「菓子×ドリンク」で魅了。イートインが人気のカフェ
大阪の中心地・梅田から地下鉄でひと駅の場所にある中崎町周辺は、レトロな建物や古民家を活かしたカフェや雑貨店、古着店などが点在する人気のエリア。その中崎町にある築58年の歴史あるビルに、2021年に誕生したのがパティスリー&カフェ「hannoc(ハノック)」だ。
オープン直後からSNS上で話題となっているのが、色彩やフォルムなど細部にまでこだわったアート作品のような個性を放つケーキ。季節ごとにそのラインナップを変えて約10種前後がスタンバイし、豊富な焼き菓子もそろう。
そしてカフェスペースで楽しめるドリンクも、美しいグラデーションや繊細な装飾が映えるデザインで、20代女性を中心に集客に成功。SNSで取り上げられるようになってから30~40代へと、認知とともに客層の幅がぐっと広がったという。土曜、日曜日は行列が絶えず、1組1時間制で10回転するという人気ぶりだ。
「hannoc」が掲げるコンセプトは「パティシエをもっとクリエイティブに」。「素材を駆使して、最終的に美しい見た目へと変化させられるパティシエは、専門技術を持つクリエイターです。自分の好きものだけを作るのではなく、お客様にどう喜んでいただけるかという視点を踏まえてモノづくりを行っていきたいと考えています」と語るのは、営業企画を務める土本(どもと)和彦氏。
3周年を迎える2024年3月からは、夜営業も開始。閉店時間を19時から21時半までに延長し、仕事帰りの人の立ち寄りや、テイクアウト需要の獲得にもつなげている。
そんな「hannoc」の人気はスイーツだけでない。アートな空間と接客、ドリンクも秀逸だからこそ、菓子×ドリンクという”ダブルの至福”を楽しみに、行列に並んででもイートインを利用したい客でにぎわっている。
ドリンクの素材の合わせ方や配色、トッピングなど、一目みて印象に残るバランス感はどうやったら生み出すことができるのか。今回は人気のドリンクの中から、ソフトドリンク3種、アルコールドリンクを4種を、スイーツとのペアリングも交えながら商品を深掘りした情報とともに、「hannoc」の経営理念についても触れていく。
大阪府大阪市北区万歳町4-12 浪速ビル西館1階
https://r.gnavi.co.jp/9u55cjd70000/
大阪メトロ谷町線・中崎町駅3番出口を出てすぐ。大阪で大人気のパティスリー&カフェ。季節替わりで開催するイベント企画も好評で、3回目の開催で、現在も開催中(※7月7日終了予定)の「ピスタフェスタ」は店頭の売り上げ実績がクリスマスシーズンと同等額の売上を獲得している。
目次
・商品開発には、複数のスタッフがフラットな立場で携わる
・ドリンク開発のポイントは、ケーキとの相性と美しいグラデーション
1.「ピスタチオラテ」&「ポムピスターシュ」
2.「抹茶ラテ」&「シューアラピスターシュ」
3.新作情報!桃を使った「ピーチティーヨーグルト」
・夜営業開始と同時に、カクテル4種の提供をスタート
1.「ライチティーソーダ」&「マルジョレーヌピスターシュ」
2.「エスプレッソトニック」&「シトロンキャレ」
3.「スパークリングモヒート」と「ソルティパッソアグレープフルーツ」
・アートディレクターが、視覚のデザイン性をサポート
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商品開発には、複数のスタッフがフラットな立場で携わる
従来のパティスリーでは、例えばオーナーシェフなど一人の人物が中心となりレシピを考えるケースが多いが、「hannoc」は全員がフラットな立場で商品開発に携わっているのが特徴だ。
