早川 雅映 氏1991年に創造工房を創業。ホームページ作成事業などを経て、2009年から農業に参入。熟成黒ニンニク事業は農商工連携の成功例としても注目を集めている
果物のような熟成黒ニンニク。専門店ではデザートとして展開
京都府北部の京丹後市で熟成黒ニンニク「京丹後フルーツガーリック」を生産する早川雅映氏。大阪で生まれ育ち、農業とは無縁の仕事に従事していた20代半ばで京丹後市に移住。山海の幸に恵まれる暮らしを営む中で、常に頭にあったのは、安心・安全・健康がキーワードの農業だったという。
そんな思いを実際に行動へ移すきっかけとなったのが、ある日、岐阜から送られてきた黒ニンニクだった。「栄養価の高いニンニクを丸ごと食べられる。しかもおいしい。これなら私が目指す産業につながると思いました」と早川氏。他産地では生産と熟成を分けるところも多いが、約5ヘクタールの農園と熟成庫を有する自社ですべてを行う一貫生産が、作り始めて約1年で評価を得るという結果につながった。「1年目に出展したアグリフードEXPO(プロ農業者による国産農産物の展示商談会)で、フルーツガーリックが他産地の黒ニンニクよりもおいしいという声をもらいました。少し前から海外の星付きレストランのシェフからも注文をいただいています」。
世界のトップシェフが注目するのはもちろん味だ。収穫時は真っ白だったニンニクが、60℃前後に温度管理された熟成庫で約1カ月間、何も加えずただじっくり寝かされる間に黒くなり、まず耐熱発酵菌(高温に強い特殊な乳酸菌や酵母菌など)が完全発酵を起こし、次に高度なプロセスを経て、まるでプルーンのような芳醇な味わいに激変する。早川氏は「完全発酵プロセスは、栄養面でもにんにく有効成分を食べやすいものに変え、抗酸化力は生にんにくの約7倍に増加します」と健康面でも自信をのぞかせる。
そんなこだわりの食材をさっそく取り入れたのが、今年4月、京都・祇園にオープンした「アーリオ・ガーデン」の小山英明氏だ。京都市内で「ハワイアンダイニング ロコロコ」「祇園牛禅」「雅庵 京都六角」の3店舗を経営している小山氏の新店は、ニンニク料理の専門店。京都で一時期話題をさらったニンニク料理専門店でのフロアサービスをきっかけに、飲食業の仕事に就くようになった小山氏にとって思い入れのある業態だが、当時、デザートにはニンニクを使ったメニューがなく、物足りなさも感じていたという。そんな想いをぐるなびの営業担当者から紹介を受けた「京丹後フルーツガーリック」でようやく埋めることができた。「臭みがないことにまず驚きました。まったりとした食感とフルーツのような味は、バニラアイスとシンプルに合わせてデザートの顔にしようと思いました」(小山氏)。
専門店ならではの斬新なメニューに来店客の反応も上々だ。口コミ人気の火付け役になるのはそう遠くない。
創造工房
京都府京丹後市網野町木津416-1
http://www.ecotango.co.jp/
JR木津温泉駅そばの自社敷地内にニンニク熟成庫を設置。生産開始当初は契約農家からもニンニクを仕入れていたが、今春には自社農園(写真)で9割を生産できるようになった。地元の雇用を生み出し、地域活性化にも一役買っている。
京野菜&ガーリックバル アーリオ・ガーデン
京都府京都市東山区祇園町北側323 祇園会館4F
http://r.gnavi.co.jp/26yk5bkx0000/
八坂神社からほど近い、南国リゾートをイメージしたニンニク料理専門店。天井が高く開放感があり、一角に個室風の席を設けるなどフロアは変化に富んでいる。ニンニク料理は常時約50種がメニューに並ぶ。客層は20代後半の女性が中心。
小山 英明 氏経営する各店舗では、京野菜の逸品、食べ放題など、客のニーズに応えるメニューやスタイルを提供。将来は海外への出店も狙い、日々、店舗力アップに努める。
ぐるなびPRO厳選食材マーケット
http://pro.gnavi.co.jp/market/
2013年秋に開設。食材や生産者情報を探す飲食店と、こだわりを持つ生産者を直接つなげるサイト。カテゴリーから食材を探すことができ、購入や問い合わせのほか、サンプルの取り寄せ(一部商品)もできる。
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