2023/07/13 特集

春から屋上・体験型ビアガーデン需要がアップ!秋までの期間延長で大盛況

2023年、季節も夏となり、外食に”開放感"を求める人の動きが増えている。そこで、屋上のオープンエアで集客アップに成功している人気店の、空間作りの工夫や料理、ドリンクなどを、事例をもとに紹介する。

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更新日:2024.4.18

2023年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症はいよいよ5類感染症へ移行し、街は人の流れが活発化している。そんな人々の傾向と気温上昇の相乗効果から、開放感を求めてテラス席やビアガーデンなどのニーズが高まっており、例年より早い段階から予約の問い合わせが増えているという。

そこで、屋上オープンエアという広さを生かし、ユニークな「体験型ビアガーデン」を展開することで、開催早々から賑わっている飲食店に注目。都会の中心でありながら、食べ放題屋台で”夏祭り”気分を味わえる屋上祭宴と、”テーマパーク”にいるような空間で世界のバーベキューを楽しめるビアガーデンの事例を紹介する。

目次
毎日が「夏祭り」!体験型ビアガーデンで差別化に成功
 「祭屋台とBBQビアガーデン【屋上祭宴】天満橋屋上店」(大阪・天満橋)

新宿駅すぐの好アクセスと、“空の遊園地”のような空間で話題に!
 「新宿BBQ ビアガーデン HELLO」(東京・新宿)

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毎日が「夏祭り」!体験型ビアガーデンで差別化に成功

祭屋台とBBQビアガーデン【屋上祭宴】天満橋屋上店(大阪・天満橋)
大阪府大阪市中央区天満橋京町1-1 京阪シティモールRF
https://r.gnavi.co.jp/njz15teg0000/
京阪本線 天満橋駅直結、徒歩1分。株式会社NITOエンタープライズが運営する夏季限定のビアガーデン。2022年オープンし、お祭り気分で屋台とバーベキューが楽しめる。天神祭の日は16~22時まで利用できる特別プラン1万2,000円も用意している。

子どもが喜ぶアクティビティも用意し、土・日曜日のファミリーを獲得

メイン席には、天候に左右されない屋根を設置。開閉式のため、晴れた日は開けている。テーブルは予約人数に合わせて配置を変える

2023年6月22日から10月1日までの約2カ月半、大阪・天満橋駅直結の商業施設「京阪シティモール」の屋上フロアで営業する「祭屋台とBBQビアガーデン【屋上祭宴】天満橋屋上店」。運営会社の株式会社NITOエンタープライズは、大阪市内で和食店や炭火焼鳥店など10店舗を展開し、昨年2022年から同社初の試みとなる夏期限定ビアガーデンを始めている。”夏祭り”をコンセプトに、会場には約600個のちょうちんを吊り下げ、祭りムードを演出。フロアの女性スタッフは浴衣姿で接客し、BGMには夏祭りをイメージさせるにぎやかな音楽を流すなど、非日常を感じさせる雰囲気作りに注力している。

土・日曜日・祝日はファミリーが多く、屋根無しのオープン席まで満席に。2023年は席数を大幅に増やしている

平日は30~40代を中心としたビジネス層が来店。週末は子ども向けメニューを積極的に開発したことでファミリーが中心に訪れ、土・日曜日に売上が落ち込みがちなビアガーデンの傾向を覆している。「土・日曜日は来店客の5分の1が子どもさんというケースもあります」と店長の白根真輝氏は語る。また、このエリアでは珍しい220人という収容力が強みとなり、60~80人規模の宴会も獲得している。

利用しやすいプランと価格設定が、集客アップのポイント。プラス1,000円すれば、1時間飲み放題が延長できる
「屋台を満喫プラン」は、10種の屋台メニューが食べ放題、飲み放題

メニューは、焼きそばや唐揚げ、冷やしきゅうり、牛すじホルモン焼き、チョコバナナ、かき氷など10種の屋台メニューが食べ放題となる「屋台を満喫プラン」(3,980円/2時間飲み放題付き)と、これに和牛盛合わせ+豚肉をテーブルの上で焼くバーベキュー料理が加わる「焼肉BBQと屋台プラン」(5,000円/2時間飲み放題付き)がある。ほかに、バーベキューの肉のランクが上和牛になり、制限時間も3時間になる「プレミア焼肉BBQと屋台プラン」(6,500円/3時間飲み放題付き)も提供している。

