創業100年のだし香る!「おでん盛り合わせ」新店・築地「UMAMI DINING 和田久(わだきゅう)」

日本人が発見したといわれる第5の味覚「うま味」は世界に広がり、今やUMAMIもDASHIも世界の共通語。一方、国内でも2025年は“第2次だしブーム”が続いているといわれ、ユニークなだしフードが次々に登場しています。そんな中、削り節の老舗・和田久が、創業100年を記念して「UMAMI DINING 和田久」をオープン。老舗の専門店だからこそ提供できる、特別なだし料理を深掘ります。

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おでん盛り合わせ

おでん盛り合わせ(6,600円~のコースの一品)

日本料理の基本中の基本ともいえる「だし」。ほとんどの料理に使われているだしだからこそ、意識してだしを味わう機会は意外に少ないかもしれません。そんな中、だしにフォーカスし、だしを味わう料理を提供して人気を集めている店があります。

今回は、週末の酒場巡りが趣味のフードライター・桑原 恵美子さんが、「UMAMI DINING 和田久」を訪問。だし上級者を目指す人にぜひ一度味わってほしい、“本物のだし”の魅力を紹介します。

桑原 恵美子
フードライター。十数年間にわたり、新聞社系の媒体で大手チェーン飲食店や新オープンの商業施設の飲食店、食品メーカーを中心に取材。ぐるなび媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材。「ラクなのに美味しい 驚異の弱火調理法」(三空出版)など料理レシピ本の構成にも携わる。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html

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UMAMI DINING 和田久(東京・築地)

【店舗Data】
UMAMI DINING 和田久(うまみ ダイニング わだきゅう)
業態: 小料理店
席数: カウンター6席、テーブル1卓(3名まで)
客単価:8,000~1万円
客層:40~60代 男女比5:5 夫婦やカップルが多い
住  所:東京都中央区築地4-7-5 築地Kyビル1F
アクセス:地下鉄日比谷線築地駅2番出口から徒歩3分
営業時間:月・火・木~土曜日18:00〜22:00
定休日:水・日曜日、祝日
https://r.gnavi.co.jp/fejduze70000/

目次
創業100年目の削り節専門店が手がける、和食ダイニング
好みが分かれる!「特製だし3種の飲みくらべ」
フレッシュな香りとうま味を味わう「おでん」
奥が深いだしの面白さを、もっと広めたい

創業100年目の削り節専門店が手がける、和食ダイニング

株式会社和田久は、大正14年(1925年)日本橋に創業し、100年間に渡りカツオ節削り業を営んできた老舗。本場である鹿児島県枕崎市に工場を持ち、目利きによって選ばれた良質なカツオ節を用途に合った削り方で老舗の旅館や料亭に提供して、本物を知るプロに支持されてきました。

三代目社長・和田 祐幸(さちゆき)氏は、2014年スペインにカツオ節工場を作り、輸入が禁止されている欧州に本物を広めた業界のパイオニアとしても知られています。その和田社長が記念すべき創立100年を機に、「一般の方にもだし文化を広めたい」と考えて2025年8月4日、築地にオープンしたのが「UMAMI DINING 和田久」(以降「和田久」)です。

  • 昼は物販店として営業(Photo by UMAMI DINING 和田久・高橋さん)
  • 夜のみ飲食店として「和田久」を営業している(Photo by UMAMI DINING 和田久・高橋さん)

店内は一見、カツオ節や昆布がずらりと並んだ物販店ですが、奥に進むと突如、立派な一枚板のカウンターと大きな看板があらわれて、驚きます。

  • 最高級品から手ごろな品まで、さまざまな削り節と昆布が陳列されている棚
  • 木肌の艶が見事な奥行きのあるカウンター6席と、重厚感のある「和田久」の巨大な看板。カウンターのブルー部分は、電磁調理器になっている

メニューはコースのみ。3種類あり、「前菜5種盛り合わせコース」(2,200円)はお酒を楽しみたい人のためのコースで、「UMAMI 旨味コース」(6,600)は「特製だし3種の飲みくらべ」から始まり「おでん盛り合わせ」を中心としたお料理数種類の構成、「WADAKYU 和田久コース」(8,800円)は肉料理とシメのお食事(稲庭うどんか雑炊)がプラスされます。

好みが分かれる!「特製だし3種の飲みくらべ」

席についてすぐに出されるのが、小さなショットグラスに入った3種類のだし。「血合い抜きのマグロ節」「血合い抜きのカツオ節」「血合いありのカツオ節(一般的)」を飲み比べて、自分の好みのだしを知ってもらうという趣向です。

「特製だし3種の飲みくらべ」(コースの一品)。左から「血合い抜きのマグロ節」「血合い抜きのカツオ節」「血合いありのカツオ節」

「血合い抜きのマグロ節」は、上品ですっきりとしたうま味。「血合い抜きのカツオ節」はそれよりも香りが高く、うま味にキレがあるような…。どちらも鉄分の多い血合いがないせいか、いつも味わっているだしよりも魚っぽいクセがなく、軽やかで穏やかな味わいです。そしてなじみのある「血合いありのカツオ節」は、力強く濃厚なうま味で、少しだけ渋みも感じます。

共通しているのは、どれも今まで味わったことがないくらい、香り高く味わい深いということ。女将の高橋 利恵さんによると、人によって不思議なくらい好みが分かれるのだとか。