まず、売場構成責任者(パティシエ:蜂谷氏+サービス:門田氏)とアートディレクターで本部責任者の山本友里香氏がどういう売り場を作るかを考えた上で、企画やテーマを全社会議で発表。そこからパティシエやドリンク開発を行うサービス担当の一人ひとりがレシピを考案。試作した商品をアートディレクターの山本氏が、ブランドコンセプトから外れていないか、企画やテーマに合っているか、一つひとつの商品が差別化できているかなどを確認した上で、店頭に並ぶ商品が決められていく。
プライスカードにはその商品を開発した担当者の顔と名前も記載されているのが特徴だ。「多くのメンバーが商品開発に携わることで、商品や素材ごとにさまざまな提案やアプローチができ、一つのパティスリーの中でさまざまな個性あるケーキや焼菓子を提供できるのが強みだと考えています」と土本氏は言う。
ドリンク開発のポイントは、ケーキとの相性と美しいグラデーション
さっそく、人気のソフトドリンク3種から見ていこう。
ドリンクにおいては、一目みて印象に残るグラデーションの美しさが特徴的。ドリンク開発を担当する門田玲奈氏は、「まずドリンクならではのグラデーションにこだわっています。ケーキはクリームやスポンジ、ムースなどから構成されますが、ドリンクは全てが液体。全部が混ざった状態だと、何が入っているか分かりづらいですよね。そこで美しさはもちろん一目で分かるように、液体をグラデーションさせました。オペレーションを優先するよりも、あえて大変になる方法で、仕上げています」と話す。
1.「ピスタチオラテ」&「ポムピスターシュ」
現在開催中の「ピスタフェスタ」(※7月7日終了予定)は、今年で3回目となる人気のイベント。ピスタチオを使ったフレッシュなケーキや焼き菓子に加え、ドリンクにはピスタチオを使った「ピスタチオラテ」が登場した。
「緑、白、茶色といった配色の表現には、糖度や濃度、粘度が高いと沈み、温度が高いと上がるといった特性を生かして作っています」と門田氏。自家製キャラメルが最下層に、その上にはケーキ作りに使用するピスタチオのペーストに牛乳と練乳を合わせたピスタチオベース、そしてフレッシュな牛乳を注ぎ、最後に熱いエスプレッソを加えた4層仕立てだ。
飲み進める過程で、混ざる前と後とで見た目も味わいも変わっていく点がおもしろい。ケーキとのバランスを考え、ピスタチオならではのコクを感じながらも甘すぎない味わいに仕上げている。
2.「抹茶ラテ」&「シューアラピスターシュ」
2023年に登場し、継続的な人気を受けてレギュラーメニューとなった「抹茶ラテ」は、ミルクの白、抹茶の緑、そしてクリームの白とコントラストが美しい一品。抹茶には、菓子用に使用している発色がキレイな抹茶と、香りがいい宇治抹茶の2種類をブレンドすることで、味も香りも楽しめるようにと工夫している。そして白と緑の組み合わせを、キュッと引き締めるのがトップの赤色の装飾。ドライストロベリーをちりばめ、イチゴのソースをラテアートのピックでラインを描くことで、パッと目を引く華やかさを添えている。
3.新作情報!桃を使った「ピーチティーヨーグルト」
現在開発中のドリンクを教えていただいた。桃を使った「ピーチティーヨーグルト」だ。4月に提供を開始した「マンゴーティーヨーグルト」が、インスタグラムで3,000もの「いいね」を獲得するほど大好評を得たことから、その第2弾を考案。開発担当者は富萌(とみ めぐみ)氏だ。
「マンゴーティーヨーグルト」は、アイスのセイロンティーに、マンゴー・パイナップル・トロピカルの3種のピューレをミックスしたゼリーを混ぜて、上からヨーグルト入りのホイップを雲のようにもくもくとあしらったドリンクだった。今回の「ピーチティーヨーグルト」は、香りのいいベルガモットティーを使用。ケーキ作りで使用するピーチの果肉入りゼリーを入れ、上からは同じくヨーグルトホイップをのせた。ヨーグルトの酸味が桃を引き立てる、さっぱりとした味わいだ。
夜営業開始と同時に、カクテル4種の提供をスタート
次に、アルコールドリンクは3月の新作カクテルから4種を紹介しよう。
