2023/06/21 特集

YouTubeで登録者を10万人獲得した飲食店の仰天ノウハウとは?

飲食店の集客につながる動画での情報発信の事例を紹介。長崎の焼き肉店と新潟の居酒屋が、それぞれYouTubeを使ってファンを獲得し、認知拡大や集客につなげた取り組みにスポットを当てる。

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更新日:2024.2.13

 SNS隆盛期の今、Instagramなどでの情報拡散は飲食店の集客アップにつながる重要なファクター。特に、情報発信や情報収集のツールは静止画から動画に移ってきている。TikTokの普及もその一例だが、ここではYouTubeを使って飲食店の集客につなげている事例を紹介する。

 10万人の登録者数を持つ長崎・高田郷の焼き肉店「炭火焼肉あおい」と、レシピ動画や営業風景の様子などを配信している新潟・長岡の居酒屋「中華おつまみとお酒とごはん 巴馬」をピックアップ。ファンを獲得し、認知拡大や集客につなげた取り組みについて話を聞く。

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集客につながる動画配信~TikTok編~

目次
登録者数10万人超。集客やオンラインショップの売上もUP
チャンネル内の企画差別化で、ファンをつかむ

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コロナ禍に始めた動画配信で登録者数10万人超。集客やオンラインショップの売上もアップ

「炭火焼肉あおい」のYouTubeチャンネル「お肉のおじちゃん 【炭火焼肉あおい】

 長崎市の中心部から車で20分、JR高田駅から徒歩8分の立地に2011年にオープンした「炭火焼肉あおい」。店主の宮﨑将氏が目利きする高級国産和牛を、価格を抑えて提供するところが売りの1つで、地元のファミリーやシニアを中心に、常連客を獲得してきた。そんな同店のYouTubeチャンネル「お肉のおじちゃん」は、チャンネル登録者数10万人を超える人気を誇っている。

炭火焼肉あおい(長崎・高田郷)
長崎県西彼杵郡長与町高田郷3439-1
https://r.gnavi.co.jp/5r398bw20000/
YouTube「お肉のおじちゃん 【炭火焼肉あおい】
長崎市のベッドタウンである西彼杵郡高田郷に、2011年にオープン。全席個室で、上質の国産和牛をリーズナブルに提供。地元の人々愛され、週末には常連客で満席となる。

“肉のプロ”の知識と技術を披露。企画力と編集術を磨いて人気コンテンツに成長

 YouTubeでの動画配信を始めたのは2020年秋。コロナ禍によって通常の営業ができなくなり、「暇になってしまったので、何か新しいことを始めようと考え、YouTubeで動画配信をしてみようと思いつきました」と妻・美智子氏は振り返る。

 とはいえ、SNSや動画の制作・配信についてはスタッフ含めて全員が全くの素人。当初は美智子氏が手持ちのカメラを使って撮影を担当。宮﨑氏が牛肉をさばきながら部位の特徴やさばくときのテクニックなどを語る動画を撮影した。編集はパソコンで行い、チャンネル名「お肉のおじちゃん」を立ち上げて配信を始めた。しかし、最初は再生回数もほとんど伸びなかったという。そのうち、美智子氏はオンラインショップの立ち上げに多忙になったことから、夫妻の古くからの友人に動画の撮影と編集を担当してもらうことにした。

動画の撮影は、調理場で行うことが多く、撮影や編集は夫妻の古くからの友人(写真右)が担当している
  • 撮影は手持ちのカメラで行っており、YouTubeが軌道に乗るにしたがって徐々に機材もグレードアップしている
  • 編集はパソコンを使って専用ソフトで行う。無駄な間を削ってなるべくコンパクトになるように心がけている

 一方、「コロナ禍でとにかく時間があった」という宮﨑氏は、人気YouTuberの動画やコメント欄をチェックして「見られる動画」「再生回数を伸ばす方法」を徹底的に研究。YouTubeのアルゴリズムの傾向や効果的な配信時間・頻度などを独自に分析した。

