食を通して東日本大震災の被災地の復興を支援する「ふるさとニッポンメニュー大賞」。818作品の応募メニューの中から、2人のシェフに、メニューに込めたふるさとへの熱い想いを聞いた。
食を通しての被災地支援に818メニューが集結!
2011年3月11日に起きた東日本大震災。この大災害で甚大な被害を受けた地域を支援する目的で「ふるさとニッポン メニュー大賞」は開催された(※「被害を受けた地域」とは、内閣府が発表した地方公共団体等に対する特別の財政援助の対象となっている地方公共団体、計148市町村を指す)。そこには、ふるさとで育てられた食材や、各地に伝わるふるさとの味を、シェフがおいしく料理し、それをみんながおいしく食べることで、被災地を元気にしたいという願いが込められている。
自分の出身地や育った土地だけでなく、家族のゆかりの地や応援したい土地も含めて"ふるさと"とし、その食材を使った今回のメニューの募集には、シェフたちの様々な想いが込められた計818もの作品が集まった。
ぐるなびは、今後も食を通して支援を続けていく。
被災地9県の食材を一つに融合 希望と元気の"連鎖"を応援
生産者への感謝の想いを食材に込めてメニュー開発
東日本大震災が起きた3月11日、里吉雄一郎氏の弟は、岩手県大船渡の港で被災。無事に帰還したが、一週間連絡がとれず、家族は不安な時間を過ごした。また、毎年仕入れてきた大船渡市の牡蠣が震災で壊滅的な打撃を受け、取引先とは11月下旬現在も連絡がとれていない状況に、「震災の重さを身近に感じた」と語る里吉氏。同時に、今まで当たり前に使ってきた様々な食材が手に入らなくなり、東北をはじめとする被災地が、日本の食に果たしていた役割の大きさを、改めて実感したという。
「被災地の食材の豊かさと、それらを担っていた生産者への感謝の気持ちが膨らみました。微力でも何か復興の力になりたかった」(里吉氏)。その想いが、今回のメニューにつながった。「被災地の食材をたくさん使ったメニューを作り、たくさん食べてもらうことで、復興のお手伝いができるのではないか」と考えたのだ。
まず、被災した9県の食材をすべて使おうと決めた。本やインターネットで各県の名産を検索し、とりわけ野菜に注目。野菜は、それぞれの土地の特徴をよく表していると考えたからだ。青森産のモロヘイヤ、千葉産のトマト、長野産のアスパラガス、新潟産の長芋、宮城産のとうもろこし。そこに福島産の桃、そして茨城の生湯葉、岩手産のウニ、栃木産の牛乳を加え、9食材を選定。素材の味がすべていきいきと伝わるとともに、すべての素材が口に入ったときに、一つのハーモニーになることを目指して生まれたのが、「ヒトノハナ~希望・ここから~」だった。
メニュー名を考えたのは、統括マネ―ジャーの久保木秀直氏。「9県全部の食材を使うと聞いたとき、被災地の人々が手を取りあって立ち上がる姿と、彼らに希望と元気をもらいながら支援する私たちという前向きな"連鎖"を感じたのです」と語る。見た目のかわいらしさと野菜づくしのヘルシーさ、食感のおもしろさが人気を呼び、客の評判も上々。復興支援の輪は徐々に広がっている。