※スマイラー117号(2025年11月)より転載
スタッフが売りの地元コミュニティの場で“梅林好き”を創り出す
大衆居酒屋梅林(以下、梅林)は2009 年に開業。小林氏が大学を卒業した直後だ。母親が所有する物件の1階が空き、「何かやりたいね」の一言がきっかけで、店を始めたという。現在では、梅屋敷周辺で5店舗を経営している。
梅林の客層は駅付近で暮らす30代から40代のサラリーマンが多い。店のコンセプトは「スナックを居酒屋にした感じ」。単身者も多く、彼らはちょっと遊びに来る感じで来店し、常連同士仲良くなり、輪が広がっていく。特定のスタッフに会いたくて来店する人もいる。「お客様と喧嘩するぐらい熱く語り合うこともあって、そういう人が店のファンになってくれますね」と笑う。
梅林は「人」で競合店との差別化を図っているという。そのためコミュニケーション能力のあるスタッフを強化してコミュニティ形成に努めているそうだ。小林氏は、スタッフに対し、働く理由や夢といった動機にアプローチして仕事のやりがいとつなげるよう意識していると話す。「それで目覚める人はついてきてくれます」と小林さん。
そのため、今も昔もスタッフは地域住民や店とゆかりがある人ばかりだ。「梅林が好きだから、その中で働きに来ている、そんな店にしたいと思っています」。
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地域の特色に合わせ、都心が値上げしても遅れて実施するのが“吉”
ここ数年の原価高騰に対し、梅林では控えめに調整を行っているそうだ。量を少し減らす、売れ筋でないものはメニューから外す、といった程度だ。値上げは、小林氏自らが他店を食べ歩いて相場をチェックし、上がっていればしばらく経ってから同等に価格調整しているという。
ドリンクの値上げはコロナ禍以降のアルコール離れの傾向があるので慎重だ。「このエリアはのんびりした田舎なので、何でもスピーディーな都心の渋谷や新宿より数年遅れてからの方が受け入れられる」と小林氏は考えている。「それに遅れて値上げすれば、うちに来るお客様はそれまでは、お得ですしね」。
顧客とはまるでコミュニティの一員のような繋がりがあるため、値上げしてもそれに従ってついてきてくれると小林氏は感じている。それでもあまり値を上げないのは、毎日のように来てくれる常連客の負担が重くならないことを重視しているからだと話す。
仕入れ先は、商売をしていた両親から続く地縁の業者が多い。小林氏は一度取引した仕入れ先は基本的に変えないという。持ちつ持たれつの信頼関係を長年築いて、今もぎりぎりの安値で仕入れているため交渉の余地はなさそうだ。
また食材以外のコスト削減対策として、個店別で契約している通信費等の契約を一つ一つチェックし、不要なものは解約して固定費を下げるようにもした。「ちょっと面倒な作業だけどかなり効果的」だと小林氏は話す。
海苔が主役のラーメン。原価率4割超えでも仕入れ先と交渉しない
コロナ禍の時期は補助金を使用しながら営業を続けた。「やれることはなんでもやりましたね」縁日のようにドリンクを店頭で売り、地域の連携を強めるべく地元の惣菜店や蕎麦屋などの商品を用いた弁当を開発して販売もした。地域密着でやっていて応援してくれる人が多かったので乗り切れたと話す。
客足が戻り始めた2023年に開業したラーメン店は、地元特産海苔をメインにしたラーメンがコンセプトの店だ。同店では2025今年4月に10%の値上げを実施。値上げによる客数の減少を恐れていたが、意外にもなかったという。
海苔は生産量が落ち込み、価格は2倍近く急騰しているが、仕入れ先と値段交渉はしていない。値上げしても原価率は4割を超えている。「共倒れにならないようにはしているが、売り方や味を微妙に変えるなどのアイデアをうちの店サイドが考えて利益を出す方向で頑張っている」と小林氏。
同じく2023年に駅の真向かいの高架下に「バイリン目ノマエ店」もオープン。「地元でここまで頑張ってきたから、商売して稼いだ分は地元に還元したい。パン屋が閉店して空きが出たのでコロナ融資をフル活用してえいやっと勢いで借りました」コロナ禍の損失を取り返したい気持ちもあったが、売上に関しては「いまも奮闘中」だと言う。
大田区で生き残った町工場の技術のようなブランド力を創造する
小林氏は今後、店舗を増やす方向ではなく、客単価が上がるブランド力を作っていきたいと語る。「大田区の町工場でも薄利多売の会社は潰れ、ネジ1本でも唯一無二の技術力を持った会社は生き残っているように、中小零細の飲食業者もそちらのほうが良いと思います」。
地域との繋がりを大切にする理由は幼い頃の経験に由来する。父親は多額の借金を残して他界。母は外で働き、夕食はいつも独りの子ども時代。貧しさと寂しさに絶望し、人生をやめたいくらい思い詰めた小林少年が外で歩いていると“近所の顔見知りのおばさん”から唐突に「うちにご飯食べに来なさい!」と言われる。その有無を言わせぬ勢いに「僕に何か切羽詰まったものでも感じたんでしょうか。僕はそのとき涙が止まらないくらい嬉しかった」この原体験から“地域”という力に気づき、小林氏は地域を盛り上げていきたいという思いが創業前からあったそうだ。
「全力で地域に貢献して、自分の子どもの頃と同じような思いをする人が減るような店と地域を作りたい。ビジネスとはちょっと違うかもしれない。でもそういうきれい事みたいな思いを並べて勝負して死ぬ前に成功していたら本望ですね」。
地域のパワーを信じ、縁(えにし)と恩を大切に、ブレない心で歩を進める同社を応援したい。
住所:東京都大田区蒲田2-28-2
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