 分析を進める中で、企画内容については、視聴者が知りたいことを、どれだけつかんで、わかりやすく伝えられるかという視点でテーマを深掘りすることがポイントだと考えるようになった。「ただ単に自分の知識と技術を公開するだけでは飽きられます。視聴者が何を知りたいのかを常に考え、アンテナを張ってテーマを考えるようにしました。視聴者のコメントを読んで気になったことを、自分なりに勉強して分解し、発信することもあります」(宮﨑氏)。

 こうした分析に基づいて、一般人は知り得ない焼き肉店のバックヤード、業界ならではの暗黙のルール、肉にまつわるニュースの追跡、過去の食肉事件の検証などを配信。特に、世間に衝撃を与えた「牛肉加工偽装事件」(2007年)や「ユッケ食中毒事件」(2011年)について、食肉を使って検証した動画は見応えがあり、再生回数も一気に伸び、チャンネル登録者数も増えていった。

 また、高性能のカメラとパソコンを導入し、撮影・編集担当の友人はテンポのよい動画にするための編集のコツや撮影アングルの工夫に取り組んでスキルをアップしていった。さらに、美智子氏はでき上がった動画の内容と質をチェックし、ときには厳しい意見をぶつけてブラッシュアップを促した。

 こうした取り組みで、配信開始から1年半後には、広告収入を得るところまで再生時間と登録者数を伸ばすことに成功し、2023年4月には登録者数10万人を突破する急成長を遂げる。100本近く配信した動画の中には再生回数270万回を超え、大きな注目を集めたものもある。店では、YouTubeを見て店を知り来店する人が増加し、県外からの来店も増えた。動画がオンラインショップのアピールにもつながって、認知と販路の拡大に手応えを感じている。

  • 店内ポップでも自店のYouTubeチャンネルをアピール
  • 2022年夏にサブチャンネル「お肉のさぶちゃん」を開設。メインチャンネルより肩の力を抜いた企画やオンラインショップの紹介などを行っている

 現在、多くのフォロワーに継続的に見てもらうために、週1本をコンスタントに配信。最も再生されやすい時間帯と思われる金曜日の19時を配信日時に定め、火~木曜日の午前中に撮影して午後に編集を行うスケジュールだ。「ランチ営業もしているので、動画の撮影を続けていくのは大変。何度もやめようと思ったのですが、3人がそれぞれ、楽しみながら動画に取り組んでいることが、継続できている要因だと思います」と美智子氏は語る。

 今後も有益なテーマを設定し、勉強と研究も深めてフォロワーの拡大を図る。また、動画配信による広告収入で制作経費を賄う独立採算も視野に入れる。「ただし、我々の主戦場はあくまで店舗」と宮﨑氏。店の発展に貢献できるテーマや方法を追求し、さらなる成長を目指す。

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スタッフ 宮﨑美智子 氏
幼なじみだった店主の宮﨑将氏と結婚。コロナをきっかけに動画配信、ランチ営業、オンライン販売などを提案し、販路拡大の先頭に立つ。

チャンネル内の企画差別化で、広く深くファンをつかむ

「中華おつまみとお酒とごはん 巴馬」のYouTubeチャンネル「新潟長岡の中華居酒屋 巴馬の厨房

 2019年5月からYouTubeへの動画投稿を行い、地元のみならず全国へのファン拡大に成功している新潟県長岡市の中華居酒屋「中華おつまみとお酒とごはん 巴馬」。同店が開設しているYouTubeチャンネル「新潟長岡の中華居酒屋 巴馬の厨房」は、1~2週間に1回の頻度で更新し、2023年6月現在、YouTube登録者は3,500人を数えている。

中華おつまみとお酒とごはん 巴馬(新潟・長岡)
新潟県長岡市東坂之上町2-2-9 東坂之上ビルB1
https://r.gnavi.co.jp/4m6bwr2j0000/
YouTube「新潟長岡の中華居酒屋 巴馬の厨房
2012年にJR長岡駅前にオープンした中華居酒屋。単品料理やコースに加え、おかずが選べる定食も用意。20~50代まで幅広い支持を受けている。客単価は約3,500円。

