Vol.225
世界各地でブームを起こしたタピオカミルクティーの発祥地といわれる台湾で今、最も注目を集めているのが、プリンやタロイモなどが入った「ドロっと系濃厚ドリンク」だ。ふたをしたプラスチックカップを振って、よく混ぜてから飲むスタイルで、タピオカミルクティーよりも口あたりが濃厚で腹持ちも良いため、ドリンクスタンドで購入して、おやつ代わりに飲む人も多い。現地で人気の最新「ドロっと系濃厚ドリンク」を紹介する。
食後のデザートとしても人気に!
台湾内で飲食業を手広く営むベン・リン氏が手掛けたドリンクスタンドのチェーン店「舒油頭(シューヨウトウ。英語名「Slowly,Yo」)」。2019年、台北のベッドタウン・新北市で1号店をオープンし、2021年3月現在、台湾内に30店舗以上を展開し、インドネシアやマレーシアなど、海外への店舗展開も進めている。
数あるドリンクの中で話題を集めているのが、数量限定の手作りプリンを大胆にトッピングしたドリンク。サイズはM、L、XLの3種類で、XLは1リットルと相当なボリュームだが、「XLを一人で飲み切る女性も少なくありません」とリン氏は語る。特に人気なのが、濃厚なミルクティーの上にプリンを乗せた「火山烈日布丁奶茶(フォシャンリィェリーブーディンナイチャー)」(Mサイズ65元=約234円)。プリンとミルクティーが混ざるようにふたをしたままシェイクしてからストローですするのがポピュラーな飲み方。プリンが混ざって濃厚になったミルクティーを楽しめる。
また、カップの内側に黒糖のシロップを塗ってからフレッシュミルクを注ぎ、プリンを乗せたのが「手作黑糖布丁白鬍子(ショウズォヘイタンブーディンバイフーズ)」(Mサイズ70元=約252円)。こちらのベースはミルクのみ。口あたりが柔らかく、飲みやすい。黒糖のまろやかな風味もミルクやプリンと絶妙にマッチしている。
来店客はビジネス層や学生をはじめ、女性が中心。ランチ後のデザート、学校や会社帰りの軽食などで購入する人が多く、時間帯を問わず人気のヒットドリンクになっている。
台湾新北市中和區興南路一段88號
http://www.slowlyyo.com.tw/index.html
台湾伝統のスイーツをドリンクにアレンジ!
ここ数年、台湾の首都・台北市内で人気を集めているドリンクスタンドが、台中で1992年に創業した「萬波島嶼紅茶(ワンボーダオユーホンチャー。英語名「Wan Po Tea Shop」)」だ。
同店で人気のドリンクが、「芋頭鮮奶加布丁(ユゥトウシェンナイジャーブーディン)」(Mサイズ80元=約288円)。つぶしてペースト状にしたタロイモを入れたカップにミルクを注ぎ、その上にプリンをトッピング。プリンとタロイモのペーストを組み合わせることで、より濃厚な味わいとドロっとした食感にしている。飲む人が、自分のペースでタロイモとミルクをゆっくり混ぜながら味の変化を楽しめるのが特徴だ。
広報担当のソフィー・クー氏は「台湾人は食べ慣れた味を好む傾向があります。子どものころのおやつの定番だったタロイモやプリンなどを使うことで、気軽にオーダーしていただけると考えました」と、開発の狙いを語る。
また、季節ごとに入れ替える期間限定のメニューも好評。今冬に提供している「糖水豆花(タンシュイドウファ)」(45元=約162円)は、豆乳から作った寄せ豆腐に黒糖シロップをかけてスプーンやレンゲで食べる台湾の定番スイーツ「豆花(ドウファ)」を、ストローで飲むドリンクとして商品化したもの。通常より甘さ控えめの黒糖シロップを使った豆花がベースで、トッピングとして「タピオカ」、「芋圓」(ユーユェン。直径3ミリほどのいも団子)、「仙草ゼリー」(シソ科の仙草を原料にしたゼリー)から1種類を選べる(2種類目からは10元=約36円で追加可能)。台湾の人にとって「豆花」といえばスプーンで食べるものなので、ストローで吸う感覚が新鮮だと評判だ。
台北のオフィス街にある中山店では、近隣に勤めるビジネス層を中心に集客。仕事の合間や帰り際に、懐かしい味をベースにした濃厚なドリンクを求め、男女問わず多くの人が足を運んでいる。
同チェーンの創業地・台中では、タピオカミルクティーやパイナップルケーキなど、台湾を代表するスイーツが生み出されてきた。今後も、台湾の人にとってなじみのある食材や懐かしいスイーツを使った新たなドロっと系濃厚ドリンクが誕生するかもしれない。
台北市中山區中山北路二段52之1號
https://wanpotea.com/
取材・文/mimi(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ドル=約3.6円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。