2026年1月行政書士法が改正。「補助金」採択のポイントを解説
コロナ禍を契機に、補助金を活用する飲食店が増えているが、どのような補助金があり、また採択につながるポイントは何だろうか。今回、経済産業省が認定する認定経営革新等支援機関として、補助金申請支援コンサルティング事業の責任者を務める株式会社MS&Consultingの執行役員・宗像 吉樹 氏に、補助金申請のポイントと、2026年1月から施工される改正行政書士法の内容について話を聞いた。
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目次
飲食店にとって重要度が高まる補助金活用
飲食店が使いやすい補助金の代表例
2026年1月、行政書士法改正で何が変わる?
補助金申請フローと採択のポイント
まとめ
飲食店にとって重要度が高まる補助金活用
飲食店にとって補助金は、成長していくためには強力なツールです。成長の実現のためには新店舗を出す、従業員の雇用を増やしていく、地域に貢献していくなど、さまざまな取り組みがあると思います。その際に必要となる投資がすべて自己資金で賄えればいいのですが、小・中規模事業者の場合はなかなか難しい部分も。そこで補助金を活用することで資金を賄うことができれば、成長を短期間で実現できる可能性が高まるため非常に重要度は高いです。
補助金に対する意識が高まったのはコロナ禍のタイミング。苦境に立たされる飲食店に対しての色々な給付金や助成金に意識が高まり、コロナ禍が収束した今もそれが継続している状態で、活用している飲食店は増えているという現状です。
飲食店が使いやすい補助金の代表例
今、ニーズが高い補助金の一つは「
中小企業省力化投資補助金
」。例えばセルフオーダーシステムや券売機、生産性を高める厨房機器の導入など、人手不足解消に効果がある設備の購入を支援するために活用できます。
「
中小企業新事業進出促進補助金
」は既存の企業が新しい事業に展開していくタイミングでの事業であれば対象になる補助金。しかしながら、単純な業態転換だと不採択になる可能性が高く、新事業が他にはない強みがあることをしっかり推進していかないといけません。
「
小規模事業者持続化補助金
」は、常勤アルバイト含めて5名以下の店舗が対象。新規のお客様を開拓するための取り組みを支援するもので、例えば認知度を上げるためのチラシ製作や広告宣伝費、新しいお客様を獲得するための店舗の改装などに使用できます。デジタル化やDX化に向けたITツールの導入を支援する「
IT導入補助金
」もニーズが高いです。
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2026年1月からの行政書士法改正で何が変わる?
2025年に行政書士法が改正され、2026年1月1日から施行されます。現在、補助金は、デジタル庁のオンライン申請のWebサービス「
JGrants
(ジェーグランツ)」を使うことで非常に申請がしやすくなっています。ただ、一部の補助金に関してはJGrantsのIDを借りて他社が代行申請することは認められていませんが、違法代行申請によって代行会社が摘発され、補助金を受けていた企業もすべて不採択になる事案が発生しました。こうした支援業務に関するグレーゾーンを明確にするために法律が改正され、よりルールが厳格化されました。
今回の改正に関連して、飲食店が知っておきたいポイントは、以下の通り。
・「JGrants」での補助金申請について、申請書類ごとに代行可能なものと不可なものが明確化。
※どれが代行可(不可)かについてはJGrantsで要確認。
・補助金関連書類の作成・申請代行ができる資格者は「行政書士」のみ
※作成・申請のアドバイスであれば行政書士以外でも可能
※助成金の場合は「社会保険労務士」のみ
今回の改正により、違反した場合の具体的な罰則も設けられ、取り締まりも厳格になることが予想されます。他社に代行を依頼する場合は、特に上記のポイントを意識しましょう。
補助金申請フローと採択のポイント
(1)情報収集・対象補助金の選定
補助金を申請するには、まず「情報収集・対象補助金の選定」から始めましょう。この第1フェーズから外部に相談する飲食店も少なくありません。
補助金に関しての相談先としては、
・商工会議所や商工会の経営指導員
・金融機関
・中小企業診断士
・税理士や税理士法人
・公認会計士
・行政書士や行政書士法人
・民間コンサルティング会社やコンサルタント
など、さまざまです。職種により得意とする分野は異なりますが、補助金を採択するために一番重要なのは、委託先が「認定経営革新等支援機関」として認定されているかどうかです。認定経営革新等支援機関(以下、支援機関)とは、中小企業支援の専門知識と実務経験が一定レベル以上であることが国から認定された機関のことです。支援機関に確認を得ないと申請できない補助金もあるため、委託先が認定を受けているかどうかをホームページなどで確認して、「何のために、どの補助金を申請すべきか」を相談するとよいでしょう。
(2)事業計画の策定
補助金選びの次は、綿密な「事業計画の策定」をしましょう。ここで大事なのは支援機関に丸投げにせず、事業者が主体となって、課題解決や事業拡大につながる計画をまず立てることです。支援機関は、事業計画書の作成支援やアドバイスを通じて、補助金申請の要件を満たす計画づくりをサポートしてくれます。具体的な売上予測や経費の見積もりを盛り込み、説得力のある計画作成が採択への鍵となります。
(3)申請書類の作成・提出
事業計画が作成できたら、「申請書類の作成・提出」を行います。前述したとおり、2026年1月からの行政書士法改正によって支援業務のグレーゾーンがなくなり、官公署へ提出する書類の作成代行(および一部の申請代行)は行政書士や行政書士法人にしか認められないことが明確になりました。ただし、行政書士以外でも書類作成に関するアドバイスは可能です。その場合は添削を受けながら、自社(自店)で書類を制作しましょう。
(4)審査・採択結果の通知
申請書を提出したら、「審査・採択結果の通知」を待ちます。通知までの期間は補助金によって異りますが、「IT導入補助金」であれば1カ月程度、それ以外の補助金は、3カ月程度で採択結果が通知されます。
(5)事業の実施・支出管理/実績報告・補助金の請求
無事に審査を通過して事業計画が採択されると、ついつい終わった気になってしまいそうですが、むしろここからが本番です。「事業の実施・支出管理」(事業計画に沿って適正に支出が行われているかを管理する業務)を行い、「実績報告・補助金の請求」をする必要があります。この実績報告を行わないと、補助金が減額されたり、場合によっては取り消しになることもあります。このフェーズでもいくつか提出すべき書類があり、作成を代行できるのは行政書士(行政書士法人)のみです。
(6)事後フォロー・報告義務
補助金が出たあとに必要な業務が「事後フォロー・報告義務」です。収支や補助金の効果性などについて、毎年報告する必要があります(報告義務が発生する年数は、事業計画によって異なる)。これを怠ると返還義務が生じることもあるので、最後まで油断できません。
まとめ
補助金の活用は飲食店にとって非常にメリットがあります。しかし事業計画はまずご自身で考えないと活用できない可能性が高くなってしまうので、「今後、店舗をこう増やしていきたい」といった思いをしっかりと計画に落としていくことが大事だと思います。
認定支援機関は、税理士・税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、金融機関等と多種多彩。お金に強いのは税理士や公認会計士、金融機関は補助金に力を入れているところも多く融資の相談も可能。中小企業診断士は経営コンサルティングの国家資格なので、経営関連の事業計画の作成に加えて数字も見られるなど、みなさん得意分野があります。行政書士法の改正により、補助金申請の一部代行は行政書士・行政書士法人しか行えませんが、ビジネスを共に成長させていく相棒として、身近な支援機関に相談して共に進めていくのがいいでしょう。
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