5つの人気店が利益を生み出すノウハウを深堀り
飲食店にとって、集客や売上アップと同様に重要なのが利益アップ。いかに集客や売上を上げていても利益が残らなければ経営はいずれ立ち行かなくなる。ましてや食材や人件費など原価が高騰する中で、利益をいかに生むかは至上命題だ。
そこで、全国の繁盛している飲食店を取材し、どのように利益を生み出す構造を作っているかを深堀り。それぞれのビジネスモデルの考え方から、利益を生む店づくりのヒントを探る。
目次
【食材原価】
・
利益率の高いおでんとお得な「どん安」で原価コントロール
「釣宿酒場マヅメ 野毛本店」(神奈川・桜木町)
【ドリンク原価】
・
お得な飲み放題プランでしっかり利益も獲得!
「乾杯酒場アホウどり 北野白梅町店」(京都・北野白梅町)
【人件費】
・
集客のカギは“スポットワーカーの接客”
「THE 赤提灯」(東京・新橋)
【家賃】
・
食材原価が高くても、家賃比率を抑えて成功!
「焼肉幸家」(東京・新宿御苑)
【光熱費】
・
節水ノズルの導入で水道代削減!
「京鼎樓HANARE 恵比寿店」(東京・恵比寿)
▼ぐるなび公式アカウント▼
【LINE】ぐるなび通信デジタル
よろしければ、ぜひ友達追加をお願いします!
利益率の高いおでんとお得な「どん安」で原価コントロール
「釣宿酒場マヅメ 野毛本店」(神奈川・桜木町)
-
「貝出汁おでん」(写真)など原価率を抑えたメニューで原価をコントロール -
飲めば飲むほど安くなる「どん安」の注文率が高く、3杯以上飲む人が多いことから売上や利益アップにつながっている
2022年9月にJR桜木町駅直結の商業ビル地下2階にオープンした「釣宿酒場マヅメ 野毛本店」。何よりの特徴は、希少な釣魚や地魚を単品で提供すること。釣魚は網で捕獲される魚に比べてストレスが少なく、うま味が強いのが特徴。しかし、流通量が少なく割高で、原価率は45%と高い。一方、1~2人で昼から軽く飲む人が多いこともあり客単価は2,400円程度。看板メニューの原価率が高く、客単価が低いにもかかわらず、営業利益率が15~20%と高水準をキープできているのはなぜか。
理由の1つが、フードメニュー全体での原価コントロール。釣魚や地魚の中に比較的安価な未利用魚も入れることで原価率を調整し、原価率28%の「貝出汁おでん」を釣魚と並ぶ売りのメニューとして打ち出すことでフード原価を抑制している。2つ目の理由が、ドリンクの提供方法。1杯目439円、2杯目329円、3杯目以降219円と飲むほどに安くなるサービス「どん安」が好評でほとんどの来店客が利用する。「どん安」の対象ドリンクは低原価のアルコールがメインで、来店客にとっては安く飲めて、お店にとっては売上や利益の確保につながるメリットがあり、ドリンクの売上比率は45%となっている。
こうした原価コントロールは、店の価値向上にもつながっていることがポイント。未利用魚を扱うことで他店との差別化ができ、「どん安」のドリンクをサワー、酎ハイ、ハイボールなどで固めることでオペレーションの効率化も実現している。
【こちらもチェック!】
「釣宿酒場マヅメ 野毛本店」の快進撃が止まらない!釣魚×地魚×お得な酒で大ヒット
釣宿酒場マヅメ 野毛本店(神奈川・桜木町)
業態:居酒屋
席数:40席(カウンター、テーブル席)
客単価平均:2,400円
客層:30~40代が中心。男女比6:4
アクセス:JR根岸線桜木町駅南改札東口 徒歩2分
営業時間:12:00~22:00
定休日:不定休
https://r.gnavi.co.jp/k3xt8jhe0000/
https://www.instagram.com/madume_noge/
お得な飲み放題プランでしっかり利益も獲得!
「乾杯酒場アホウどり 北野白梅町店」(京都・北野白梅町)
京都の人気店「乾杯酒場アホウどり 北野白梅町店」で、集客・利益アップの肝となっているのが、飲み放題プランだ。来店客の中心である学生をターゲットに、「学割ライト」(1,100円)、「学割スタンダード」(1,400円)、「学割プレミアム」(1,900円)の3種類を用意しており、約7割が「学割ライト」をオーダー。周辺の競合店の飲み放題(1,500円)より安い設定にしているが、ただ安いだけではなく、利益構造になっているのがポイントだ。
原価率の高いビールはプランに組み込んでおらず、1杯100円で追加できる。若い世代を中心に、1杯目はビールを飲むが、それ以降はチューハイやお茶割を飲む人が圧倒的に多い。実際、飲み放題のトップ3は1位「カルピスチューハイ」、2位「緑茶ハイ」、3位「烏龍ハイ」で、飲みやすさや度数の低さが人気の要因。飲み放題の利用客は平均5杯を飲み、学割ライトの平均原価率は26%。フードの平均原価率も33%以内に抑え、営業利益率20~25%という成果につながっている。
【こちらもチェック!】
居酒屋甲子園2024優勝「アホウどり」の、学生を魅了するメニュー開発&接客術
乾杯酒場アホウどり 北野白梅町店
業態:居酒屋
席数:45席(カウンター、テーブル席)
客単価平均:2,100円
客層:学生、インバウンドなど
アクセス:京福電鉄北野線 北野白梅町駅 徒歩1分
営業時間:18:00 - 26:00(L.O. 25:00)
定休日:無休
https://r.gnavi.co.jp/p1fxpkjj0000/
https://www.instagram.com/ahoudori_hakubai/
集客のカギは“スポットワーカーの接客”
「THE 赤提灯」(東京・新橋)