また週末は、子ども連れのファミリー限定プラン(2,980円~)のほか、子ども専用の1,980円のプランも用意。大人のプランには、屋台メニューとは別のアラカルトとして「旨塩キャベツ」「チョレギサラダ」「枝豆」の3品がセットされている。

「飲食店のビアガーデンなので、料理のおいしさはしっかりアピールします。特に、塩ダレで味付けるチョレギサラダは女性に好評です」(白根氏)。

  • 食べ放題の屋台メニューは各コーナーで調理される。ドリンクと同様にセルフサービス
  • 売りの「牛すじホルモン焼き」。こだわりの味をできたてで提供する

料理へのこだわりは屋台メニューにも見られ、一番人気の焼きそばは、製麺所から直接仕入れる生麺を使用。2023年から販売を開始した「牛すじホルモン焼き」は、大阪のローカルフードを印象付ける味として開発した。

ドリンクは約30種をセルフサービスで提供。ビールやウイスキー、焼酎、ソフトドリンクのほかに、サワーなども準備し、夏みかんやパインなどのシロップで好みの味に作ることもできる。

週末限定の「こども祭り」。射的やスーパーボールすくい、綿菓子作り、スマートボールを会場の一角で楽しめる

子どもをターゲットに始め、昨夏も好評を博した週末限定の「こども祭り」は、射的やスーパーボールすくい、綿菓子作り、スマートボールを会場の一角で楽しめる。子どもには1,980円の食事プランに参加チケットが2枚付き、大人には1枚300円でチケットを販売する。「こども祭り」はピーク時になると50人近くの参加者が一気に集まることもあるため、アクティビティ専用のスタッフを配置するなど、土・日曜日は16人程に増員して営業しているが、予約が好調のため、さらに8月夏休み期間中の平日も毎日万全の体制で対応する計画だ。

コロナ禍の規制が無くなった社会状況も影響し「今年は出足が好調。来店客数は昨年よりもはるかに多いです」と白根氏は語る。仕事仲間と一度訪れ、次は家族で来店というリピート利用も多いため、「来られた方が満足して帰ってくださることを一番に心がけています」と、白根氏は話す。

2022年の経験をもとに2023年は席数を80席増加したが、それでもぐるなびからのWeb予約を中心に週末は先まで埋まる盛況ぶり。天神祭の日には特別プランをも用意し、さらなる売上アップを目指している。

店長 白根 真輝 氏
大学時代のアルバイトをきっかけに飲食業界へ。入社から10年を迎え、現在はビアガーデンと系列店の店長を兼務している。

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新宿駅すぐの好アクセスと、“空の遊園地”のような空間で話題に!

新宿BBQ ビアガーデン HELLO(東京・新宿)
東京都新宿区西新宿1-1-5 ルミネ新宿店 ルミネ1 屋上
https://r.gnavi.co.jp/6e2wz5bt0000/
新宿駅南口徒歩1分。株式会社Tuneupが運営する、新宿ルミネ1屋上のバーベキュービアガーデン。“空の遊園地”をイメージしたメリーゴーラウンドやフォトブース、シネマスペースを配置。開放感に加え、遊び心とSNS映えする仕掛けが集客につながっている。

都会の屋上でピクニック。旅心地の空間で、非日常感を演出

テーブル席の一部に開閉式の屋根がある。日中は日よけや雨よけとして使い、夕方以降は開いて頭上の星空を楽しめる

2021年、「新宿の屋上で世界を旅する」をコンセプトに、JR新宿駅直結の「ルミネ1」屋上にオープンした期間限定のバーベキュービアガーデン「新宿BBQ ビアガーデン HELLO」。「コロナ禍での旅行が難しい中、日本と世界をテーマに、旅する楽しさを思い出すことができる場所としてスタートしました」とスタッフの小林葵氏は語る。

2022年よりInstagramなどSNSでの宣伝を強化した結果、認知度が向上。前年より1カ月早く(4月14日~10月15日)オープンしたが、前年の宣伝が功を奏して好調な滑り出しだ。平日でも昼間から、主に学生やビジネス層など20~30代中心のグループ、土・日曜日は子ども連れのファミリーも多く、すでに繁忙期前の初夏が、予約で埋まっている。「新宿駅すぐの利便性から、親子3世代でご予約されるお客様もいらっしゃいます」(小林氏)。

