サプライズや華やかな演出がカギ！記念日・ハレの日に選ばれる店

更新日：2022.9.27

目次
・テーブルアートを盛り込み、特別感のあるコースで予約増。撮りたくなる演出が満載！
　「北海道バル TOKAPU 大宮店」（埼玉・大宮）

・デザートのワゴンサービスで女性の心をつかみ、売上アップ
　「木更津ワシントンホテル レストラン ボンサルーテ（BONSALUTE）」（千葉・木更津）

・豪華食材を使い、記念日に特化したお重が予約1カ月待ち！
　「創作料理 一喜」（大阪・東大阪）

・要望やテーマに合わせて空間を1組ごとに飾り付け、大人気！
　「Ristrante ＆ Bar Juicy」（岡山・岡山駅）

・大切な日を全力でサポート。利用シーンや好みに合わせコース内容を提案
　「La vita Rosa ～ラ・ヴィタ・ローザ～ 町田店」（東京・町田）

　記念日やハレの日では外食をしたいと考える人は多く、コロナ禍ではその期待値はさらに上がっていると言える。では、記念日やハレの日で選ばれる店ではどんな料理やサービス、演出が喜ばれているのか。客席のテーブルにチョコレートソースなどを使いデザートをデコレーションする「テーブルアート」が人気の居酒屋、ワゴンデザート食べ放題付きのプランで女性から支持されるレストラン、高級食材を使った季節の料理を重箱に入れて提供するプランを設定して記念日の予約を獲得する和食店。誕生日などテーマに沿って半個室をかわいらしく飾るプランで10～20代の人気を集めるカフェレストラン、利用シーンや好みに合わせコース内容を提案するイタリアン。5件の事例から、記念日・ハレの日のサプライズや華やかな演出の工夫を見ていく。

テーブルアートを盛り込み、特別感のあるコースで予約増。撮りたくなる演出が満載！

華やかなテーブルアートがSNSで拡散され呼び水に

　埼玉・大宮駅東口近くの一番街商店街にある「TOKAPU」。以前は北海道をテーマにした大衆居酒屋だったが、2020年4月にリニューアルし、“北海道バル”として再スタートを切った。「大衆居酒屋よりも高単価にしたいと思い、バルに業態を変更しました。周辺の飲食店と差別化を図るために、イクラやカニといった北海道産の食材はそのまま売りとして据え、洋風メニューにアレンジして提供しています」と店長の海老沢颯太氏は話す。メニューは“SNS映え”を意識し、「燃える！ジンギスカン」（1078円）は客席でフランベをして提供するなど、写真や動画を撮りたくなる料理を多くラインナップ。リニューアル前は男性が中心だったが、現在は女子会やデートで利用されることが多くなり、20～30代前半の女性が約8割を占めている。

　さらに「高級感やサプライズのある店にしたい」（海老沢氏）と考え、2020年9月より始めたのが、「誕生日・記念日コース」（3300円）。その目玉としているのが、客席のテーブルを大きな皿に見立てチョコレートソースなどでメッセージを書き、デザートをデコレーションする「テーブルアート」だ。

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　まず、あらかじめクッキングシートをテーブルに敷いておき、その上にテーブルクロスをかけて来店客を出迎え。食事を楽しんだ後にテーブルクロスを外し、クッキングシートの上でスタッフがテーブルアートを始める。「半個室を使い、キャンドルを灯すなど、セッティングからほかの席と異なるため、案内時から特別感があると好評です。お祝いされる主役の目の前でテーブルアートを行うので、感動したとおっしゃる人もいます」と海老沢氏。テーブルアートを行う様子を来店客が撮影してInstagramにアップすることも多く、店も来店客に許可を取った上で撮影してSNSに投稿し、アピールしている。海老沢氏は「SNSでテーブルアートを見て予約される方も多いです」と語る。全体の約7割が予約客で、そのうち半数は『誕生日・記念日コース』を選択。「認知度が上がるにつれ、『誕生日・記念日コース』の予約が増え、週末は1日3組入ることもあります」（海老沢氏）。

