座席まで無駄のないレイアウトが組まれている。席は4人テーブルが1つ,2人テーブルが1つ,2人カウンターが1つ、長カウンターに8席の計16席。カウンター奥の角にスタンディング利用も2人まで可能で、気候のよい日は外の縁側4席も活躍する。

  • 10坪全16席。スタンディング利用も2人まで可能
  • グループは4人席と2人席を付けて6人が最大

月~土曜日のランチタイムには営業30分前から行列ができると近隣でも評判。店の裏手ではテイクアウトの弁当も販売する。夜は金・土曜日の営業時間を長めに設定し、日曜日・祝日は定食ではなく昼飲みを展開するなど、限られた席数を効率よく回している。客層は圧倒的に若者が占めており、常連だけでなく新規も多数いるという。

予約の仕組みや混雑時の対応の秘けつを、店長の阿波尚輝氏に伺った。

【ランチタイム】月~土曜日は定食で単価を上げ、滞在時間をできる限り短縮する

通常のランチ営業は11時30分から。予約は受け付けていないため11時頃から客が外に並び始める。しばらくするとスタッフが現れ、先に注文を聞いていくのが回転率を上げる第1の策。オープン後、席につくときには”できたての定食が待っている”仕組みだ。

ある日のランチメニュー。看板「銀鮭イクラおろし」以外は、基本週替わり

ランチは全6種類。系列店「下北六角」でも人気の、大ぶりの鮭にいくらがたっぷりのった「銀鮭イクラおろし」は、実は「食堂かど。」が発祥で、ランチの定番として存在感を放つ。そのほかに肉メイン2種、魚メイン2種、肉と魚を合わせたわんぱくセット1種で構成。

価格帯は税込1,500円前後とランチにしてはやや高めだが、メインのおかずが大きく納得のクオリティーで、小鉢2種、漬け物、ご飯(おかわり自由)、汁物、ドリンク付きとボリュームもしっかり。メニューは週替わりで、ときには客から要望を聞き、過去のメニューを復活させることもあるという。ちょっとした会話がリピーターを増やすきっかけにつながっていく。

肉と魚を合わせたわんぱくセットが人気。取材当日は「鰆幽庵焼き&油淋鶏」(1,600円)

「ランチドリンクのカップを持ち帰りできるもの(写真右上)に変更してみたんです。すると行列する店頭の様子を見て、ドリンク片手に退店する人が増えて、回転数が上がりました」と阿波氏。ドリンクがわずかに残っていることで滞在時間が伸びる、というケースの改善となった。これらの対策により、ランチは多い時で3回転できる。

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プレオープン時から続くテイクアウトで、ランチ時の売上を増やす

「銀鱈の西京焼き弁当」(1,200円)。内容は毎日替わる

ランチと同様の時間帯に、店の裏手に別カウンターを設けてお弁当を販売する。店とは別のスタッフが朝から準備し、販売まで担当。オープン当初はご飯とおかずをセットにしたお弁当数種類(1,000円前後)のほか、鶏のから揚げやコロッケ、各種惣菜も販売して評判となり、認知度アップに貢献した。

コロナ禍があけて客層に変化がでたことで、炊き込みご飯4種とおかず4種(肉2、魚2)のセパレートタイプに変更。ご飯とおかずを選び、セットで1,000円に。内容は店舗メニューを踏襲しつつアレンジしている。

【まとめ】月~土曜日ランチタイム 5つの策
1.先に注文を取り、着席したらすぐに食べることができるサイクルを作る
2.メニューは定食6種に限定。仕込みしやすい、客の決断が早まる
3.小鉢をスタンバイ。のせれば配膳できるスタイル
4.ドリンクを持ち帰れるカップにする。自由に退席できる
5.テイクアウトで、ランチ需要の売上増

【昼飲みデー】日曜日・祝日は昼飲みにチェンジ。客単価を上げて回転させる

人気の3品とドリンク。手前が「肉焼売」(1,080円)、左奥が「黄金生姜とベーコンのポテトサラダ」(680円)、右が「イクラと焼鮭の親子おにぎり」(880円)、「珈琲アーモンドミルク酎ハイ」(770円)

日曜日・祝日は開店時間を12時と少し遅めにし、「昼飲みの営業スタイル」に変わる。ここは予約を受け付けており、滞在時間1時間半と固定して12時〜13時30分、13時30分〜15時の2回制で対応している。

