特別企画 ふるさとニッポンメニュー大賞(2ページ目)

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被災者の想いを一羽の中に込めて食で笑顔を届け、羽ばたきを願う

みんなの想いを詰めた一品アンコウとズワイガニとフカヒレの川俣シャモ包み被災地、福島県の地鶏・川俣シャモの中に、福島・小名浜で食べた思い出のアンコウとズワイガニ、岩手・石巻のフカヒレを詰めた。それをセイロで3~4時間蒸してから、塩味ベースのスープでじっくりと煮込む。被災地の人々の想いや願いをすべて包み込んだ鳥が、大きく羽ばたくことをイメージして生まれた、心も体も温まる一品。

現地で見た被災者の笑顔に食の持つパワーを実感

大切な友人の実家が、福島県双葉町にある山野辺仁氏。その友人が震災直後から始めたボランティアの話を聞くうちに、「自分も何かしたい」という想いが募り、被災地での炊き出しを決めた。料理人仲間に声をかけ、食材と機材一式をトラックに積んで、最初は5~6人で被災地に入った。費用はすべて自費だった。

被災地の現実は想像以上だったが、そんななかでも用意した料理をうれしそうに食べる被災者たちの姿に、食が持つ力を感じたと山野辺氏は語る。「とにかく、温かくておいしい物を食べてもらうことで、"生きる力"を少しでも応援できればと思いました。食には人を元気づけるすばらしい力があると信じています」。

以来、20回以上被災地を訪れ、麻婆豆腐や中華丼、ステーキやフカヒレスープなどを振る舞ってきたという。数人で始めたボランティアは、「Power of JAPAN」という活動になり、今では参加者が80人以上になるときもある。「天厨菜館」の社長をはじめ、支配人やスタッフも山野辺氏を応援。そっと募金を渡してくれる中国人スタッフもいた。

そうしたなかから生まれたのが、今回のメニュー「みんなの想いを詰めた一品 アンコウとズワイガニとフカヒレの川俣シャモ包み」。そのキーワードは"詰める"と"羽ばたく"だ。

「被災地で接したみなさんの想いや、支援する人々の気持ちを、すべて料理に詰め込みたかった。鳥に詰め込むことで、羽ばたこうというメッセージも入れたかったのです」。

メイン食材に福島の川俣シャモを選び、福島の海産物として知られるアンコウとズワイガニ、石巻のフカヒレを詰めた。そのフカヒレを仕入れる商店も昔なじみで被災者の一人だ。

「天厨菜館」ではこのメニューをアラカルトに加え、支援の輪を広げる一助とする予定。"食べる復興支援"は今後も続いていく。

山野辺氏が副代表を務めるボランティア団体「Power of JAPAN」は、東日本大震災の被災地支援を目的に発足。店舗入口にその活動を伝えるチラシを置き、さらなる支援を呼びかけている。
料理長
山野辺 仁 氏子供のころから料理が好きで、母の日にフレンチのコースを手作りしたこともあるとか。人を感動させる食の力に誇りを持つ。
中国北京料理
「天厨菜館」 天王州アイル店(東京・天王洲)
東京都品川区東品川2-2-24
天王洲セントラルタワー別館2F
http://r.gnavi.co.jp/g165100/本格的な北京料理と斬新な新作料理が味わえる店。ウォーターフロントならではの、運河を臨む絶好のロケーションが人気。リーズナブルなランチは、近隣企業のサラリーマンでにぎわう。

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