　さらに「誕生日・記念日コース」では、料理も華やかさを意識して開発。全5品と品数は少なめだが、野菜や生ハムを華やかに盛った「“まるで花束”ブーケサラダ」や、十勝ハーブ牛のローストビーフを使い客席で花火を灯して提供する「ローストビーフの肉ケーキ」など、このコースだけしか楽しめない料理を盛り込み、特別感を演出する。「どの料理もお客様の反応が良く、こちらも写真や動画を撮る方がほとんどです」と海老沢氏は笑顔を見せる。

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　今後は「売りである生ガキ、カニ、ラクレットチーズ、十勝ハーブ牛のメニューをさらに前面に押し出していきたい」と海老沢氏。同時に、「サプライズやお祝いといえば『TOKAPU』というイメージを強めたい」（海老沢氏）と、SNSで話題になるようなインパクトの強いメニューやプランを追求していく考えだ。

デザートのワゴンサービスで女性の心をつかみ、売上アップ

皿やカトラリー付きのコースのデリバリーも好評

　2017年10月、木更津ワシントンホテルの開業と同時にオープン。「当初からビュッフェが売りでしたが、コロナ禍で方向転換を迫られました」と語るのは、マネージャーの茂木直氏。

　これまでの客単価を維持しながら、新たに付加価値のあるメニューを打ち出そうと2020年6月より始めたのが、ワゴンデザート食べ放題付きのプラン（ランチ1980円～、ディナー3850円～）だ。「料理はコースやセットで提供し、デザートは10種程度用意して、スタッフがワゴンで客席を回ってサーブ。さまざまなデザートと共に非日常感が味わえると好評です」と茂木氏は話す。

　加えて、客席で仕上げるデザートも用意。ランチではチェリーのソースをアイスクリームに添える「チェリージュビレ」、ディナーではオレンジやバターを使って仕上げる「クレープジュゼット」を提供しており、目の前でリキュールをかけてフランベする演出が人気だ。これらが新たな店の魅力として認知され、2021年10、11月の売上は、前年同月比超えを達成したという。

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　さらに、テイクアウトやデリバリーにも注力。パーティー料理（２万２０００円～）のデリバリーは、自宅やオフィスでの集まりなどに好評。また、料理を真空パックにし、皿やナプキン、カトラリーとセットで自宅に届ける「コース料理デリバリー」（４９５０円～）も昨夏より開始し、記念日やハレの日で利用されている。「ご自宅でレストランの雰囲気が楽しめると喜ばれています」（茂木氏）。

　今後はギフト商品の販売なども手がけ、収益アップを図る予定だ。

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豪華食材を使い、記念日に特化したお重が予約1カ月待ち！

記憶に残る料理として考案。夫婦茶碗のプレゼントも

　大阪・東大阪の瓢箪山（ひょうたんやま）駅から徒歩5分。2000年9月オープンの「創作料理 一喜」は当初、ビジネス層の宴会や接待を中心に集客してきた。しかし、リーマンショックを機に、近隣に住む女性やファミリーをターゲットに地域密着の店へと転換。オーナーの吉岡篤氏は「何度も通ってもらい、記念日といえば『一喜』と思ってもらえるようにしたいと考えました」と振り返る。そこで記念日コースを打ち出し、チラシやDMで案内。予約時には電話で利用シーンをヒアリングし、お祝いの場合は店からサプライズで花束を用意するなど、さまざまなサービスを行ってきた。現在では50～60代の女性を中心に集客し、夫婦やカップルも多く獲得。7～8割がリピーターだという。

　コロナ禍以降、宴会予約は少ないが、記念日の利用は増えており、集客も好調。中でも、アワビ、エビなどの高級食材を使った季節の料理を重箱に入れて提供する1日5名限定の「お祝い玉手箱」（1万1000円）は、予約が1カ月待ちというほど、好評を博している。「結婚記念日やカップルの記念日で思い出に残るメニューをと考案しました」（吉岡氏）。

