更新日:2024年5月22日
気温が上がる夏は、ドリンクのニーズも高まるシーズン。料理だけではなく、店の特徴や売りをドリンクでもアピールして、集客&売上アップにつなげたい。ヒットするドリンクや飲み放題の秘密とは―。その源にあるのは、やっぱりオリジナリティだ。
目次
1.全席に自分で注げるサーバー付き! 飲み放題「30分500円」の明快さも好評
2.気分や利用シーンによって使い分け! 2つのお得な飲み放題が大好評
3.季節ごとに5つのラインナップ! 旬のフルーツを使った3カ月間限定ドリンク
4.色、ネーミング、グラス、口当たり―。「女性」目線を意識
全席に自分で注げるサーバー付き! 飲み放題「30分500円」の明快さも好評
【大阪・難波】ふれんちおでんとどて焼きの店 七縁
ハイボールを中心とした飲み放題システムで差別化
今年3月、大阪・難波にオープンしたばかりの「ふれんちおでんとどて焼きの店 七縁(ひちえん)」。「おでんやどて焼きという“大阪っぽい”食べ物を、女性向けにフレンチと組み合わせた、“ビストロ風の大衆的なお店”というのがコンセプトです」と話すのは、経営母体であるMAJIMA株式会社取締役の中山智映子氏。そして、その大衆性を具現化したひとつが、「30分500円」という単純明快な価格の飲み放題だ。
ドリンクは飲み放題のみで、含まれるのはハイボールとプレミアムビール、そして赤・白ワイン各4種類の計8種類のワイン。そして、「七縁」の飲み放題の大きな特徴は、全20席のカウンターは2席に対して1台、2卓あるテーブル席には各1台の計12台が設置された、ゴールドに輝くサーバー。ビールとワインは席から移動し、店内のディスペンサーから注ぐのだが、目の前にある、いわば“マイサーバー”からはハイボールが出てくる。サーバーを使って注ぐ楽しみに加え、自分のペースで飲めるとあって大好評だ。「サーバーから出てくるドリンクを、ビールでなくハイボールにしたのは、より大衆感を出すため。また、2杯目以降はビール以外のものを飲む人が多く、特に2軒目使いのお客様はビール以外を求める傾向が強いと感じたからです。ハイボールは料理との相性と、よりよいものを出したかったので『角ハイボール』に。ビールはプレミアムビール。ワインもしっかり試飲し、内容にこだわっています」と、代表取締役の眞島充友氏。飲み放題は、平日は30分から、金・土・日曜日と祝日は60分からとし、入店時に利用時間を来店客が申請。また、空席ができる状況を把握するため、終了10分前に延長の有無を確認し、延長の場合は1回だけ、任意の時間を来店客が指定できるシステムになっている。
「オープンしたばかりなので、店に入ってから飲み放題のシステムを知って喜ばれるお客様も多いですね。ぜひハイボールやワインを片手に、気軽な“大衆フレンチ”を楽しんでほしいです」と中山氏。現在、徐々に認知度が上がり、飲み放題目当ての来店客も増加中。将来的にはフランチャイズ化を目指し、業態をブラッシュアップしていく方針だ。
大阪府大阪市中央区千日前14-17
※閉店
気分や利用シーンによって使い分け! 2つのお得な飲み放題が大好評
【大阪・梅田】炭火とワイン 梅田店
ボトルワインはグラス単位でオリジナルドリンクも人気
炭火で焼く肉と豊富なワインが売りの「炭火とワイン」。その梅田店が今年4月、地下鉄東梅田駅から徒歩1分のビル6階にオープン。大阪市内では5店舗目となり、1号店「炭火とワイン福島店」(大阪・福島区)の2013年オープン時から好評な2つの時間無制限飲み放題が、店舗展開の礎となる売上の柱になっている。
「スタッフはみんなお酒が好き。プライベートだと2軒目でもそれなりの金額がかかってしまうので、自分たちが行きたくなるような、時間も料金も気にせず飲める店を目指しました」と語るのは、サービス事業部部長の村上雅基氏。「ボトルワイン飲み放題」(税抜1600円)の場合は、赤8種、白8種、スパークリング2種、樽詰めの生ワイン2種の計20種を、できるだけ多くの種類を飲んでもらえるよう、すべてグラス単位で提供している。「ワインの国や産地、ブドウの品種にもこだわっています。系列店すべてで飲み放題を実施しているスケールメリットを活かし、『飲み放題の価格とワインの質』において、他店との差別化を図っています」と、村上氏は自信をのぞかせる。ラインナップは1年に2度見直し、酒販メーカーや酒店と良好な関係を築きながら積極的に情報交換。梅田店限定導入で“乾杯専用生ワイン”としてアピールするイタリア直輸入の樽詰め生ワインも、そんな関係の中から導入できた商品だ。
一方、「プレミアム飲み放題」(税抜2100円)は、「ボトルワイン飲み放題」の内容に加え、ビールやサングリア、モヒート、ハイボール、ディジェスティフ(食後酒)など約25種と、7種のノンアルコールカクテル、6種のソフトドリンクを提供。なかでも、トレンドを意識して開発した「コールドプレスサワー」は、メインターゲットの30代女性に大人気。野菜や果物で作る味は3種あり、ケールなどのグリーンが映える一番人気の「グリーンズ」、アサイーやブルーベリーの入った「パープルズ」、マンゴーやグレープフルーツを使う「イエローズ」は、素材から引き出した色も美しく、「(茶系の)テーブルで飲まれているシーンをイメージしました」と、村上氏は開発の経緯を語る。「コールドプレスソーダ」としてノンアルコールでも提供しており、アルコールが苦手な人に配慮しているのも好評だ。また、ワインと紅茶を半々で割るオリジナルドリンク「ティーワイン」も3種開発。一番人気の「マスカットワイン」は、白ブドウのフレーバーティーに白ワインをあわせ、さわやかなブドウの香りが印象的。「ピーチティーワイン」、「炭火とワイン 京都駅前店」のオープンを記念して開発した「グリーンティーワイン」も「コールドプレス」同様、飲み放題のオリジナル性と充実度を印象付けている。
