(前編)ペルー発 ベジタリアン&ビーガンレストランが人気

世界から“美食の国”として注目を集めるペルー。最近は、ベジタリアンやビーガン向けのレストランが増加傾向で、ベジタリアン以外からも「おいしい」と評判の店も。なかでも特に話題の2店舗で人気の秘密に迫った。

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Vol.183

 旅行業界のアカデミー賞と称される「ワールドトラベルアワーズ」で、「世界最優秀グルメ観光地賞」を7年連続で受賞しているペルー。その首都・リマで、今もっとも注目を集めているのが「ベジタリアンレストラン」と「ビーガンレストラン」だ。そもそも「ベジタリアン」とは菜食主義者の総称。「ビーガン」とは、ベジタリアンのなかでも、肉類はもちろん、卵や乳、チーズ、ラードなど動物由来の食品を摂らない人のことを指す。ペルーでは近年、アレルギーや病気といった健康面や、動物保護、宗教など様々な理由で、ベジタリアンやビーガンが増加している。それに伴い、アンデスやアマゾンならではの農作物などを販売する「オーガニックマーケット」も各地で次々と開催されるように。さらに、2017年、宅配アプリによるベジタリアンメニューの注文件数は前年比で80%も増加し、昨年10月には市内のベジタリアン、ビーガンレストラン約30店が様々な創作料理を販売する“ベジタブルフードフェスティバル”も行われた。「ベジタリアンレストラン」と「ビーガンレストラン」も、こうした流れを受けて人気となっているが、食材にこだわったり、ヘルシーであることはもちろん、何よりも“おいしい”メニューを提供していることが人気のポイントだ。

 前編では、リマでベジタリアン&ビーガンレストランの代表格としてブームを牽引する2店舗を紹介する。

外国人旅行者を集めるビーガンカフェ

 ホテルやレストランが集中するペルー・リマ市南部の新市街・ミラフローレス区。その中心部に店を構えるのが、2015年9月にオープンしたビーガンカフェ「ラ・ベルデ(La Verde)」だ。

 使用する食材の90%がオーガニックというこの店の看板メニューは、店の名前を冠したハンバーガー「ラ・ベルデ」(25ソレス=約830円)だ。バンズは、スーパーフードとして人気のアマニ(アマ科の一年草・アマの種子)をローストして粉末にしたものを全粒粉に加えて作ってある。ベーキングパウダーを使用しておらず、しっかりとした食感で食べ応えがある。ハンバーグは、肉ではなく、南米アンデス原産のスーパーフード・キヌアと、アマゾン産のカスターニャナッツ(ブラジルナッツ)のおからから作った“キヌアバーグ”だ。そこに野菜のほか、自家製のトマトケチャップとマスタード、カシューナッツマヨネーズを挟んでおり、クセになる味わいだ。

キヌアバーグと、トマト、ルッコラ、キュウリ、スプラウトをサンドしたハンバーガー「ラ・ベルデ」。左下の器に入っているのは、塩味の効いたブラックオリーブとクラントロ(熱帯アメリカ原産の香味野菜)のソース。ハンバーガーにつけて、味にアクセントをつけられるようにしている

 そのほか、3枚の焼きたてワッフルとアイスクリームに、季節のフルーツを添えた「ワッフルス」(27ソレス=約896円)も人気。3枚のうち2枚はキヌア粉のワッフルで、雑穀ならではのほのかな苦みが特徴。残りの1枚は、こちらもアンデス山脈原産の穀物・キウィチャを使ったワッフルで、カカオのような味で食べやすい。上にのせるアイスクリームは、牛乳の代わりにココナツミルクやアーモンドミルクで作っている。季節のフルーツはマンゴー、イチゴ、ブルーベリー、ブラックベリー、ゴールデンベリー、バナナ、プラム、イチジク、サボテンの実と盛りだくさん。キヌアをパフ化したキヌアポップもトッピングされている。

ワッフルとアイスクリームは甘さ控えめで、素材の風味が活かされている。その代わり、甘みの強いジャム(右下、写真はイチゴジャム)や黒蜜も添えられる。キヌアバーガーと同じく、ジャムなどで好みの味に調整するスタイルだ