潜在顧客には「店の雰囲気」を、中華料理好きには「専門性」を

 YouTube動画を始めたのはコロナ禍前、「写真やテキストの発信に苦手意識があり『ちょっとやってみたいな』くらいの感覚でした」と店主の丸山慎介氏。過去にマスコミの専門学校に通っており動画制作への関心は高かったという。中古のデジタルビデオカメラ と三脚、ノートパソコン を用意し、学生時代の知識をベースに独学でノウハウを磨いた。

 動画の内容は、“半分雑談、半分調理”をコンセプトにした「レシピ動画」をメインに、「営業風景」「営業の裏側(調理道具のハウツーや厨房のルームツアーなど)」の3タイプ。開設から1年半ほどはレシピ動画中心だったが、マンネリ化打破のため営業中の様子を撮影したところ、予測不能な展開やハプニングが人気に。「何か予想外のできごとが起こった方が動画としては面白いので、撮影中に皿を割ってしまった時には『やった!』とさえ思ってしまいます。レシピ動画はほかの飲食店も投稿しているので差別化しにくいですが、営業風景は自分の店の雰囲気が伝わるので良いと思います」(丸山氏)。

調理の様子などは三脚でカメラを固定して、丸山氏一人で撮影することも

 現在はミラーレス一眼カメラ2台と目線カメラを使用しているが「動画を始めるならカメラよりも編集ソフトにこだわるほうが良いです。音やテロップを入れる際の操作性の問題や、無料のものは動画内に入るソフトのロゴが消せないこともあります」(丸山氏)。

 また、ターゲットを意識して動画の企画を変えているのもポイント。地元客の集客を意識して配信しているのは、スタッフとの雑談を交えながら丸山氏が市販のレトルト食品をおいしくする調理方法などを紹介する「レシピ動画」と、満席で混乱する厨房の様子などを映す「営業風景」。店のアットホームな雰囲気を見せることで、実際に「スタッフさんのファンです」「あのマスターさんだ」と来店する人も。「長岡」や「中華」といったハッシュタグを付け、潜在的な客にリーチする工夫も欠かさない。

 地元客以外の視聴者向けには「中華包丁の使い方」「中華鍋の比較」などのハウツー動画を展開。「動画を参考にして買いました」といったコメントが多数寄せられ、購入した中国料理の調理道具一式の写真を送ってくれた人もいるという。企画はコメントを参考に決めることもあり、集客に直結せずとも再生回数の多さやコメントが制作のモチベーションアップにつながっているそうだ。

 気になるのが登録者数と再生回数だが、同店では2021年4月に投稿したピータンのレシピ動画で1万3,000回再生を記録し、登録者が急上昇。最近では1分で炒飯を作るショート動画が150万回再生。一気に登録者が800人増えた。分析にはWebページのアクセス解析サービス を活用し、視聴者の多い金・土曜日の20時を目処に配信している。「視聴者は珍しい食材や専門的な知識に興味のある人が多い印象です。登録者を増やすことよりも再生回数が多い動画を作る方が大事ですし、配信を続けることが長い目で見て登録者の増加や広告収入につながると思います」(丸山氏)。

 営業風景以外の撮影は営業時間外に行い、編集は1本で3~4日かかるなど、動画制作の負担は少なくない。「動画は情報量が多いので伝わる力が強いツールですが、数字を追うと簡単には伸びないので心が折れます。なので、誰かの役に立ちたい、喜んでくれるかな、と楽しみながら発信するのが続けるコツではないでしょうか」と丸山氏。今後はチャンネルを充実させていくと同時に、不定期で配信しているライブ配信にも意欲を燃やしている。

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店主 丸山 慎介氏
マスコミ専門学校と調理師専門学校を経て、新潟県内の中国料理店2店舗で計12年修業を積み、31歳で独立。メニュー表やYouTubeなどユニークな感性を店づくりに生かしている。

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