品質を保ち、SNS映えも狙える。エコ素材の容器にも注目
4つのポイントを考慮して、ベストな容器を選ぼう!
昨年来、自宅で手軽に飲食店ならではの味を楽しめるテイクアウトやデリバリーの需要が急増。新たに提供を始めた飲食店も増えた一方、持ち帰りや配達の過程で料理が崩れたり、スープが漏れたりしてクレームにつながるケースも少なくない。包装資材の企画・製造・販売を行う株式会社シモジマの尾尻新吾氏は、「飲食店にとってテイクアウトやデリバリーは単なる売上補填にとどまらず、新規客に店を知ってもらうチャンス。料理の味、ビジュアルなども含めた品質は、お客様が召し上がるまでしっかりと保ちたい。そのためにはフードパックが大変重要です」と強調する。また、フードパック次第で、前述のようなトラブルは9割解決するとも。では、飲食店はどのような視点で容器を選べばよいだろうか。尾尻氏によると、トラブル防止のポイントは「用途」と「機能」。さらに「デザイン」「コスト」を加味するのがよいという。
まず考えたいのが「用途」だ。自店に合う容器は、料理の内容はもちろん、テイクアウトとデリバリーのどちらで使うかによって大きく異なる。「デリバリーの場合、自転車やバイクで配達することが多く、容器にかなりの衝撃が加わります。また購入した人が料理を持ち帰るテイクアウトと違い、何かあった際には配達員や店側が責任を問われる。そのため、より揺れや衝撃に強い容器を選ぶ必要があります」(尾尻氏)。デリバリー用の容器には配達用バッグのサイズに合わせて作られたものなど、衝撃対策に特化したものを活用するのがおすすめだ。
用途が決まったら、「機能」の検討を。ふたの形状や本体との嵌合(かんごう)性(はまり具合、下図参照)、仕切りや中皿の有無、電子レンジが使えるかなど、製品によってさまざまな機能があり、選択肢は幅広い。「例えばラーメンなら、提供から食べるまでに麺が伸びないよう、容器内に中皿を挟んで麺とスープを分割できる機能を持つタイプ、スープなど汁気の多いものは汁漏れに強い内嵌合や内外嵌合のふたがおすすめです」と尾尻氏はアドバイスする。
3つ目の「デザイン」は、料理や店の印象にも大きく影響する要素。「特にテイクアウトは、スーパーやコンビニも飲食店の競争相手になってくるため、フードパックで見た目の差別化を図ることも重要」と尾尻氏。女性をターゲットにしている店であれば、クラフト紙を使ったナチュラルなイメージの容器や、店名などのロゴシールを活用したり、SNS映えを意識したフードパックがおすすめだという。「好みの色・柄を選べるなど、オリジナリティーのあるデザインにカスタマイズできる容器も豊富にあります」(尾尻氏)。
最後に「コスト」については、メニュー内容や価格に見合ったグレードを選ぶのが鉄則。「例えばリーズナブルな弁当に1個80円などの高めの容器を使うと利益が減ってしまいますが、高価格な料理にチープな容器を使うとイメージがちぐはぐになり、商品価値を落としてしまいかねません」(尾尻氏)。店によって差はあるが、「一般的には販売価格の5%以内に抑えるのが理想」とアドバイスする。
こうしたポイントに加え、今後注目したいのが、紙や自然由来の素材を使ったエコフードパック。紙製の容器は以前からも流通していたが、最近は紙でありながら電子レンジに対応したものや汁漏れに強いものも登場。また、生育が早い竹やユーカリなどを原料にした新素材の容器も開発されている。「“環境や社会に配慮しているかどうか”は、お客様に選ばれるための重要なキーワード。サステナブルな取り組みの一つとしてエコ容器もぜひ検討を」と尾尻氏。
次ページからは、飲食店のテイクアウト・デリバリーに適したおすすめのフードパックを、ジャンルごとに紹介。自店にぴったりな容器選びの参考にしていただきたい。