店周辺の“地域”に目を向け、その強みを活かすことは、長く繁盛していくために重要なポイントの一つ。地域に眠っている魅力を引き出したり、地域に隠れたニーズを捉え、集客につなげるためにはどうすればよいだろう。“地の利”を活かす人気店の事例から考察する。
生産者の顔が見える“ビール×食”で横須賀の魅力を発信
【神奈川・横須賀】横須賀ビール
ビールを軸に人が集まり、町の魅力を再発見する場に
国際色豊かな飲食店が並ぶ神奈川・横須賀の観光名所「どぶ板通り」に、2017年2月にオープンした「横須賀ビール」。1階にクラフトビール醸造所を併設し、店で作ったビールを、横須賀や三浦半島産の食材とともに提供するビアレストランだ。運営は、横浜と横須賀で海鮮居酒屋などを展開する有限会社たのし屋本舗。会社設立20周年の節目に、創業の地である横須賀で、「YOKOSUKA PRIDE(ヨコスカ プライド)」をコンセプトに立ち上げた。店内で使用するビアグラスにも大きく記されたこのコンセプトには、店を通して横須賀の魅力に触れ、横須賀をもっと好きになってもらいたいという願いが込められている。「横須賀は新鮮な魚が手に入るだけでなく、キャベツやカボチャなどの野菜も豊富に採れます。ところが、地元の人にはほとんど知られていないんです」と話すのは、店長の松崎良太朗氏。市外への転出率も高く、町が活気を失いつつあるなか、地元のよさを再発見できる場として人を呼び込むことを目指しており、メニューには横須賀や三浦半島産の地魚や地野菜がふんだんに使われている。