予約管理で高稼働率を実現。客とスタッフの満足度も最大化!
「炉端焼 うだつ 横浜野毛本店」は、横浜市内屈指の盛り場として名高い「野毛地区」にあり、2006年の創業から愛され続けている居酒屋。街を訪ねる人が時代とともに変化し、現在は若い人が増え、主に30代後半以上の男性に人気。プライベートから接待まで幅広い集客に成功している。
平日17〜24時、土・日曜日・祝日16〜24時の営業時間で、1階3回転、2階2回転以上を実現している。70席余りをしっかりと回し切る「予約の最大化」について、店長の野口 多夢 氏に伺った。
神奈川県横浜市中区野毛町1-25-1 1~2F
https://r.gnavi.co.jp/b023400/
月~金 17~24時
土 16~24時
日 16~23時
JR桜木町駅から徒歩4分ほどの「野毛地区」は、東海道の要所と横浜港に近いことから、江戸時代末期以降、繁華街として発展。現在も多種多様な飲食店が軒を連ねる「飲み食いの街」としてにぎわいを見せている。その一画に、株式会社エル・エー・クックが2006年にオープンさせたのが「炉端焼 うだつ 横浜野毛本店」(以降、うだつ)。食材は北海道産が中心で、炭火焼きや鵡川産ししゃもの刺身などを提供。野毛本店の他に、東京の代官山と新橋にも姉妹店がある。
デート、女子会、宴会、接待など幅広いシーンに対応し、周辺の住民やビジネス層のほか、観光客や、花火・野球観戦などイベント帰りのフリー客も数多く来店。常連客も多数獲得している。
目次
時間・席割り・満足度 で、継続的な予約の最大化を追求
(1)予約枠の考え方
(2)席割りのコツ
(3)顧客とスタッフの満足度
予約の席割りは「ぐるなび台帳」で管理
北海道食材をふんだんに使った料理と地酒が売り
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時間・席割り・満足度 で、継続的な予約の最大化を追求
「うだつ」は夜のみの営業で、平日も1階25席(カウンター13席+ボックス座敷6席×2)は3回転、2階52席(座敷36席+テーブル16席)は2回転以上するというから、かなりのにぎわい。ほぼ席は予約で埋まり、繁忙期の12月ともなれば1,900万円(過去最高月商)を売り上げる。
(1)予約枠の考え方
店長の野口氏は、まず「繁忙期ほど19時台の予約をギリギリまで待つ」と言う。19時台は最も予約が多い、いわばピークタイム。ギリギリでも高単価の宴会や接待、大人数の予約が入る可能性が高い。だが、この時間帯を先に埋めてしまうと、前後に予約が入れにくくなる。
「うだつ」の予約枠の基本は、コースプラン2時間+入れ替え時間30分の2時間30分なので、19時スタートの予約で埋まってしまうと、17時や17時半、18時スタートの予約は断らざるをえなくなり、機会損失が大きくなりかねないのだ。一方で、「開店時間台と、20時台は、早い時期から積極的に埋めます」と野口氏。この時間帯なら、前後に予約を入れやすく、確実に2回転や3回転の流れにつなげることができる。
コントロールは、Webなら予約可・不可などと表示することで、比較的管理がしやすいが、「うだつ」は予約の約4割が電話だ。野口氏は「電話で19時スタートの予約の申込みがあったときは、状況を見てすぐに時間帯をずらす交渉をします。それが叶わないときはお断りします」ときっぱり。
こうした原則を堅持する一方で、“開放日”の見極めは柔軟に行い、「いろいろな要因を勘案」するという。「季節、曜日、天候、お客様の入り方の流れ」(野口氏)のほか、野毛地区独特の事情として、近隣の野球場・イベント会場・観光地から流れてくるフリー客やハシゴ客の動静も頭に入れる。長年の経験と勘がものをいう局面だが、そのためにイベント情報や客層の変化にも常にアンテナを張ることも欠かせないポイントになる。
2.予約枠の基本は、コースプラン2時間+入れ替え時間30分
3.19時スタート希望の予約は、早々に時間の交渉をする
4.近隣で開催されるイベントを把握し、客の動静を予測する
5.19時台の開放日の見極めは、時節・曜日で柔軟に行う
(2)席割りのコツ
席割りにも注力する。例えば「2〜3人のグループ2つが同時刻スタートだったら、席を隣同士にします」と野口氏。隣同士で受けておけば、2時間後一気に席が空き、次に4~6人グループの予約や来店があっても無理なく受けることができる。席が離れていると、空くのは2〜3人席が2つになり、5人以上のグループの受け入れが難しくなってしまうのだ。
