初回公開日:2021.2.18
飲食店必読!メニューの総額表示義務に関するルールを解説
2021年4月1日から、国税庁が定めた「総額表示」の義務付けにより、消費者向けの商品やサービスの価格を総額(消費税を含む価格)で表示することが義務化されました。飲食店の場合、メニューブックや看板、ホームページなど、対応が必要な場所は多岐にわたります。サービス料を含めた税抜表記をしている箇所がある場合は修正が必要ですので、この記事でご紹介するポイントを押さえつつ、今一度確認して適切な表記ができているかチェックしてみてください。
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目次
1.「総額表示」とは?
2.飲食店はどこをチェックすべき?
3.どんな表記がNGで、どう変えればよい?
4.軽減税率やインボイスに関連する価格表記は?
5.ホームページやSNS、グルメサイトの注意点は?
6.総額表示の義務を違反すると罰則はある?
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1.「総額表示」とは?
消費税込みの価格を表記することが完全義務化
「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札などに消費税額を含めた価格を表示することです。飲食店でいえば、メニューやコースの価格のほか、サービス料やテーブルチャージなども含め、消費者(来店客)に対して提示する価格はすべて税込表記にする必要があります。
総額表示を義務化する目的は、消費者が支払い額について誤認しないようにするためです。税抜価格で表示していると、会計時までに最終的にいくら支払うことになるのかが分かりづらかったり、税抜と税込、両方の表記が混在していると価格の比較がしづらいことなどが背景にあります。
これまでも消費税法によって総額表示は義務付けられていましたが、事業者が価格表示を変更するためのコストや手間などを考慮して、消費税転嫁対策特別措置法によって2021年3月31日までは猶予期間として総額表示をしていなくてもよいという特例が定められていました。この特例が失効し、同年4月1日から総額表示が完全に義務化されることになったのです。
「総額表示」に対応していないと、お客様に不要な誤解を与えてトラブルにもなりかねません。もし対応していないお店がある場合は、すぐにでも対応が必要です。
2.飲食店はどこをチェックすべき?
メニューブックや看板、HP、SNSも確認を!
では、この「総額表示」について、飲食店はどこを確認すべきなのでしょうか。主なチェックポイントとして、次のような場所が考えられます。
総額表示の対象は、「消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものかを問わない」(国税庁HP)ことを念頭に置いて、確認する場所を洗い出しましょう。
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3.どんな表記がNGで、どう変えればよい?
来店客が一目で税込価格を認識できることがポイント
確認すべき場所の洗い出しが終わったら、現状の表記のままでよいか、修正すべき部分がないかをチェックしましょう。
2021年4月1日以降は、上記のような“税抜価格のみの表記”はすべてNGとされているため、税込価格がはっきりとわかる表記に変更する必要があります。
上記の「正しい表記例」にあるように、支払い総額が「11,000円」であることさえわかれば、「消費税額」や「税抜価格」を併記していても問題はありません。表記例の一番下にあるように「10,000円(税込11,000円)」と、税抜価格を前に出して表記することも可能。簡単に言うと、お客様が消費税額を計算しないと支払う金額がわからないような表記はNGです。
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4.軽減税率やインボイスに関連する価格表記は?
税率が異なるので要注意!表示方法は主に3パターン
2019年10月に導入された消費税の軽減税率制度により、同じ価格のメニューでもテイクアウトでは8%、店内飲食では10%の消費税がかかります。店内用のメニューを同一価格でテイクアウトでも販売している場合、これまでは税抜価格のみを表記しておけば問題ありませんでしたが、現在は税込価格の表記が必須です。
その場合の表記方法は、
①店内飲食とテイクアウト、両方の税込価格を併記(下部の表記例A)。
②どちらかの税込価格を表記(下部の表記例B)。
③両方の税込価格を同じ額に設定。
の3パターン。ただし、②の場合は表記例のような注釈が必要になります。いずれの場合も、お客様に誤解されないような表記が求められます。
また、インボイス制度を活用して適格請求書発行事業者になった場合は、インボイス(適格請求書)には税率ごとに合計した対価および適用税率、消費税額を記載する必要があります。
インボイスでの総額表示に関する詳しい表記例は「個人経営でも必要?飲食店のインボイス対策まるわかり」をご確認ください。
5.ホームページやSNS、グルメサイトの注意点は?
ぐるなびの場合、PR文などは個別の修正が必要
ホームページやSNS、グルメサイトなども見落とされがちですので要注意です。メニュー表や看板を総額表示に変えても、ホームページやGoogleビジネスプロフィールに税抜価格が掲載されていたり、SNSで税抜価格のまま投稿してしまうことも少なくありません。
その他、グルメサイトも要注意です。例えば、ぐるなびの場合、店舗ページで税抜価格で表示されているメニューやコースなどの価格は、税込表記に自動的に変更されます。しかし、トップページのPR文などの価格は各店舗で確認し、修正する必要があります。
6.総額表示の義務を違反すると罰則はある?
罰則規定はないが、さまざまなリスクが・・・
総額表示義務の対象となる商品やサービスについて、税別表記をしていると消費税法違反になります。ただし、法律で罰則は設けられていません。それでも、しっかりと総額表示に対応したほうがよい理由が大きく2つあります。
一つは、総額表示をせず、お客様が「税別金額=支払い総額」だと誤認してしまった場合、景品表示法違反になる可能性があるという点です。 景品表示法に違反すると、消費者庁や都道府県知事による調査・措置命令などが行われます。
もう一つは、お客様からの信頼の喪失です。お店にそのつもりがなくても、「このお店は安く見せるために税抜価格を表示して消費者をだましている」と思われるかもしれません。その結果、予約時点でキャンセルにつながったり、会計時のクレームが発生したりするほか、何も言わずに「もうこの店には来ない」と思う人もいるかもしれません。新規来店の機会損失やリピート率の低下など、さまざまなリスクをはらんでいることを理解したほうがよいでしょう。
メニューブックなどでの価格表記は、お客様に商品価値を知ってもらう重要な場所です。外国人客も含めて総額表示をしていないと、会計時にトラブルが発生しないとも限りません。
総額表示の意味と目的、また飲食店がチェックすべき場所と表記方法を理解し、ルールに則って価格を表記しましょう。
参考:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
財務省HP https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/sougakuhyoji_gaiyou.htm
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