メニューブックは、ターゲットの客層に対して売りたい商品を売れるようにするための重要な販促ツール。繁盛店ではそんな“店の顔”をどう作っているのか?デザインやコンセプト、狙いを紹介しながら、そのポイントを検証する。
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女性の心をつかむ新聞風デザインで、店のコンセプトを伝える
【滋賀・草津】草津ザ・ホースマン
ヘルシーな馬肉と野菜を印象付けるメニューを作成
2017年12月、JR草津駅直結のビル地下にオープンした「草津ザ・ホースマン」。低カロリー・高タンパクな馬肉と、こだわりの野菜を使ったヘルシーな料理が豊富な、ダイニング風の居酒屋だ。「“健康になる食事”を提供したいと考え、ヘルシーな馬肉と地元の近江野菜をテーマに出店しました」と、代表取締役の大田倫裕氏は話す。メインターゲットは健康への感度が高い女性。客層の6~7割が女性で、20代後半が中心となっている。そんななか、メニューブックも女性を意識した、おしゃれな新聞風のものを用意。「見た目の珍しさで印象を残すことと、持ち帰って店を思い出してもらう、販促ツールになることも狙いました」と、大田氏。実際に持ち帰る人はもちろん、初めて来店して写真を撮る人もいるという。
メニューブックは、構成やフォント(文字デザイン)、色使いにも気を配り、表紙には野菜のイメージ写真を大きく掲載。健康的な料理を出す店として印象付ける。「このメニューブックは1冊目で、季節ごとに刷新していく予定。そうすることで、表紙で旬の野菜を紹介することができます」(大田氏)。
開いた1~2ページ目では、売りの馬肉料理を掲載。写真付きで紹介するメニューは、店として食べてほしい料理だ。売りである馬刺しや「馬焼肉」だけでなく、原価率の低い「白子ポン酢(馬の脊髄)」(961円)などは、写真で目を引かせ、注文につなげている。加えて、接客時には最初にこのメニューブックを使いながら、おすすめの料理を口頭でもしっかり案内する。「お客様には初来店か、馬肉を食べるのは初めてかなどをヒアリングし、メニューブックをめくりながら店のコンセプトやおすすめ料理を紹介します。そのためのスタッフへのトレーニングも徹底しています」と、大田氏。次の3~4ページ目には、揚げ物やおつまみ、逸品料理などを掲載。5~6ページ目では、野菜料理を紹介し、そのなかでも特に頼んでもらいたい「煮野菜」料理を大々的にアピールしている。
ドリンクメニューは、フードとデザインのテイストを合わせながら、少し厚めのクラフト紙を使用。「福田農場さんの果汁たっぷり健康サワー」(540円)や、「コールドプレスサワー」(648円)など、こちらも女性を意識したものを多くそろえる。また、無農薬・ノーワックスレモンを使った「ホースマンこだわりレモンサワー」や、「凍結レモンハイボール」(ともに594円)を、最初のページに打ち出し、人気メニューであることを強調している。
今後は、季節ごとにメニューブックを刷新する予定。「タパスや焼き野菜などの単品メニューをより充実させて、客単価を現在の4500円から少し下げ、来店頻度を上げたい」と、大田氏はその狙いを話す。さらに、日替わりのおすすめメニューも新たに用意する予定で、少量しか入荷されない旬の野菜を使って期間限定メニューを提供し、リピーターを増やしていく考えだ。