 オーナーのマリエラ・マトス氏は、ビーガン歴40年。自分の子どもにもビーガン料理を食べさせたいと18年ほど前にキヌアバーグを考案。今では、リマ市内のベジタリアンやビーガン向けのレストランでは必ず目にする定番メニューとなった。

ペルー人の世界的シェフ、ガストン・アクリオ氏にもキヌアバーグを伝授したというマトス氏。手に持っているのは、旬のイチジクとキウィチャで作ったケーキ

 来店客の7割はドイツやオーストラリア、ロシアなどの外国人旅行者で、そのほとんどがビーガンだという。デザートなどを除くと、日替わりメニューも含めて20種類ほどのビーガン料理を用意しており、「リマに滞在している間の食事はすべて『ラ・ベルデ』で食べる」という人も少なくない。ペルーならではの食材を使ったビーガン料理が、外国人観光客から熱烈な支持を獲得している。

La Verde
Calle Gral. Recavarren 315, Miraflores, Lima
https://www.facebook.com/La-Verde-882426118502872/

ビーガンではない富裕層の女性にも人気のビーガンカフェ

 リマ市南部の商業地区ミラフローレスのなかでも比較的住宅の多いエリアに、2013年5月オープンしたビーガンカフェ「ロー・カフェ・クラブ(Raw Cafe Club)」。

 看板料理は、「クラシックピザ」(24ソレス=約796円、ページの一番上の写真)。ピザ生地の上に特製トマトソースとともに乗せるチーズは、牛乳ではなくアマゾン産カシューナッツから作られたもの。さらに軽くソテーしたマッシュルームとトマト、ルッコラ、グリーンオリーブをトッピング。仕上げのガーリックパウダーとオレガノが食欲を誘う。

 ほか、様々な具材をトルティージャや海苔で包んだ各種「ラップサンド」(16~24ソレス=約531~796円)も人気。もちろん、具材に肉や乳製品は用いておらず、タンパク源はフムス(ヒヨコマメが主原料のペースト)やカシューナッツから作ったチーズだ。

ラップサンドの一つ「アマニラップ」(19ソレス=約630円)は、スライスしたニンジンやレタス、アボカド、パプリカ、ペルー産黄色トウガラシ入り。トルティージャは、すりおろしたマンゴーとズッキーニをアマニ粉で練って作ったもので、しっとりとした食感が特徴だ

 スイーツの一番人気は、ナッツ入りのキャラメルをチョコレートでコーティングしたお菓子「ビーガンビット」(10ソレス=約332円)。牛乳は使わずにペルー産のナツメヤシの実をベースにキャラメルを作り、ペルー産オーガニックカカオ70%とキビ砂糖だけで作ったピュアチョコレートで包んだ一品だ。

砕いたアマゾン産カシューナッツとピーナツもアクセントになっている「ビーガンビット」。甘みもしっかりとしていて腹持ちも抜群。ナツメヤシは栄養価が高くミネラルが多いため、「美容にもいい」と女性に人気だ

 現在、ミラフローレス区内に直営店を2軒、リマ新市街の高級住宅街にフランチャイズ店を2軒展開している。主な客層は、経済的に余裕があって、かつ健康や美容に気を使っているペルー人女性。必ずしもビーガンばかりではないのが特徴だ。

自身もビーガンである、オーナーのマルコ・ビルチェス氏。「当店の売りはビーガン料理ですが、ビーガンではない人でも気軽に利用できるよう、料理を紹介する際も、特にビーガン向けであることを強調したり、ビーガンの思想的な部分に触れたりすることはありません」と語る

 かつて、このような業態は、ベジタリアンやビーガンの人のためだけに存在していたといっても過言ではない。しかし、よりおいしいメニューを提供することで、ベジタリアン以外の人たちからも関心を集め、幅広い層を集客できる時代が訪れている。

Raw Cafe Club
Calle Independencia 587 Miraflores, Lima
http://rawcafe.com.pe/

取材・文/原田慶子(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ソル=約33.2円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。

※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報はご自身でご確認ください。

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