2024/11/15 コラボ企画

「成吉思汗 だるま」老舗70年目の挑戦、札幌ジンギスカン愛を伝播する新拠点が東京に誕生!

北海道・札幌すすきので70年間、愛され続ける「成吉思汗(ジンギスカン)だるま」は、道民から観光客まで多くの熱いファンに支えられる老舗の名店だ。地域密着型の営業にこだわり、これまで他県への展開は無かったが、創業70周年を迎える節目として2024年、すすきのエリア以外では初となる新店を東京・上野御徒町にオープンさせた。

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※スマイラー104号(2024年9月)より転載

最大数のお客様をご案内できる秘策はウエイティングにあり

「だるま」のジンギスカンは、一度も冷凍しない新鮮な生のマトン肉が売り。特注のスリット鉄鍋で香ばしく焼いた肉を、うま味がキリッと際立つ特製タレで食す

北海道名物ジンギスカンには、発祥地域ごとに多様なバリエーションが存在するが、札幌の味を代表する「だるま」のジンギスカンは、一度も冷凍しない新鮮な生のマトン肉が売りだ。

戦後まもない1954年に創業、当時北海道ではポピュラーだった羊肉を使い、庶民に愛される店として札幌すすきのに誕生した。名物の「成吉思汗(ジンギスカン)」(1,290円)は、マトンのモモ、バラ、肩ロースなど様々な部位を一皿で味わえる看板メニューだ。

馬蹄型のカウンターは7席、北海道限定の「SAPPORO CLASSIC」も楽しめる

馬蹄型のカウンターに並ぶ七輪に炭火を入れ、特注のスリット鉄鍋で香ばしく焼いた肉を、うま味がキリッと際立つ特製タレで食す。鍋の縁に流れ落ちたマトンの脂で“揚げ焼き”にして食べる野菜も影の主役だ。カウンターの反対側から、店員がトングを伸ばしどんどん焼いてくれるスタイルもありがたい。滞店時間は平均して約45分と、回転が非常に早い提供スタイルも特徴的だ。

「だるまの既存6店舗は全て札幌すすきのエリアに密集していて、いずれの店も席の予約は取らずに行列が当たり前」、という独特な営業スタイル。実はこれは、顧客満足を高めるための地域密着戦略の一部だという。

店間が歩いて移動できる距離のため、待ちのお客様を比較的空いている店舗へ誘導したり、新鮮な食材の仕込みや在庫、スタッフのシフトまで、状況に応じてロスなく融通することが可能になる。またお客様の滞店時間が短いため、予約で席を押さえるよりもお待ちいただいた方が回転率も高まり、結果として最大数のお客様をご案内できるという。観光客からの人気はもちろんのこと、深夜帯まで地元の常連客で常時賑わう、愛されるローカルチェーンの矜持が随所に垣間見える。

今回お話を伺ったのは、4代目にあたるサブマネージャーの金 チョネさん。創業初代の女将の曽孫にあたる。現場に立ちながら若くして各店舗を取りまとめ、快活な人柄でスタッフからの信頼も厚い。コロナ禍をきっかけに地元札幌に戻り、2023年から本格ジョイン。店長未経験ながら札幌の新規店立ち上げを経験し、今回の東京進出プロジェクトにも副社長である父とともに奔走した。

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創業70年目の決意、東京に進出

創業70年目の節目に東京へ進出

これまで先代のポリシーで道内のみでの展開を貫いてきた同店だが、世代交代を見据えて、経営の舵取りは3代目(副社長)に任され始めている。そんな熟したタイミングで迎えた70周年、新たな世代はかねてより熱望されていた東京進出をついに決断した。

新規事業は親子二人で東京の街を練り歩く物件探しからスタート。いくつかのエリアを当たる中、すすきのとどこか雰囲気の似た繁華街、上野御徒町の空き物件と巡り合った。人通りの多い好立地で、一階角地。「店は一等地でやる」という初代の信条を受け継いで、新たな挑戦の舞台をこの地に決めた。焼肉店が多いエリアであることも、逆にチャンスと捉えているそうだ。

