Vol.6
もはやヘルシーなだけではない!多様化するニーズに応えたベーカリースイーツが人気沸騰中
映画産業の中心地・ハリウッドや数多くのセレブが暮らすビバリーヒルズを擁するロサンゼルス。俳優や女優、モデルが多く集まるため、ルックスへの意識が非常に高い。"ローファット""ノンファット""ノーシュガー""ヘルシー"などを謳うスイーツの店やレストランは昔からいくつも誕生してきたものの、味を妥協せざるを得なかったり、おしゃれな雰囲気に欠けていたりして、たいていは消えてきた。だが、今、新しい世代が作り上げる、品質にこだわったヘルシーなベーカリーショップがいくつか登場し、幅広く支持を集めている。
これらの店に通じるのは、"ダイエット"や"ヘルシー"というキーワードをあえて強調していないこと。様々なアレルギーや健康への関心と知識が高まり、細分化されるニーズを満たすよう配慮されており、見た目にも新しく、何よりもおいしいのが、成功の理由だ。映画産業の中心地・ハリウッドや数多くのセレブが暮らすエリアとしても知られるビバリー・センター界隈から、人々の支持を集めるベーカリースイーツ・ショップの最新事情をリポートする。
ユニークで斬新なフレーバーが楽しいノンフライの焼きドーナツ店がブレイク中
2011年8月、ビバリーセンターやザ・グローブという大型ショッピングセンター近くのW3番通り沿いのバス停前にオープンした、小さなドーナツ店「フォーナッツ」。
オープンから数日間は、商品のドーナツが開店直後に即刻売り切れたことでも、大きな話題になった。それから少し落ち着いた今(10月中旬取材現在)も、常に客足が絶えない人気店だ。
L.A.にある、数多くのセレブを顧客に持つ「パティナ」や「バザー・バイ・ホセ・アンドレ」などの超一流レストランでパティシエを務めたウェイリン・ルーカス氏と、声優のナンシー・トルーマン氏が立ち上げたこの店は、ノンフライドーナツの専門店。
一般的にドーナツは油で揚げたものが主流で、アメリカ人が好むおやつのひとつだ。「フォーナッツ」のドーナツは、油で揚げずにオーブンで焼くスタイル。
さらに、小麦アレルギーに対応し、米粉を使ったタイプやビーガン(完全菜食主義)にも対応したドーナツも開発している。にもかかわらず、"ノンフライ""ローファット""ヘルシー"などというキャッチフレーズは、店内のどこにも見あたらず、店内はシンプルかつおしゃれな雰囲気なのが大きな特徴だ。
「商品名をそのまま店名にした『フォーナッツ』は、"faux-donuts"(偽のドーナツと言う意味)から来ている造語です。店にやってくる人に、『どういう意味なの?』『これは何なの?』などと関心を持ってもらい、会話のきっかけを作ることで、お客さんとのつながりを深めたい」とルーカス氏は客とのコミュニケーションを大事にしている。
お菓子作りを趣味にするものの、小麦アレルギーをもつトルーマン氏は、小麦を使わず、しかもおいしいお菓子を作ろうと試行錯誤していた。その結果、揚げずに焼いて完成させたドーナツをファーマーズ・マーケットで売っていたところ、ご近所さんで友人のルーカス氏と、店を出してみようということになったという。
商品はすべてショーケース奥の厨房で作られており、ストロベリー・バターミルク、アップル・シナモン、チョリソ・チェダー、メイプル・ベーコン、ローズマリー・オリーブオイルなど、フレーバーの名前だけを見ても、目新しいフレーバーが多いのがわかる。季節のフレーバーや新しいフレーバーも常に開発しており、今のところ「2週間に1つは新しいフレーバーを追加している」(ルーカス氏)とのこと。
また、ビーガンのお客さんやグルテンフリー(小麦抜き)のドーナツを求めて来店するお客さんが多いという同店。今後の目標については、「特に需要の多い、ビーガン向けのフレーバーをより充実させていくつもりです」(トルーマン氏)。
(次回、アメリカ L.A. ベーカリースイーツ最新事情 後編に続く)
8104 W. 3rd St. Los Angeles
TEL
営業時間
平日7:00~18:00
土曜8:00~18:00
日曜8:00~17:00
定休日
火曜
www.fonuts.com
取材・原稿/猿渡由紀
写真/鈴木香織
構成/東郷葉月
※通貨レート:2011年11月21日現在1$=約76円で計算