(後編)世界各国発 アジアの焼き麺がテイクアウトで人気

世界的にテイクアウトニーズが高まる中、世界各国でアジアの焼き麺が持ち帰りメニューとして人気を集めている。焼きそばやパッタイなど、さまざまなメニューを取り揃えて人気の店をリポートする。

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Vol.213

 新型コロナの影響が続く中、欧米を中心にアジアの焼き麺がテイクアウトメニューとして評判になっている。1つの店舗で、日本やタイ、インドネシアなど、いくつかの国の焼き麺を取りそろえていることも人気の理由だ。

 前編のヨーロッパに続き、後編ではアメリカとニュージーランドの事例をリポートする。

麺と味付けの違いが楽しめる多彩な焼き麺を提供

 アメリカ南部ルイジアナ州の州都バトンルージュ。その文教地区にある小さなショッピングモール内に2013年オープンしたのが、「ナインドラゴンヌードルハウス(Nine Dragon Noodle House)」。米粉を原料とするビーフン、タイ風焼きそば・パッタイといったアジアの焼き麺を売りに人気を集めている。もともとテイクアウトの利用が多かったこともあり、新型コロナウイルスが感染拡大を始めた3月以降はテイクアウトのみで営業を続けている。

 人気メニューの1つ「シンガポールビーフン」(9.75ドル=約1,040円)は、ビーフンを、アメリカ随一のエビの産地である地元・ルイジアナ産の大ぶりのエビのほか、牛肉や豚肉、鶏肉、卵、タマネギ、キャベツ、ニンジンなどとともに炒め、カレー粉で味付けをした一品。細麺のビーフンにカレーの風味がしっかり付き、それぞれの素材の旨みがバランスよく絡み合っている。

具だくさんの「シンガポールビーフン」。カレー味の細麺のビーフンがクセになる

 また、「エビのパッタイ」(11.95ドル=約1,280円)も人気だ。具材は「シンガポールビーフン」とほぼ同じだが、本場のパッタイと同様、ナンプラーなどで甘辛く味付けするほか、ライムを添えてさわやかな風味を加えられるようにしている。

甘めの味付けの「エビのパッタイ」は辛いものが苦手な人でも食べやすいメニュー

 このほか、広東料理の「ビーフホーフン」(10.95ドル=1,170円)も好評。ホーフンとは、幅1.5cmほどの平たい米粉麺のこと。これを、たまり醤油や薄口醤油、ニンニク油など数種類の調味料に漬け込んだ牛肉やモヤシ、紫タマネギ、長ネギなどの野菜とともに炒めたもので、お酒にも合う濃い味付けが特徴だ。

平麺が特徴の「ビーフホーフン」。牛肉の濃厚な旨みを感じられる

 周辺は住宅街で、近くに州立大学もあることから、主に学生やファミリーが来店。汁物の麺メニューもテイクアウト可能だが、麺がのびてしまうこともあり、ほとんどの人が焼き麺を購入。コロナ禍で、さらにニーズが高まっている。

ナインドラゴンヌードルハウス(Nine Dragon Noodle House)
5255 Highland Rd, Baton Rouge, LA 70808, USA
https://www.facebook.com/pages/9-Dragon-Noodle-House/236896869807824

オープンキッチンで提供する焼き麺が大人気

 5月以降(8月1日現在)、新型コロナの国内の新規感染者が出ておらず、飲食店も通常営業を許されているニュージーランド。国内に現在約50店舗を展開する「ヌードルキャンティーン(Noodle Canteen)」は、麺料理専門店で、特に人気なのが、23種類もそろえる焼き麺だ。ニュージーランドの北島にある、人口約17万人のハミルトン市の小さな商店街に、2005年オープンした1号店でも焼き麺は大人気。イートインも可能だが、9割以上の人がテイクアウトで購入するという。

 一番人気の「コンビネーションヌードル」(12ドル=約830円)は、卵麺を、エビや牛肉、豚肉、鶏肉、ブロッコリーなどの野菜とともにオイスターソースで炒めた一品。具だくさんで食べ応えがあるのが人気の理由だ。

麺が埋もれてしまうほど、具だくさんの「コンビネーションヌードル」

 また、日本の焼きうどん風の「テリヤキヌードル」(10.8ドル=約750円)も人気。うどんと鶏肉、タマネギ、モヤシ、ニンジン、ネギ、パクチョイ(ハクサイの近縁種)を炒め、仕上げに、コーンスターチでとろみをつけた照り焼きソースをからめた一品だ。

「テリヤキヌードル」。少し甘めの照り焼きソースが、子どもに人気

 さらに、「ベジタリアンミーゴレン」(10ドル=約690円)も好評。ミーゴレンとは、インドネシアやマレーシアなどで食べられている麺料理。豆腐、マッシュルーム、ブロッコリーなどの野菜と卵麺を、インド風カレーソースとともに炒めたもので、辛いものが好きな人から支持を得ている。

カレー風味の「ベジタリアンミーゴレン」。マイルド、ミディアム、ホットの3種類から辛さを選べる

 店は商業施設内にあるため、買い物をする前にオーダーをしておき、帰り際に持ち帰る人も多い。オープンキッチンにしているため、清潔な調理場の様子が客から見えるのも好評。特に新型コロナの影響で消費者が衛生面に一層気を遣うようになっており、早くて安くておいしいという3拍子に加え、人気の要因になっている。

Noodle Canteen
238 Peachgrove Rd, Five Cross Roads, Hamilton New Zealand
http://www.noodlecanteen.co.nz

(アメリカ)取材・文/賀茂美則(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ドル=約107円
(ニュージーランド)取材・文/りんみゆき(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ニュージーランドドル=約69円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。