飲食業のコストの中で食材原価とともに高騰が課題となっているものが「人件費」だ。その点で注目したいのが東京・新橋「THE 赤提灯」。スポットワークサービス事業を行う株式会社タイミーと連携し、アルバイトを全てスポットワーカーでまかなっている。
オープンから約2年経った2025年4月現在、売上に対する人件費率は32%と標準的。求人にかけるコストや工数がかからず、育成についても簡略化されたオペレーションに加えて、新人にはベテランのスポットワーカーが教える好循環も生まれ、接客レベルを維持している。
そんな中で利益を生み出すポイントになっているのは「販促費」だ。販促にはあまりコストをかけず、口コミでファンを増やして集客につなげている。口コミやファンが増えている要因は大きく2つ。ミシュラン星付きレストランで修業した料理のおいしさと接客の良さだ。あえて写真のないメニュー表を作ったり、「烏森ハイボール」など、思わず「どんなメニュー?」と聞きたくなるネーミングで、初めてのスポットワーカーでも自然と来店客と会話が弾むようなきっかけを作ることで、常連客を増やし、集客力を高めることで利益体質を構築している。
【こちらもチェック!】
【注目の新業態】アルバイトが全員スポットワーカーを成立させ、飲食業界に新しい雇用を創出!「新橋銀座口ガード下 THE 赤提灯」
THE 赤提灯(東京・新橋)
業態:居酒屋
席数:1階立ち飲み席、2階44席(カウンター、テーブル席)
客単価平均:3,800円~4,000円
客層:20〜30代のビジネス層
アクセス:東京メトロ銀座線新橋駅5番口 徒歩1分
営業時間:16:00~23:30(土曜日は~23:00)
定休日:日曜日
https://r.gnavi.co.jp/g2nrrrfn0000/
https://www.instagram.com/akachochin_shimbashi/
食材原価が高くても、家賃比率を抑えて成功!
「焼肉幸家」(東京・新宿御苑)
2021年6月オープンの新宿御苑前駅至近の「焼肉幸家(さちや)」。有名焼肉店で長年仕入れ担当を務めたオーナーが、その人脈を使って仕入れた極上の和牛を原価率40~50%で提供することで坪月商100万円超えを記録している大繁盛店だ。
これほど食材原価をかけていながら、営業利益率が30%という驚異的な数字を実現している「幸家」。人件費率も20%と標準的で、焼肉店ということもあり決してアルコールの売上比率が高いわけでもない。それでも利益が出せている要因の一つは、一般的に10%程度と言われる飲食店の家賃比率を5%以下に抑えられていることだろう。
新宿御苑駅は新宿という巨大商圏の範囲内で、住宅街とオフィス街の両方に近いことから、平日はビジネス層、土・日曜日は地元住民を集客できるエリア。その駅近の路面という好立地だが、比較的古いビルの居抜き物件ということで家賃も割安で、最低限の設備投資だけで出店したこともあり、初期投資も抑えられた。ほか、前の日のディナーでさばききれなかった肉をランチメニューに組み込むことでロス削減につなげるなど工夫を重ねて利益アップにつなげている。
焼肉幸家(東京・新宿御苑)
業態:焼肉店
席数:24席(テーブル席、ソファー席)
客単価平均:ランチ2,700円、ディナー7,400円
客層:30~40代、男女比6:4 大人数・接待利用多数
アクセス:地下鉄丸ノ内線 新宿御苑前駅 徒歩2分
営業時間:11:00~23:00(L.O.22:00)
定休:無休
https://r.gnavi.co.jp/a8p04x0h0000/
節水ノズルの導入で水道代削減!
「京鼎樓HANARE 恵比寿店」(東京・恵比寿)
2025年に創業20周年を迎えた「京鼎樓(ジンディンロウ)」。東京・恵比寿に2012年6月にオープンした「京鼎樓HANARE 恵比寿店」では、「烏龍茶小籠包」(6個1,530円)など多彩な小籠包を売りに40~60代のビジネス層を集客しており、20周年記念瑠璃コース(9品7,000円)などを展開中だ。そんな「京鼎樓HANARE 恵比寿店」では、一部の蛇口に節水ノズル「バブル90」を導入することでコストの削減につなげている。
「バブル90」は空気とともに水を放出する独自の技術で、節水率約90%を誇る商品で、導入コストは比較的高いが導入から数カ月程度で十分ペイできるといわれている。約5年前から手洗い場や食器の洗い場などに採用している。食器は食洗機に入れる前に水洗いするが、「エビチリ」のソースや「担々麺」のラー油など簡単に落ちない汚れも水圧で弾き飛ばすので節水とともに時短にもつながり、オペレーションもコストも改善されたという。
京鼎樓HANARE 恵比寿店(東京・恵比寿)
業態:中華料理
席数:44席(テーブル席、個室)
客単価平均:ランチ1,700円、ディナー5,000円
客層:40~60代のビジネス層が中心。6割が女性
アクセス:JR恵比寿駅 徒歩1分
営業時間:月~金曜日11:30~15:30、17:30~23:00(土・日曜日・祝日は17:00~)
定休:不定休
https://r.gnavi.co.jp/rv6bdxjh0000/
Googleビジネスプロフィールの運用代行サービスは、ぐるなびで!
ぐるなびによるGoogleビジネスプロフィール(GBP)を活用したMEO対策・クチコミ対応を含む、飲食店に特化した集客支援・運用代行サービスを紹介します。
【ぐるなび】飲食店向けGoogleビジネスプロフィール(GBP)集客支援・運用代行サービス
資料請求・お問い合わせはお気軽にどうぞ
「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています!