2022/11/22 特集

今、集客できるのはこんな店【後編】~戦略を立てターゲットを呼び込む!~

コロナ禍の影響が弱まり、今、集客が好調な店はどんな取り組みをしているのか。後編では、スパニッシュとイタリアンをベースに個性的な料理を提供する「囲炉裏バル」、子育て世代を集客するイタリアンを紹介。

URLコピー

目次
飲食店激戦区で、料理の質、価格、接客の三位一体を売りに坪月商86万円の怪物店に
 「カルボ」(東京・学芸大学)

子育て世代が気兼ねなく外食を楽しめる店にし、女性から支持を集める!
 「コピルストア」(福岡・姪浜)

 コロナ禍の影響が弱まり、今、集客が好調な店はどんな取り組みをしているのかを、前編・後編で計4店舗の事例を紹介する本企画。

 後編では、“グルメ激戦区”である東京・学芸大前駅の近くでスパニッシュとイタリアンをベースにした個性的な料理を、利用しやすい価格帯で提供して坪月商71万円を売り上げる「囲炉裏バル」、住宅地でファミリーや子育て世代を集客するべく、キッズルームを備えて居心地の良い空間を作り上げるとともに、丁寧な料理で女性ファンを獲得する福岡・姪浜のイタリアンを紹介する。

【前編はこちら】
今、集客できるのはこんな店【前編】~戦略を立てターゲットを呼び込む!~

飲食店激戦区で、料理の質、価格、接客の三位一体を売りに坪月商71万円の怪物店に

カルボ(東京・学芸大学)
東京都目黒区鷹番3-7-13 2F
https://r.gnavi.co.jp/ady2xvgk0000/
東京・学芸大学駅至近のビル2階に2020年1月オープン。スパニッシュとイタリアンをベースにした料理と酒が楽しめる「囲炉裏バル」として、20代後半~30代の女性を中心に集客。店名はスペイン語で「炭」を意味するカルボンから命名。

多彩かつ独自色の強いメニューと、普段使いもできる価格帯で予約困難店に

 東京・渋谷と神奈川・横浜を結ぶ東急東横線沿線には、中目黒、祐天寺、都立大学、自由が丘など、“グルメ激戦区”といわれる街が点在。学芸大学もその一つで、近隣住民はもちろん、ここを目指して食事に来る人は食に対するアンテナの感度が高く、求めるレベルも高い。そんな激戦区で坪月商71万円を叩き出した超繁盛店が、学芸大学駅から徒歩2分のビル2階にある「カルボ」だ。

 中目黒で人気のスペイン料理店「パブロ」を営んでいた由利拓也氏が2店舗目として2020年1月にオープン。店長でシェフの根津直樹氏は、「料理仲間で先輩の由利さんから、『これまでの経験を活かして一緒にやらないか』と誘われ、ともに店づくりを手掛けました」と出店の経緯を話す。

内装はスペインの市場をイメージ。スペイン製のタイルがはめ込んであるカウンターにはその日の食材を並べる

 学芸大学駅周辺は独自色の強い個店の飲食店が集まるエリアであると同時に、駅前には古くからの商店街や単身者向けのマンション、アパートがあり、少し歩くと著名人の住まいもある高級住宅地「碑文谷(ひもんや)」があるため、住民の層は学生、ビジネス層、ファミリー、アッパー層と多彩。そのため「特定のターゲットは設定せず、幅広い層の方々に、いろいろなシーンでご利用いただけるよう、しっかりした料理をリーズナブルな価格でご提供したいと考えました。目指したのは、日常使いができて、週に何度も来店したくなるカジュアルなバルです」と根津氏は話す。

 14坪という決して大きくはない店内には、オープンキッチンを囲むL字型のカウンター席とテーブル席の計29席を配置。スペイン製のタイルをはめ込んだカウンターにその日の食材が並び、キッチンにある囲炉裏での炭火焼きの様子も楽しめる。

繁盛店づくりのサポートは「ぐるなび」におまかせください!
▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】

看板の創作メニュー「鮮魚のパリパリ包み揚げ マッシュルームソース」(1,320円)。真鯛などの白身魚に下味を付けてからカダイフを巻き付け、串に刺して揚げた一品。マッシュルームソースとの相性も絶妙
旬の食材を使った季節のおすすめメニューは2~3週間のサイクルで変える。この日のいちおし食材は白子。「白子のアヒージョ」や原始焼き「白子のムニエル~カルボナーラソース~」(ともに1,080円)を提供。寒い季節には、「ホットワイン」(648円)もおすすめの1品に