夜営業の開始に合わせて提供をスタートしたのがカクテル。「カクテルは種類多めのほうが楽しいと思ったため、複数ラインアップしようと。それで色を全部変えてカラフルに、というのが発想のきっかけです。最初は、赤系、緑系、ピンク系…と、ざっくりと色を決めて、パティシエが使用しているリキュールや素材を見せてもらい、レシピを作っていきました」(門田氏)。
1.「ライチティーソーダ」&「マルジョレーヌピスターシュ」
「ライチティーソーダ」は、ベースにお菓子に使う紅茶のリキュールを使ったドリンク。少し甘めなため、中に酸っぱいすぐりの実を入れることで、ケーキと合わせてもさっぱり飲めるような味わいにしている。口元に近づけるとほのかに香るローズマリーも心地良い。
2.「エスプレッソトニック」&「シトロンキャレ」
一方「エスプレッソトニック」は、パティシエが使用しているオレンジのリキュール「コアントロー」をトニックウォーターで割り、エスプレッソを注いだドリンク。上にはコアントローとシロップに漬け込んだ生のオレンジを載せている。エスプレッソのコクや苦味に、オレンジの爽やかさが加わった一杯だ。
3.「スパークリングモヒート」と「ソルティパッソアグレープフルーツ」
さて、これまで紹介しているドリンクには、全てケーキ作りに使われている材料が使われている点にお気づきだろうか。
ケーキ作りは繊細な食材の配合量が求められるため、どうしても残ってしまう食材、素材が出てくるという。それらを眠らせたままにせず、いかに無駄にせずおいしいものに変えていくかに取り組むことで、フードロスを削減し、利益率向上にもつなげている。
アートディレクターが、視覚のデザイン性をサポート!
「hannoc」を立ち上げたのは、実は飲食・製菓業界に特化した人材紹介を行う株式会社ドリームラボ。「夢を持ってパティシエになりたいと業界に入ってくる人が多い中で、実際働き始めると、職場環境や長時間労働などで苦しみキャリアを諦める状況がありました。そこでパティシエたちが、これまでよりもいきいきと働ける転職をサポートすることを目指した人材紹介サービス:パティシエントを開始。そんな中で一度自分たちで組織や働き方の新しい形を作ってみようと生まれたのが『hannoc』です」と土本氏。
そして、アートディレクターが在籍しているのもパティスリー&カフェとしては新しい形ではないだろうか。山本氏は元々デザイナーとして入社して、お菓子のパッケージやポスターといったデザイン面での仕事に携わっていた。
そんななか、商品開発の現場で若いパティシエたちがデザイン面でつまずくケースを度々目の当たりにする。「デザイナーとしての経験や知識がメニューにも活かせるのではないか」と社内から声があがり、山本氏は商品開発にも携わるようになった。「『この色を濃くすると全体が引き締まるのでは』『反対色のクリームを入れてみると、よりおいしそうに見えるのでは』など、ケーキやドリンクを作ったことないからこそ気軽に意見することができます。すると作り手側からも『こういうアプローチならできる』と新しいアイデアが出てきたり。一つの商品に対して、違う角度から一緒に考えることができるのも、組織としての新しいあり方かなと思います」(山本氏)。
パティシエたちと山本氏、そしてスタッフの意見が交差することで化学反応を起こし、納得のいく完成品に仕上がる場面を何度も経験してきたという。若さのパワーとエネルギーを感じる商品は、こうして生まれている。
今後の展望について問うと、「まずは我々が掲げているビジョンや目指しているものに共感してくれる仲間が増えるといいなと思っています。そして次のステップも計画中です。次の展開を別の場所ですることを見据えてやっていきたいです」と土本氏。パティシエ以外にもさまざまなクリエイターたちと、業界の枠を超えたコラボレーションも進めていく構想だ。
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