これらの飲み放題はすべて時間無制限で、来店客の8割がオーダーし、売上の約半分を占める。「お客様に呼ばれる前に、スタッフから次の1杯の声がけをするようにしています」と村上氏。注文を促し、満足度を高める働きかけが、ファンの拡大につながっている。
全20種のワインを好きなだけ ボトルワイン飲み放題1,600円(税抜)
オリジナルスペシャルドリンクも充実!プレミアム飲み放題2,100円(税抜)
(下)おしぼりや皿もカラフルなアイテムを選択し、店を印象付けている
大阪府大阪市北区曽根崎2-7-2 梅新会館6F
※閉店
季節ごとに5つのラインナップ! 旬のフルーツを使った3カ月間限定ドリンク
【福岡・大名】HASU KITCHEN and DRINKS
女性好みの飲みやすさと写真映えする見た目を重視
福岡きっての繁華街、天神・大名エリアに店を構える「HASU KITCHEN and DRINKS」。蓮の花をイメージしたオリエンタルな癒やしの空間が心地よく、四季折々の旬の食材を使用した和の創作料理を提供している。そんな同店で、リピーターを飽きさせない月替わりのコース料理と同じくらい力を入れているのが、季節限定のオリジナルカクテルだ。
2軒目使いでの利用も多く、スイーツやデザート感覚で気軽に楽しめるカクテルの人気が高いのが特徴で、旬のフルーツをベースにした5種類のドリンクは、年4回、季節ごとに内容を一新。6月から提供している「夏」バージョンでは、キウイをベースにしたスムージーカクテル「グリーンパラダイス」や、夏気分満載のマンゴーとココナッツを組み合わせた「サマーディライト」など、柑橘系の清涼感あふれるカクテルをラインナップ。「お客様は20代半ばから後半の女性が多く、アルコール度数を抑えた飲みやすさを基本にしています。5種類の中には、食事に合うシャンパンカクテルとノンアルコールを必ず入れ、SNS映えする見た目や、メニューに写真を載せた際の全体的な色のバランスも意識しています」と、メニュー開発を担当する川畑直樹氏。基本的に同じドリンクは出さないものの、「以前飲んだあのカクテルを、また飲みたい」とリクエストされることも多く、材料があれば柔軟に対応するという。
また、提供中も常にレシピ通りではなく、飲んだ人の反応を見ながらブラッシュアップさせている。「例えば、生のフルーツは熟すにつれて甘みが増すため、リキュールなどの分量を変えて味のバランスを調えます。ライムやレモンは、絞り方によって味が変わるので、えぐみを出さないように気を付けています」と川畑氏。食材にこだわる料理と同じように、繊細で奥深いドリンクの提供スタイルが女性の心をつかんでいる。
福岡県福岡市中央区大名1-3-3 NEO 大名2F
https://r.gnavi.co.jp/f699100/
色、ネーミング、グラス、口当たり―。「女性」目線を意識
【大阪・梅田】ローザ・ローハ
SNS映えする見た目を追求。今後はノンアルコールも強化
JR大阪駅直結の大型商業施設10階にあるスペイン料理&バル「ローザ・ローハ」では、施設のターゲットである20.30代前半の女性を念頭にオリジナルカクテルを開発。副店長であり、ドリンクの開発を担当する本間一輝氏は「店名がスペイン語で“赤いバラ”を意味することから、『赤』『バラ』のほか、色、食感、グラスの形状などを総合的に意識します。店の立地上、食事がメインのお客様が多いので、“食べる”要素を加えたものも多いですね」と語る。女性向けに工夫したスペイン風キールロワイヤル「ジュビア」は、スパークリングワインにカシスで赤味をプラスし、食用のベルローズで華やかさを演出。また、「『ジュビア』はスペイン語で“雨”。雨の日に恋人を待つショパンの心情を表現しました」(本間氏)と、各ドリンクのネーミングにもストーリー性を持たせている。
現在、オリジナルカクテルはノンアルコール3種を含む全13種。中でも逆三角形のグラスで提供する「ローズ・ブルー」は、2~3カ月の試行錯誤の末に昨秋完成したものだ。オレンジジュースを凍らせたバラの形の氷でビジュアルを際立たせ、見た目のかわいらしさと、シャリシャリとした食感を楽しんでもらうという狙いどおり、女性から大人気。情報はSNSで拡散され、これを目当てに来店する人もいるという。そのほか、「エルソンブレロ」は、女性スタッフの提案でマンゴーをダイス状に凍らせて使用。「ソルカリエンテ」は、バニラアイスをトッピングし、「食べる楽しさ」をアピールしている。
ドリンクの売上の3割を占めるオリジナルカクテルはさらに充実させていく予定。「『まずはビール』というお客様はほとんどおらず、ドリンクについては気に入ったものがあれば1杯だけ楽しむ人も多い」と本間氏。若い女性には、ノンアルコールがその1杯になると見込んでおり、今後はノンアルコールカクテルの開発にも力を注く予定だ。
大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア大阪10F
※閉店