 料理は「何度来ても飽きがこないように」(根津氏)と、つまみ系からメイン料理、季節の料理を含めて60種以上をラインナップ。一番人気は、世界的なタパスの大会で審査員賞を受賞した、白身魚を中東の麺のカダイフで巻いた前菜「鮮魚のパリパリ包み揚げ」で、9割以上の人がオーダーするという。つまみ系では、濃厚なウニの味わいが口に広がる「ウニウニプリン」(550円)や「カルボのポテトサラダ」(660円)などのオーダー率が高い。価格帯はつまみ系・小皿料理が500円台で、売りの一つである炭火で肉や魚を焼き上げる「原始焼き」などのメイン料理は1,000円台に設定しており、平均客単価は4,000円強。ドリンクは、自家製のレモンチェッロをベースにしたサワー「カルボサワー」(715円)やカクテルの人気が高いという。

【こちらもチェック】
いま好調な店はココが違う!【第1回】取り組みに学ぶ

囲炉裏の炭火で肉や魚などを焼き上げる原始焼きも売りの一つ。「つくば牛のロースト」(1,980円)は、やわらかくジューシー。旬のレンコンとマコモダケも一緒に盛り、フォンドヴォーと赤ワインのソースを添える
「ウニウニプリン」(550円)。香味野菜とウニ、エビから取ったコンソメ、卵を加えて加熱したムースに、コンソメゼリーを乗せて、上に生ウニとブラックペッパーをトッピング。原価率は50%超
  • 「カルボのポテトサラダ」(660円)。ポテトにコンビーフ、タマネギ、キュウリを加えてニンニクマヨネーズで和えたポテトサラダの上に半熟卵をのせ、さらにその上からカリカリに揚げたポテトなどをトッピング
  • 根津氏の顔をプリントしたジョッキが印象に残る「カルボサワー(レモンチェッロ)」(715円)。レモンの皮をスピリタスに1週間漬け込んだレモンチェッロに、レモン果汁、シロップを加え炭酸で割った人気のドリンク

 オープン時は大々的な宣伝をせず、ぐるなびなどを活用した情報発信と駅前でのチラシ配布に止めたが、食に対する感度が高い女性が来店してSNSで情報を拡散。自店でもInstagramで情報を発信しており、まず近隣住民の常連が増え、その後、徐々に遠方からの来店客も増えていった。

 メインの客層は20代後半~30代で、7割が女性だが、時間帯で客層は変わる。15時からオープンしているため、早い時間帯は小さな子どもがいるママ友グループ、夕方以降はビジネス層、休日はファミリーも多い。しっかり食事を楽しみたい人から、サク飲みまで利用シーンが多彩なのも狙い通り。また、「入り口で入店するかどうか迷っている方へのお声掛けや、テーブルごとのお客様の様子に目を配り、呼ばれる前に先に先に動くことをスタッフにも徹底しています」と根津氏。根津氏自身も調理をしつつ、カウンター席の来店客とのコミュニケーションで楽しい食空間を演出している。

 料理の質、価格、接客が三位一体となり、激戦区でも名の通った人気店に成長。2022年6月には、1日4回転するなど最高月商1,000万円を記録。現在も週末は15時で満席になることも珍しくない繁盛ぶりで、予約必須の人気を維持している。

店長 根津 直樹 氏
フランス料理とイタリア料理の店でそれぞれ数年、パリのレストランでも1年間研鑽を積む。「カルボ」のオープン時から、店長兼シェフを任される。

情報発信は「ぐるなび」におまかせください!
▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】

子育て世代が気兼ねなく外食を楽しめる店にし、女性から支持を集める!

コピルストア(福岡・姪浜)
福岡県福岡市西区姪の浜4-3-3
https://r.gnavi.co.jp/da1esf960000/
福岡・姪浜(めいのはま)の住宅地に2017年にオープンした、席数27の一軒家イタリアン。キッズルームを備えるとともに、昭和レトロな空間と手作りの本格イタリアンが高評価を受けている。

キッズルームを備え、本格イタリアンを提供。ゆったりと過ごせることがカギ

 マンションや住居が建ち並ぶ住宅地である福岡・姪浜エリアに、「子育て中の家族がゆっくりとおいしい食事を楽しめる店」として2017年4月オープンした「コピルストア」。その狙い通り、子育て世代の女性に支持され、女性同士の会食、ママ会などを多く獲得。特にランチの集客はコースのネット予約を含め好調だ。

2階建ての古民家をDIYで改装し、アンティークの家具やレトロな雑貨を置いて、温もりのある空間に。来店客からはゆっくりくつろげると好評

 店主の奥野陽城氏は、独立前に勤務していた店がファミリーや子育て世代が多く住むエリアにあったことから、自身の店も同じようなエリアに出店したいと考えていたという。「小さい子どもがいるママさんは、店やほかのお客様に気兼ねして、なかなかゆっくり外食を楽しめないもの。でも、たまには子どもの心配をせず、おいしい料理を味わいたいですよね。それに応えられる店をつくりたかった」と、奥野氏は振り返る。