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　カップル、夫婦で利用の場合は、有田焼の夫婦茶碗をプレゼント。さらに食後に記念撮影をし、後日、写真をフォトフレームに入れて郵送している。来店客に送付先の住所を記入してもらう際、誕生日や記念日の記入も依頼。記入された情報は、顧客情報として登録し、その日に合わせてDMを発送している。

　「飲食店は一番身近なエンターテインメント。楽しさや満足度を高め、来店回数を増やし、売上につなげていきたい」と吉岡氏は展望する。

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要望やテーマに合わせて空間を1組ごとに飾り付け、大人気！

撮影されることを意識して小物もオリジナルで制作

　JR岡山駅から徒歩5分のビルにある「Juicy」。2～4階の3フロアで営業し、結婚式二次会やパーティーなど貸し切り利用を中心に集客してきた。2020年春以降は、コロナの影響で貸し切りは減少したが、半個室をかわいらしく飾る「テーブルデコレーション付き誕生日会コース」（2500円～）が10～20代の女性から支持されている。「オープンから2、3年経った頃から誕生日や記念日の要望が増え、お祝いプランを始めました。ウエディングでは華やかに飾り付けて空間を演出してきたため、そのノウハウを生かしています。現在では、ほとんどがお祝いでの利用です」と店長の小林侑巳江（ゆみえ）氏。

　店舗ページでは「レッド」「ナチュラル」などテイスト別に5つのコースを打ち出し。「テーブルについたときからお祝いがスタート」をコンセプトに予約時の要望に合わせ、壁やテーブルにはお祝いの言葉とともに主役の名前を飾り付けるなど、1組ごとに空間を作り込んでいく。「ほとんどの方が撮影するので、写真を一目見てかわいいと思ってもらえる飾り付けが重要。ランチョンマットなどの小物は手作りで、スタッフがデザインから手掛けています」と小林氏は話す。

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　流行を意識しながらもオリジナリティのある飾り付けが人気となり、SNSに投稿されることも多く、認知度もアップ。お祝いされる側で初めて来店した人が、別のお祝いで利用するケースも多い。

　現在は春に向けて、卒業のお祝いやお花見コースを準備中。また、飾り付けされた空間で撮影だけを楽しむ食事なしのプランも検討している。

大切な日を全力でサポート。利用シーンや好みに合わせコース内容を提案

丁寧にヒアリングして心から楽しめる時間を演出

　東京・町田にあるイタリアンレストラン。「きちんと食事が楽しめる、“大人の隠れ家”がコンセプトです」と、オーナーの今野幸子氏は語る。

　2013年のオープン以降、増えていったのが誕生日や記念日の利用。中でもプロポーズに代表されるような、カップルや夫婦の大事な日の利用が多かった。そこで、2016年から始めたのが、要望にできる限り応えて料理を提供する「プラチナランクアップコース」（1万1000円～）だ。「好みやアレルギーの有無だけでなく、利用シーンや主役の方の年齢、性別、お酒を飲むのかなどをヒアリングした上で、100％信頼を置いているシェフが料理構成を提案します。心から楽しんでほしいので、お客様の不安がなくなるまで丁寧に打ち合わせをします」と今野氏。シェフが考案した当日のメニューは事前に伝え、希望があれば下見や料理の試食などにも対応する。

　特別な日は花束やケーキも必要不可欠。花束（1輪330円～）は利用シーンや季節に合わせて花の種類などを提案。ケーキ（3300円～）も希望を聞いた上で、手作りする。また、グラスを店から主賓へプレゼントするサプライズも好評だ。「大人こそ誕生日や記念日を楽しんでほしいと思っています。その日を大切にすると、親や周りの方への感謝や生きる尊さを改めて感じ、人を大切に思うきっかけになる。後日、グラスを見て楽しかった時間を思う。年に一度、そんな日があると素敵だと思います」（今野氏）。

　「相手が何をしてほしいかを、常に考えている」という今野氏。今後も大切な日に寄り添い、その日がより輝くようにサポートしていく。

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