(前編)グアム発 アジア風味のバーガー&サンドイッチが人気

アメリカ・グアムで最近人気を集めているのが、日本をはじめとするアジアンテイストのハンバーガーやサンドイッチだ。独創的なアイデアから生まれた新しいメニューの数々を紹介する。

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Vol.229

 日本発祥の味付け「テリヤキ」は、いまや海外でも定番の味となり、ハンバーガーやサンドイッチに使う店も多い。そんな中、グアムでは近年、「テリヤキ」以外の日本の味付けを取り入れたり、アジア風に味付けしたりした創作バーガーやサンドイッチを提供する店が増えている。
その中から、特に特徴的で人気の店を紹介する。

ポン酢やわさび、七味唐辛子が絶妙なアクセントに!

 グアムの観光の中心地であるタモン地区の商業施設の一角に2020年12月末オープンした「サヴェージ・サンドイッチ・カンパニー(Savage Sandwich Company)」。独創的なサンドイッチを取りそろえており、いくつかのメニューには日本の調味料も使われている。

 その代表例が「S.G.サーモン」(14ドル=約1,470円)だ。七味唐辛子などのスパイスをたっぷりきかせたサーモンを1本丸ごと時間をかけて冷燻し、一口大に切ったものを直径約12センチの大きなブリオッシュバンズに挟んだバーガー。ハーブを加えた日本のマヨネーズとポン酢で味付けしているのが特徴で、サーモンのほかに、ソテーした赤タマネギと刻んだロメインレタスを挟んでいる。ピリ辛で脂がのっているスモークサーモンの濃厚なうま味、ソテーされた赤タマネギの甘みを、爽やかなポン酢が引き立てている。

左が「S.G.サーモン」。右は9種類あるフライドポテトの一つ「ベルギースタイルフライ・カバヤキ」(7ドル=約735円)。その名の通り、蒲焼きソースと黒ゴマと刻みネギがたっぷりとかかっていて、塩味を効かせた大学イモのような味わい

 また、一番人気の「サベージ・ルーベン」(14ドル=約1,470円)は、パストラミを挟んだサンドイッチ。これも、味付けには日本製のマヨネーズやケチャップ、ワサビを合わせた辛みのあるドレッシングを使用している。さらにパストラミも七味唐辛子や中国の混合香辛料・五香粉など5種類のスパイスで漬け込み、冷蔵庫で2週間寝かせ、さらに7時間かけて煮込んだものだ。ほかにグリュエールチーズ、オリジナルのザワークラウト、キムチなどがミルクブレッドに挟まれている。

「サベージ・ルーベン」。香辛料たっぷりのパストラミに、ワサビを加えて独特の風味をプラス。日本製のマヨネーズのまろやかさが、すべての香辛料をうまくまとめあげている

 このほか、日本のテイストを取り入れたユニークなサンドイッチが「ニッポン・エッグ」(11ドル=約1,155円)だ。厚さ約2.5センチの厚焼き玉子にパン粉の衣をつけて揚げた「卵焼きカツ」をトーストでサンド。千切りキャベツ、赤タマネギのスライスを挟み、日本製のとんかつソースとマヨネーズで味付けしている。

「ニッポン・エッグ」は、ポークカツではなく玉子焼きのカツを挟んだユニークな一品。日本人にとって、あまりなじみのない組み合わせだが、味わいはどこか懐かしい

 これらのメニューは、最初から日本風にしようと考えて生まれたものではない。オーナー兼マネージャーのディラン・サアド氏やスタッフが、自分たちの好きな食材や調味料を組み合わせ、試行錯誤した末に生まれたものばかり。だからこそ「日本では見られない日本風」というオリジナルメニューが生まれたのかもしれない。

サヴェージ・サンドイッチ・カンパニー(Savage Sandwich Company)
1180 Pale San Vitores Road, Tumon, Guam 96913
https://www.facebook.com/savagesandwichco/

しょうゆベースのソースで下味を付けた豆腐のサンドイッチ!

 グアム・アッパータモン地区の幹線道路沿いにある商業ビルの中に2011年11月オープンした創作チャモロ料理レストラン「ピカズ・カフェ (Pika's Cafe)」。チャモロ料理とは、グアムやサイパンなど、マリアナ諸島で親しまれている郷土料理のことだ。

 売れ筋メニューは「グリルド・トーフ・バインミー」(14ドル=約1,470円)。バインミーには肉を用いることが多いが、ここではしょうゆベースのマリネソースに漬け込んで揚げ焼きした絹豆腐を使っている。ダイコンとニンジンの紅白なます、キュウリのピクルス、刻みキャベツを挟み、ニンニクを強く効かせた辛めのアイオリソースで味付けしている。紅白なますはバインミーの基本食材だが、しゅうゆベースのマリネソースで漬け込んだ豆腐とともに味わうと、一気に和風テイストになって面白い。

「グリルド・トーフ・バインミー」。低カロリーな自家製チャバタ(イタリアの平たいパン)にしょうゆで味付けした豆腐を挟み、ヘルシーに仕上げた品。ダイエット志向の人やベジタリアンだけでなく、幅広い層に人気がある

 このほか、従来の欧米風ではない創作サンドイッチやバーガーも提供している。その一つが、煮込んだ豚バラ肉を用いたオリエンタル風味の「ポークベリー・サンドイッチ」(14ドル=約1,470円)だ。豚バラ肉の表面を焼いた後、オイスターソースなどを混ぜた自家製ソースで煮込み、短冊切りしたダイコンとニンジンのピクルス、キュウリとともに、トーストしたチャバタに挟んだもの。

「ポークベリー・サンドイッチ」。激辛のアイオリソースで味付けしており、刺激的な味わいが特徴。画像提供:Pika’s Cafe

 新しいおいしさを求めて試行錯誤した結果、日本風やアジア風の食材、調味料、味付けにたどりついた。しょうゆでマリネした豆腐と、地中海生まれのアイオリソースを組み合わせるという斬新な発想も、一つの国の料理に固執しない自由なアイデアから生まれたメニューと言える。

「ピカズ・カフェ」の店内。落ち着いた雰囲気で、幅広い層が訪れる

 来店客は、学生から主婦、旅行者などさまざま。日本風の味付けや、他店にはないオリジナルのアレンジが人気となり、8~19時まで、利用客が絶えない人気店となっている。

ピカズ・カフェ (Pika's Cafe)
Star Bldg., 888 North South Marine Corps Drive, Tamuning, Guam 96913
https://www.pikascafeguam.com

グアム 取材・文/陣内 真佐子 (海外書き人クラブ) 撮影/Kristina Yamamoto
※通貨レート 1ドル=105円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。