メニューは北海道の既存店と同じものを提供する。苦労したのは新鮮な食材の調達だ。札幌では、仕入れた食材を店舗間で無駄なく融通できるが、東京に届けるには流通のタイムラグと在庫の問題が生じてしまう。しかしここで妥協せず、既存店と同じ鮮度での提供を目指して、マトン肉はブロックのまま運び、店舗で一枚一枚手切りするというこだわりのスタイルを取った。

これらの企業努力の結果、価格は札幌の既存店と比べてわずか10円の上昇に抑えている。はじめは一ファンとして東京進出に後ろ向きだった地元業者も、長年の信頼関係からすぐに協力体制が整った。

人手不足解消のカギは、外国人採用

上野御徒町店のスタッフと、左から3番目が金 チョネさん

同社では、10年以上も前からベトナムやネパールを中心に多くの外国人スタッフが活躍しており、その割合は全体の約7割を占めるというから驚かされる。その採用手法は至ってシンプルに、リファラルだ。現職のスタッフが責任を持って紹介する形で、双方の信頼を担保する。「外国人留学生は、日本語学校入学から約6年間働いてくれる。初めは日本語が全く分からない子も、聞いて覚えて、外国人同士で教え合って、あっという間に喋れるようになる」とチョネさんも誇らしげだ。

洗い場から始めて、3ヵ月後には接客デビュー。若さゆえに吸収のスピードも早く、素直な努力家が多いそう。面接だけで分からない事もあるのは日本人でも外国人でも同じ。留学生同士はSNSでの横のつながりもあり、ある程度の事前情報を収集してもらうことも出来る。ちなみに上野御徒町店を率いる新店長の大役を任されたのも、勤続6年目で社員登用された若きベトナム人スタッフのトゥアンさんだ。

一方札幌の既存店では、10年、20年勤続のお母さんスタッフが店を守る。世代も国籍もバリエーションに富んだ豊かなチームだ。スタッフ教育にお堅いマニュアルはなく、先輩から見て学ぶスタイル。お国が違ってもそれが自然と機能するのは、世代間で得意を生かし苦手を補い合う、親子のような温かな連帯感が生まれているからだろう。

開店7日で、トライアンドエラー

7月14日、待望のオープンを迎えた「だるま上野御徒町店」。噂を聞きつけたファンが駆けつけ、初日からなんと6時間待ちの行列ができた。しかし早速、東京では並ぶ場所が確保できない問題と、酷暑の中、長時間お客様を待たせることへの懸念が発生。

そこで翌日には食事時間を1時間に制限することを決定し、お客様に案内。同時に整理券の導入に向けて動いたことでも、2週間後には運用が開始された。通常、検討から実装までに時間を要するところを、家族経営のフットワークの軽さと、過去に既存店でトライしていた経験が功を奏し、その知見を生かすことで早期の課題解決が実現された。

往年のファンは、この度の東京進出をどう捉えているのか? 札幌でも東京でも、常連の多くは“俺のだるま”という顔で、誇らしげに新しい客を連れてきてくれるそうだ。寂しさを感じる古参客も居るだろうが、それ以上に、愛する店が地元の誇りを掛けて、アウェーの地でも“同じ味を出す”覚悟を決めた挑戦だ。

ローカルフード「すすきのジンギスカン」を背負って踏み出す次世代の第一歩を、後押しできるのが真の常連というものだろう。そして同店がそれだけ熱いファンに恵まれるのは、変わらぬ味で地元一筋、4代かけて培った盤石の信頼があってこそだ。新たな拠点を増やすことを通して同店は、これまでのいつかを支えてくれた日本中のお客様への恩返しを積み重ねていく。

土地の味は思い出とひもづく。あの頃の札幌で食べた、昔住んでいた時に通った、だるまのあの味。それぞれが大切に抱える記憶と変わらぬ味が、遠く離れた東京の街で再会する。老舗の心意気が染み出す新拠点は、思い出の交差点として街に深く根を下ろしていきそうだ。

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文:石川日向咲(いしかわ ひなさ)
日本各地のローカルフードを追う食の編集ライター。生産者取材や郷土料理教室の企画運営を経て現在、お弁当屋さんで料理人見習い。好きなお酒は芋焼酎ソーダ割り。
取材協力:「成吉思汗だるま 上野御徒町店」
住所:東京都文京区湯島3-41-5
TEL 03-6240-1430
https://r.gnavi.co.jp/r02hdj930000/map/

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