 地下鉄・姪浜駅周辺は、オフィス街のある博多や天神まで電車で十数分のベッドタウン。店舗は姪浜駅から徒歩5分とやや離れているが、「周辺には幼稚園や小学校があり、ファミリーや子ども連れのママさんの利用が望めるのではと考えました。転勤族が多く住んでいるエリアでもあるので、住民の“新陳代謝”も活発」と奥野氏は説明する。

2階のテーブル席は16名まで利用可能。クラシックな空間にし、ゆったりと食事が楽しめる雰囲気にしている。

 子育て世代の女性やファミリーをターゲットにする上で、心掛けたのが居心地の良い空間。物件は古い一軒家で、奥野氏はDIYで改修。温もりが伝わる「田舎の実家」のような雰囲気にし、またコツコツと買い集めた昭和レトロな家具や家電、インテリアを飾り、ほっと一息つける空間に仕上げた。

【こちらもチェック】
子ども連れファミリーの心をつかむ! 空間、サービス、メニューの配慮で集客アップ

2階の六畳間のキッズルーム。就園前の0〜3歳児を連れたママたちが、子どもを寝かせたり遊ばせたりしながら食事を楽しむスペースとして大好評

 そして、2階の六畳間にはキッズルームを用意。当初は、食事に飽きた子どもたちのためのプレイルームだったが、「この部屋で子どもたちと一緒に食事をしたい」という要望があり、中央と窓側にテーブルを設け、食事もできる空間に。今では、乳幼児とママたちの10名ほどのグループに人気で、予約で埋まる日も少なくない。子どもたちがどんなに騒いでも“ウェルカム”であること、キッズルームを含めた全ての席に時間制限を設けていないことも、大きな魅力となって地域の人々に愛されている。

料理はイタリアンや洋食をラインナップ。中でも特に人気が高い3品。手前から時計回りに「前菜盛り合わせ(6種)」(1人前1,630円、写真は2人前)、「蟹クリームコロッケ」(460円)、「生ウニのクリームソースパスタ」(1,850円)

 料理の評価も高い。イタリアンを中心とした洋食を提供しており、全て一から手作り。「子育て中は頻繁に外食ができるわけではないので、来店いただいたときは、ちょっとぜいたくに本物の味を堪能してほしい」と奥野氏。ランチでは、スープや前菜などが付きメインをパスタやハンバーグなどから選べる「ちょっとぜいたくランチ」(2,580円)が一番人気。アミューズやサラダが付く「もちもち生パスタランチ」(1,480円)も好評で、「生ウニのクリームソースパスタ」(+500円)を目当てに来店する人もいるという。ディナーではアラカルトとコースを用意。「前菜盛り合わせ」(1,630円)や看板メニューの一つである「蟹クリームコロッケ」(1個460円)の人気が高い。

「キッズディナーセット」(要予約1,100円)。記念日などで大人がコース料理のとき、子どもも同じ雰囲気を楽しめるように考案。大人も子どもも満足感アップ!

 さらにキッズメニューも充実しており、ランチではおにぎりかサンドイッチから選べる「おこさまランチ」(550円)、ディナーではオムライスやスープなどがワンプレートに盛られた「キッズディナーセット」(要予約1,100円)を用意。特に「キッズディナーセット」は、記念日利用などの際に喜ばれているという。

  • 人気のランチメニューは店頭でアピール。「せっかくの外食機会を少しぜいたくに過ごしたい」という人が多く来店
  • 店頭では「キッズルーム有」の看板を掲示。店舗前を行き交う人にも認知されるようアピールしている

 こうした丁寧な店づくりが、子どもを持つ女性たちの心をつかみ、口コミで広がり集客は好調。販促ではぐるなびをメインに使い、ランチ・ディナーともにコースを中心に打ち出し。特にランチでは最上位の「ちょっとぜいたくランチ」のみで予約可としており、多くの予約獲得につながっている。

 「メニューは子どもに寄せるのではなく、大人であるママさんたちにおいしく食べてもらえるかを考えたラインナップにし、その上で『子どもウェルカム』を打ち出しています。気兼ねなくゆっくり楽しんでもらえることが集客につながっているように思います」と奥野氏。今後も地域の人たちに喜ばれる店づくりを目指していく。

店主 奥野 陽城 氏
子どもの頃から料理が好きで、飲食業界へ。20代前半から外食企業で勤務し、料理のほかマネジメントや新規出店などの経験を積む。2017年に独立・開業。

繁盛店づくりのサポートは「ぐるなび」におまかせください!

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。

「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、集客・リピート促進はもちろん、予約管理や顧客管理、エリアの情報提供、仕入れについてなど、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】