2012/06/26 特集

トイレの空間活用術

トイレは、お店からのメッセージやアピールがお客に届きやすい場所。リピーター獲得やお店のファン作りをはじめ、コミュニケーションのきっかけとしてトイレ空間をうまく活用している2店舗を紹介。

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食事をする場所から離れ、独立したスペースであるトイレは、お店からのメッセージやアピールがお客に届きやすい場所。リピーター獲得やお店のファン作りをはじめ、コミュニケーションのきっかけとしてトイレ空間をうまく活用している2店舗を紹介。

トイレの中はもちろん待ち時間も楽しませて客とスタッフの距離が縮まる

【宮城・仙台駅前】 九州男児 仙台店

「まずはきれいに」がモットー。丁寧に清掃し、アメニティも置いた明るいトイレ

知恵の輪を解いてもらえるおいしいデザートに笑顔

ビルの構造上、客席80に対してトイレはひとつ。そのため、宴会ともなるとトイレ前が渋滞することも。そこで少しでも客の気を紛らわせるためにと、トイレ前に知恵の輪や心理テストの本が置かれ、壁になぞなぞが貼られた。「トイレに並んだことで、店にマイナスイメージを持たれてしまうのは避けたい。そもそも、お客様には、笑って楽しんで帰ってほしい。そのための策です」と店長の鈴木皓祐氏。知恵の輪は、はずせた人にデザートサービスの特典を付けた。グループ全員がはずしたら、盛り合わせで用意するなど、その日によって違ったデザートをサービス。また、心理テストの本は、客同士で読みながら待つ輪にスタッフが加わったり、なぞなぞは、近くにいるスタッフが答えを聞かれるなど、客とスタッフのコミュニケーションを生むツールとして活躍している。

“トイレ大作戦”はトイレの中までも続く。個室内でまず目に入るのは、壁に貼られたトイレ限定メニューの数々。「これはメニューに載せていない裏メニューで、実は私のいちおしメニューのこともあります。新しいメニューを考案した時には、お客様の反応を見るためにも、トイレに貼ったりします」と鈴木氏。また「宝探しゲーム」もあり、おもちゃのアヒルを見つけると、ドリンク1杯のサービスを付けている。さらには、スタッフの紹介文なども壁に貼り、名前を覚えてもらうきっかけとしても利用している。トイレという閉ざされた空間だからこそ、貼紙一枚一枚に、客はじっくり目を通すことができる。

トイレ周りの楽しみを充実させることは、コミュニケーションだけでなく、強いインパクトで「楽しい店だった、また来たい」という印象を残す狙いもある。「設備はお金をかければ解決できるかもしれません。しかし、それで良しとせず、マイナス面もアイデア次第でプラスにすることが重要」と鈴木氏。スタッフにもトイレ前での客との会話は、業務に支障がない限り積極的に行なってほしいと伝えている。

目線の高さの貼紙は、ちょうどよい数と文章量で、テンポよく読むことができる
“限定”を使い、自分だけが知っている裏メニュー感を演出し、お客の心をくすぐる
来店客の多くがトライして楽しむ「アヒル探し」。発見後のドリンクサービス(1グループ1名限り)は「魔王」もOKと太っ腹!
アヒルはここに隠れていた! 立ちながら探していると、意外と見つからない。壁の扉の奥深くまで探す人も多いとか

待ち時間も楽しませる!トイレの外にも工夫あり

なぞなぞなぞなぞの貼紙は3枚。スタッフに答えを求めることで、“我慢できない気持ち”が緩和される?
知恵の輪難易度の低い知恵の輪。外せた人へのデザートサービスはアイスのほか、日によって違うものを提供
心理本サラリーマンに人気。同じグループの複数人で待つときに盛り上がり、席に持って行く客もいる
スタッフ
高橋 栄樹 氏スタッフそれぞれが愛称を持つ同店で、高橋氏は「ポール」。トイレ限定メニューとして「ポールのスペシャルカクテル」が用意され、その腕前を披露する。会話を楽しみながら、積極的な接客を心がけている。
九州男児 仙台店
宮城県仙台市青葉区中央1-7-1
第一志ら梅ビル5F
http://r.gnavi.co.jp/t358300/2011年6月オープン。博多もつ鍋など、九州の郷土料理を提供し、目指すは「仙台一元気な店」。冬場はこたつ席も人気だ。今後は、トイレ限定メニューにデザートも加わる予定で内容を検討中。

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