2023年の売りは、アメリカ・韓国・メキシコの料理を厳選した「ワールドトリップBBQコース」(7,590円/写真は2人前)。SNS映えするメキシカンハットを使ったプレートが好評だ
ボリューム満点の肉や魚介、野菜を卓上で焼き上げる。ソースもワカモレ、チミチュリ、サルサ、カンザスシティとあり、味のバリエーションも幅広く楽しめる

フードメニューは、2時間飲み放題付きのバーベキューコースをラインナップ。アメリカ・韓国・メキシコをイメージしたコースがあり、特にメキシコのコースはメキシカンハットの上にバーベキューの具材が乗っているユニークな盛り付けで人気だ。コースは各国のバーベキュープレートとグリル野菜が付く「ライトプラン」(5,390~5,940円)、さらにサラダとポテトフライが付く「スタンダードプラン」(5,940~6,490円)、そしてシメの一品とデザートも付く「プレミアムプラン」(6,490~7,040円)の3種類がある。

2023年からは3カ国の味を一度に楽しめる「ワールドトリップBBQコース」(7,590円)が新たに加わった。「サムギョプサルやホットドックなど各国のフードと、人気のメキシカンバーベキュープレート、ビッググラスカクテルやかき氷がセットになった、“いいところ取り”のコースです」と小林氏。

また、機材レンタルのみで食材やドリンクを持参する「持ち込みプラン」(2,980円、7〜8月は3,278円)の需要もある。全体の利用者の約2割を占め、自由度の高いプラン設定も集客のポイントといえる。

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  • ヒューガルデンホワイトなど常時4種類以上の世界のビールや各種カクテル、サワーがセルフサービスで飲み放題。カクテルやサワーは自分の好みの濃さに調整できる
  • 「ワールドトリップBBQコース」に含まれる、たっぷり2,000mlの巨大カクテル「チャイナブルー」
シェアして食べる、巨大かき氷「いちごのふわふわソルビン」。SNS映えのニーズに応える

ドリンクは160種類のカクテルやハンドメイドサワーを飲み放題で提供している。「セルフサービスなのでスタッフのオペレーションが少なくて済み、お客様からも自分のペースで楽しめると好評です」と小林氏。

ビールはプラス550円で飲み放題に追加可能で、バドワイザーやヒューガルデン、コロナビールなど常時4種類以上の世界のビールを楽しめるお得感から、約7割の客が注文している。2,000mlサイズのビッグサイズで提供するフォトジェニックなオリジナルカクテル(1,750円)やかき氷「いちごのふわふわソルビン」(1,980円)で“SNS映え”のニーズにも応える。

  • メリーゴーラウンドは乗車可能。スタッフによる撮影もサービスの一環
  • 写真映えするフォトスポットが各所にあり、バーベキューの合間にグループやファミリーで撮影する姿も

2022年までと同様に、敷地内には1回500円で乗れるメリーゴーラウンドやフォトスポット、大スクリーンで映画を鑑賞できるシネマテーブルを設けている。誕生日などの記念日利用も多いため、バースデープレートの提供やテーブルアート、音楽によるサプライズ演出のサービスを率先して行う。「ホールケーキにメッセージを書いて音楽とともにお出しするのですが、多い時で1日10件以上の利用があり、盛り上がりに一役買っています」と小林氏は笑顔を見せる。

夏のハイシーズンにはアコースティックライブや話題作・名作を上映する野外映画館など、屋上というシチュエーションを生かしたさまざまなイベントを予定している。

屋外営業で気になるのが天候だが、前日21時時点での降水確率が60%以上の場合に営業中止の判断をしている。基本的には電話で、つながらない場合はショートメッセージで連絡を入れているが、その場で日を改めて再予約されるお客様も多いという。

ビアガーデンの開放感と新宿駅直結というアクセスの良さをアピールして、さらに知名度を上げて集客に結びつける構えだ。

スタッフ 小林 葵 氏
同社のアルバイトとして系列の飲食店に勤務。2022年11月に正社員になり、2023年4月から現職。アルバイトを統括する立場で円滑なオペレーションに努める。

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