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フレッシュな香りとうま味を味わう「おでん」

どのお料理も、「だしってこんなにおいしかったのか」「こんな味わい方もあるのか」と発見の連続ですが、私が一番おすすめしたいのは、看板料理のおでんです。

看板料理「おでん盛り合わせ」

注目すべきはもちろん、つゆ。「和田久」は、個々の料理や素材に合うように削り節を選び、削り方を変えて提供することで多くの料理人に信頼されており、このおでんに使われているのはもちろん、おでんに合わせて選びぬいたカツオ節。それを毎朝、必ず削りたてでだしをとっておでんを作っています。

「うま味が重層的になる」と、つゆの継ぎ足しをする店もありますが、「和田久」ではその日に削ったカツオ節のだしだけを使用することにこだわり、だしを翌日には持ち越さないことを鉄則にしています。そのせいでしょうか、うま味は濃厚なのに雑味がなく、飲めば飲むほどもっと飲みたくなる、そんなつゆなのです。

  • 普段見るカツオ節とは全く異なる大きさに驚く
  • 1枚を持ち上げると、幅広で長く、透けて見えるほど極薄

料理に使っている削り節を見せてもらうと、これまで見たことのない大きさと薄さ。そして美しいピンク色と艶。そのまま口に入れると一瞬で口中に広がって溶けて消えます。「こんなカツオ節が世の中にあるんだ」と、驚きました。これを惜しげなく使って料理を作っているのだから、おいしいのも当然。

つみれは、カツオ節の聖地と呼ばれる鹿児島・枕崎で作られたものを直送している

おでん種イワシのつみれは、鹿児島・枕崎で新鮮なイワシを使って作ったものを直送してもらっているそう。「これがイワシ?」と不思議になるほど上品で、なめらかで、うま味の爆弾のようなつみれです。

料理は全体的に、だしの味と素材の味がわかるよう薄味に仕上げられており、好みで塩味を加えられるよう、卓上に「自家製鰹節塩」が置かれている

卓上の「鰹節塩」のおいしさに感動し「売ってほしい」というお客様も多いそうですが、「粉にすると酸化しやすくなりますので、お売りできないんです」と高橋さん。残念ですが、これも老舗ならではの愛情とこだわりですね。

奥が深いだしの面白さを、もっと広めたい

献立づくりから調理、接客までを一手に担っている、女将の高橋 利恵さん(写真:UMAMI DINING 和田久)

高橋さんは着物レンタルや和文化体験を提供するKIMONO TOKYO TOSHIEの代表ですが、新しいことに挑戦したいと考えていた時に、「UMAMI DINING 和田久」を任せられる人を探していた和田社長と知り合う機会があったそうです。

「料理教室を開いていた時期もあって飲食業に興味がありましたし、着物のレンタル事業で和文化体験を行っているので、日本伝統のだし文化を広めたいという社長の思いにも共感しました。お話をお聞きして、ぜひやらせてほしいとお願いをしました」と高橋さん。

そこからだしの猛勉強を始め、オープン前には枕崎市まで足を運び、カツオ節づくりの現場も見学。「新鮮なカツオを一本一本人の手で丁寧に捌き、幾重にも手をかけて味を凝縮させ、カツオ節を完成させていることに改めて驚き、『なんと贅沢なものだろう』と感動しました。カツオを大切にして、余すところなく全部使っていることにも感銘を受けました」(高橋さん)。

  • 原料となるカツオは港から直送される。1本1本手作業で捌き、「煮籠」に並べて長時間じっくり茹でる(Photo by UMAMI DINING 和田久・高橋さん)
  • 薪の炎で、燻しと熱をもって乾燥させる事を繰り返すことで水分が抜け、うま味が凝縮される(Photo by UMAMI DINING 和田久・高橋さん)

「巨大なカツオの身から小さな削り節ができるまで、多くの行程を経て半年ほどかかり、重量は約1/6ほどになります。数えきれないほど多くの行程のほとんどを手作業で行うのを見させていただき、大事に食べなくてはと思いました」(高橋さん)。

「出汁豆腐の鰹塩辛添え」(左上)は、だしをまわしかけた豆腐に枕崎港でつくられている珍味「鰹塩辛」をトッピング。「茶碗蒸し」(右上)は、卵液にだしをぜいたくに使い、銀餡は冬季のメニュー。餡は季節ごとに変わる。枕崎市の鰹味噌を使用した「里芋の鰹みそ合え」(左下)は、季節によって材料がサツマイモやジャガイモに変わる。「〆のおじや」(右下)は、だしをたっぷり吸いこんだお米一粒一粒に卵がからんだ、芸術品のような一品
  • だしを使ったオリジナルカクテル「ジンの鮪出汁割」(1,320円)。氷もだしでできているので、溶けてもうま味が薄まらない
  • だしの味わいを活かす日本酒を常時、数種類用意。グラス880円から

コースのスターターとして「特製だし3種の飲みくらべ」を出すアイデアを考案したのは高橋さん。和田久の特級品のカツオ節を知った後で、スーパーなどで売られている一般的なカツオ節でだしをひくと、味も香りもほとんど感じられなかった驚きがヒントになったそうです。

「私はだしの勉強を始めたばかり…」と謙遜する高橋さんですが、「今後はだし取り体験など、だしの魅力を知ってもらう体験をどんどん提供していきたい」と、さまざまなプランを胸に秘めているよう。100年の伝統に高橋さんのチャレンジスピリットと新たな感性が加わったことで、だしの新しい楽しみ方がここから生まれ、大きく広がる予感がしています。

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