ただし、グルメサイトのWeb予約の中には、客が席の場所を細かく指定して予約するシステムがある。隣同士にしたいグループが離れた席で予約が入った場合は、「予約確定後、すぐに確認します。場所によっては電話を入れて、席の変更を交渉します」と野口氏。電話に出ない客も少なくないが、予約の最大化を図るために、こうした手間をいとわないことが大切だ。
2.席指定の予約は、確定後すぐに確認
3.場合によっては電話を入れ、席の変更を交渉をする
(3)顧客とスタッフの満足度を生む
もう1つ、予約の最大化のために大事なこととして、「顧客とスタッフの満足度も追求すること」(野口氏)が挙げられる。例えば、同時刻スタートのグループは席稼働率の観点から隣同士にすることが、原則の1つではある。しかし、野口氏は、「人数によっては(同時刻スタートのグループの席を)、わざと離したり、1階と2階に振り分けたりもします」と言うのだ。一度に10人以上の席が空くと、バッシングや皿洗いの仕事量が膨れ上がって、スタッフに負荷がかかりすぎてしまう。そうなれば、次の客の案内に手間取り、顧客満足度を下げてしまうし、負荷がかかったスタッフのモチベーション低下も起こりかねない。それは接客サービスの質の低下に転化し、さらに顧客満足度を下げ、集客数にも悪影響を及ぼす可能性すらある。
「売上だけを追求するのであれば、3〜4回転の詰め込みも可能です。でも、お客様の『ゆったり食事を楽しみたい』という気持ちと、スタッフの『バッシングが集中すると時間がかかる』『終始忙しいと辛い』という気持ちに、店主が敏感になるのは重要なこと。平日は1階が3回転、2階が2回転で良し、としています」と野口氏は語る。
ほかにも、「常連客の予約は、宴会によっては19時台でも受ける」など柔軟な対応も心がける。「顧客とスタッフ満足度」を見据えて、「無理せず臨機応変に対応すること」も忘れてはならない重要なポイントの1つと言えるだろう。
1.待たせずに席へご案内する
2.急かさず、ゆったり楽しんでいただく
3.常連客の予約は柔軟に対応する
スタッフの満足度
1.スタッフの負荷(バッシング)を集中させない
2.1人あたりの仕事量を考慮した予約数を取る
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予約の席割りは「ぐるなび台帳」で管理
予約管理にとって、予約台帳システムは強い味方になる。70席以上の時間と席割りを毎日滞りなく管理するために、「うだつ」では「ぐるなび台帳」を活用。約6割を占めるWeb予約を、配席とともに管理している。そこに、残り4割の電話予約を重ねることで全体を把握し、微調整を加えることで最大化を追求している。
難しいのはテーブルの可動性が高い2階席の配席の設定だ。40人規模の宴会が可能な座敷席は「10席×4組」「20席×2組」「4席×10組」などさまざまな組み合わせができるため、自動配席だけでは、狙った席割りにならないこともある。現在はパズルをはめるように手動で微調整を加えて管理している。
北海道食材をふんだんに使った料理と地酒が売り
日頃は席のみ予約でアラカルトを楽しむ客が多数を占めるが、忘年会シーズンはコース利用が増えてくる。
コースプランは「季節限定コース」全9品、飲み放題付2時間(6,000円)のほか、「北海道厳選素材うまいものコース」(全10品、飲み放題付2時間、8,000円)、「プレミアム北海道コース」(全10品、飲み放題付2時間、10,000円)などがある。グループは接待やビジネスの宴会利用が多いことから、6,000円以上の価格設定だ。
いずれも、北海道食材をふんだんに使ったメニューで、「プレミアム北海道コース」には、飲み放題の中に北海道の地酒も含まれる(他のコースはプラス630円/人が必要)など、魅力的な内容。2024年の忘年会に向けて、現在、コースプランを練り上げ中だ。
12月1週目の予約受付はすでに開始しており、宴会ピークが訪れる2週目、3週目は11月半ば以降に徐々に受付を開放する予定。「予約が入りにくい曜日から少しずつ予約を入れていきます。埋まり方の様子を見ながら、宴会が集中する金曜日の予約をいつからオーケーにするのかを見定めていきます」と野口氏。この“見定め”に年末繁忙期の成否がかかる。
今後も予約の最大化を追求しつつ、曜日による波を作らず、余裕のある安定した経営を目指す。
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