2020/10/09 特集

今やるべき衛生対策〈前編〉 “クリーンな店”のつくり方

新型コロナに加え、例年、冬にはノロウイルスも流行する。お客に安心して来店してもらうために、この時期はより一層、衛生対策を強化したい。そこで今やるべき衛生対策を、前・後編の2回で紹介する。

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株式会社エムビックらいふ 環境分析センター所長 山本康文氏
2003年、名古屋大学大学院理学研究科修了。博士(生物学)。その後渡米し、約10年間、生命科学の基礎研究、農産物・食品に関する研究に従事。帰国後、有機JAS認証などに携わった後、HACCPや食の安心安全に関するコンサルティングに取り組む。
ALSOKグループの株式会社エムビックらいふは、同社環境分析センターで、食品企業や飲食店などの各種検査を実施。衛生コンサルティングも行っている。今後は、新型コロナウイルスのPCR検査、環境中の残留検査などもスタートする予定。

目に見えない細菌などを除去するのがクレンリネス

 愛される店になるために、常に向上を図りたいQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)。なかでもクレンリネスは、料理を提供する飲食店にとって、食中毒予防に関わる最も基本的な要素。来店客に懸念を抱かせてしまうと、再来店の意欲を削いでしまう要因ともなるため、まず一番に気をつけなければならないポイントだ。飲食店の衛生管理に詳しい株式会社エムビックらいふ・環境分析センター所長の山本康文氏は、「いくら料理やサービスがすばらしくても、テーブルや食器が衛生的でなかったり、清潔感のない店には行きたくない。新型コロナウイルスの拡大をきっかけに、そうした消費者の意識がますます強まっています」と話す。

 そうした現状を踏まえると、「うちの店は汚れたら掃除をしているし、汚くないから大丈夫」と油断してはいけない。なぜなら、汚れをきれいにするだけでは不十分だからだ。「汚れた箇所をきれいにする、ごみを取り除くといった対応は“クレンリネス(cleanliness)”ではなく、“クリーンネス(cleanness)”。本来クレンリネスとは、たとえ汚れがなくても、一定の頻度で清潔にすること。つまり、目に見えない細菌やウイルスを取り除くことです。ただ衛生への意識が“クリーンネス”止まりで、“クレンリネス”の意識が低い店舗は意外と多いです」と山本氏は指摘する。

 例えば、一見きれいに見えるテーブルでも、検査キットでふき取って調べてみると細菌やウイルスが付着しているケースがあるという。細菌やウイルスが残った状態で別の客が座れば、客席を介して感染してしまう可能性もある。特に細菌に比べてウイルスは、少ない量でも人に感染するという性質があるので注意したい。

 新型コロナの収束が見通せないことに加え、これから迎える冬はノロウイルスも流行する季節。万が一にも自店で感染を広げてしまわないために、この冬はクレンリネスをより一層徹底する必要がある。次項からは、特に押さえておきたいポイントを見ていこう。

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