2024/10/08 コラボ企画

女性だけで営む池袋「アホウドリ」に見る飲食業の新しい働き方

東京・池袋の先にある要町の古民家で仕出弁当などを販売する「アホウドリ」。一人の女性が立ち上げ、働くスタッフも全員女性という「女性だけの小さなチーム」が成長を続ける理由について代表の大石真理子さんに話を伺った。

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※スマイラー103号(2024年8月)より転載

ほっとするおかんの味でエールを。女性のチームで循環を生む未来の弁当店

池袋の先、要町の古民家で、朝からお弁当作りが始まる。仕出弁当・ケータリングの「アホウドリ」(運営:虎とバター株式会社)は、撮影現場のロケ弁などで大人気の弁当店だ。立ち上げたのは一人の女性、働くスタッフも全員女性。女性だけの小さなチームが成長を続ける理由とは? そこには従前の飲食業の働きづらさをプラスに転換する勘所があった。

大石真理子さん(写真中央)をはじめ、「アホウドリ」のスタッフは全員女性

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お客さんを待つんじゃなく、自分から行くことにした

「アホウドリ」は仕出業態の弁当店。主な顧客は法人で、ほっとする家庭的な味わいと食べ応えを兼ね備えるお弁当で働く人を支える。1日約100~200食を捌き、撮影現場などのケータリングでも和食のホットミールを届ける。主婦を中心とした“家庭料理のプロ”が集まる約10人の、小さくもパワフルな飲食チームだ。

同店の前身は、実はカフェ業態だった。定食やドリンクを提供する実店舗営業の側でお弁当もスタートさせると、営業と仕込みで労働時間は長時間化。そんな折、大石さんは自身の妊娠出産を迎え、一児の母に。ライフステージの変化と同時に、働き方のアップデートも迫られた。飲食の仕事を続けていくためには? 試行錯誤の末にたどり着いたのが「仕出し」の営業スタイルだった。受注生産で仕込み量をコントロールすることで労働時間を圧縮し、ロスも極力出さない。お客様の来店を待つ実店舗営業から、“自分から行く”お弁当とケータリングへ転換することで、女性スタッフが働きやすい職場環境の基盤を作った。

弁当作りは、オペレーションも洗練されている。“誰でもできる作業の組み合わせで、一人ではできない品数と手間のかかった料理”を作り上げるのがアホウドリ流。レギュラーメニューは、16品目が詰まった華やかな「丸わっぱ弁当」のほか、牛しぐれ、豚生姜、魚の西京焼き弁当など計9種類。人参しりしり、なすみそ、酢ごぼうなど副菜メニューも固定し、おかずは前営業日に仕込み、揚げ物と焼き物のみ当日朝に火入れして詰めるというルーティーンだ。おかずを固定化することで仕入れと仕込みがスムーズになり、多い時で一日200食の大量仕出も可能になった。おかずを定番化することで「お客さまに覚えてもらえて、リピートがじわじわと増えた」という効果もあった。

16品目が詰まった華やかな「丸わっぱ弁当」(写真右下)が人気

筆者が思うに、アホウドリ弁当の人気の秘訣は「見た目の華やかさ」と「味の安心感」のバランスの妙にある。蓋を開ければ思わず歓声が上がるほど彩りよく、味付けはスパイスなど驚きの要素も入りつつ、ベースはほっとする“おかんの味”。使用する食材は「家族に食べさせられるもの」を選び、原価に約4割を掛けて食べ手の満足感を保証する。仕込み場はシェア物件を借りて家賃を抑えるという経営の工夫が、お弁当のクオリティーにも効いてくる。

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「全員料理人」に育てる気概

現場で働くスタッフは30~60代と世代も幅広く、その多くは飲食業未経験者だ。「そりゃ経験者が助かるけど、“こうじゃないと”という理想を積み重ねていくとそんな人は居ない。育てることをしないから未来がすぼまる」。だから料理愛とやる気を条件に、未経験者も現場で育てる気概で採用する。インスタグラムの求人投稿は、募集要項に続いて「絶対料理上手にします」の言葉で締められている。大石さん曰く、スタッフは単なるオペレーターではなく“全員料理人”なのだ。飲食“業”は未経験でも、日々台所で料理の場数を踏む女性たちはみな、多才で生き生きとしてその姿が美しい。経験も年齢もまちまちの多様なスタッフが集う現場で、メンバー各人が成長しながら、おいしいごはんをお客様に届けて働く人を元気にする。そんな好循環の先で、日本の家庭料理の価値を未来に繋ぐこと、「懐かしいものを、明日へ残す」が同社の掲げるパーパスだ。

料理愛とやる気を条件に、飲食業界が未経験でも現場で育てる気概で採用している

ここは女性の職場であり居場所。大石さんの語る言葉からそんな印象を持つ。子育て中のママも、ダブルワーカーも、等しく目指すのは“それぞれが大事なものを大事にしあえる”職場環境だ。その上で居場所を守るため、そして次なる挑戦のために利益を堅実に積み重ねる。女性だけで営むたおやかな飲食業の姿が、東京下町の古民家にあった。

文:石川日向咲(いしかわ ひなさ)
日本各地のローカルフードを追う食の編集ライター。生産者取材や郷土料理教室の企画運営を経て現在、お弁当屋さんで料理人見習い。好きなお酒は芋焼酎ソーダ割り。
取材協力:「アホウドリ」(虎とバター株式会社)
東京都豊島区要町1-10-7 鯰の家1F
https://www.instagram.com/ahodori_bento/

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