  • 料理メニュー。厳選することで調理負担を軽減。料理のラストオーダーは1時間前
  • ドリンクメニュー。ドリンクのラストオーダーは30分前

昼飲みデーのメニューは夜と同じ。早出し、こだわり、刺身、おかず、推しあて、〆のカテゴリーに5種類前後、計30ほどに納めて調理負担を軽減し、オペレーションの効率を向上。

予約終了時間の1時間前にフード、30分前にドリンクのラストオーダーを行い、素早く料理を提供する。となると気が急いて居心地が心配になるが、スタッフのホスピタリティーでそうは感じさせない。一人客には「料理をハーフサイズにして2種類楽しむこともできますよ?」、数名の場合は「シュウマイの個数を人数に合わせますか?」など、客の気持ちに寄り添った接客が心象よく、注文数アップにも貢献する。

【まとめ】日曜日・祝日昼飲みデー 5つの策
1.営業3時間を2分割。予約は12時~13時30分、13時30分~15時の2回制
2.メニューは夜と同じ。仕込みの負担を軽減
3.メニュー数は計30ほどに納める。調理負担を軽減
4.ラストオーダー設定が早い。注文受付を前倒しし、料理を出し切る
5.13時30分で入れ替わることで確実に2回転する

【夜営業】時間設定し、月〜木曜日は2回転、金・土曜日は3回転を目指す

季節の料理と人気のドリンク。手前が「秋ハモと松茸の小鍋仕立て」(1,580円)、奥が「戻りカツオタタキ 葱油とニラの香味醤油」(1,380円)、中央が「長雲ソーダ割り」(880円)、右が「ざくろベリーサワー」(660円)

夜もほぼ予約で埋まり、週末は数週間前から空きが無くなる。月〜木曜日と日曜日・祝日は17時30分〜19時30分、19時30分〜21時30分の2回(2時間制)、金・土曜日は、17時30分〜19時30分、19時30分〜21時30分、21時30分〜23時(2時間制2回と1時間30分制1回)と、もう1回プラスして3回転。飛び込み入店はなかなか難しいが、空いている席があれば滞在時間を相談したうえで受け付けている。

メニューは刺身など入荷によって日々変わるものもあるが、大きくは月ごとにリニューアルし、季節感を出しながらリピーターも楽しめるよう工夫している。ただ、〆の「イクラと焼鮭の親子おにぎり」は定番として欠かさない。生の筋子からていねいに仕上げたイクラは、昼同様不動の人気だ。

【まとめ】夜営業 5つの策
1.月~木曜日、日曜日・祝日は2分割。予約は2時間制で2回転
2.金、土曜日は3分割。予約は2時間制×2、1.5時間制×1で3回転を目指す
3.空いている席がある日は滞在時間を相談して受け付ける
4.メニューは月ごとガラッと替える。季節感を出しつつリピーターにも対応
5.不動の人気を誇る看板料理は欠かさない

居心地とお腹いっぱい満たされる喜びが、人気の継続に

カウンター席のすぐ目の前で盛り付けされる。臨場感とスタッフとの距離が近いことも楽しさの一つ

「席が埋まって入店できないお客様には、近隣の系列店『三茶呑場マルコ』などに電話をして、空いていれば紹介しています」と阿波氏。それをきっかけに2TAPS社運営の店をはしごするファンも増えたとか。

見るからにおいしそうなランチの定食や、イラストレーターのニシクボサユリ氏とコラボしたグラスなど、写真を撮りたいと思わせる内容がそこかしこに。客のInstagram投稿を見て新規顧客が訪れることもあり、店にあるすべてが宣伝材料になっている。

ニシクボサユリ氏がデザインするグラス。”かどからのぞき見する子どもたち”というストーリーもかわいらしい。

店を効率よく回転させるために、何よりもスタッフ間の連携を大事にしているという。人が足りないときにはアルバイト含め系列店のスタッフがヘルプし合い、その中で適性を見極め、担当店や配置を変更することもある。

接客について聞くと「目で見るだけでなく店内の音を聞くことも大事。箸が落ちた、グラスの氷の音が聞こえるからおかわりが近い、など。耳も働かせることでお客様の要望により素早く応えられるようになります」と阿波氏。“気持ちよく過ごせた”、“また来たい”と思わせる術がここにある。

「食堂かど。」店長 阿波 尚輝 氏
さまざまな居酒屋での経験を経て、十年来の友人として信頼をおくオーナー河内氏の2TAPSへ2020年に入社。2022年「食堂かど。」の店長に就任、現在に至る。

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