2024/09/24 特集

「選べる鍋プラン」で秋冬の予約数増加!大阪「SHOTA」店主が語る、宴会満足度のアップ術

今年も鍋料理が恋しくなる季節がやって来る。忘年会などグループで外食する機会が増えるこの時期、見た目のインパクトと満足感がある「鍋」は宴会集客の強い味方になるが、各店はどんな工夫を凝らしているのだろうか。過去にぐるなびが開催した「トレンド鍋®」企画で受賞歴のある、大阪府大東市の居酒屋「SHOTA」の店主・芝翔太氏に、鍋の考案とそのメニュー活用について話を聞いた。

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”選べる楽しさ”も提供。定番から洋風まで多彩にラインナップ

「SHOTA」入り口。格子戸や軒先に掲げた杉玉が和のニュアンスを漂わせる外観

大阪府大東市にあるJR住道駅エリア。自然豊かな環境と、都市部へは電車で約10分というアクセスの良さ、そして大東市による子育て支援の強化もあり、近年はファミリー層の流入が増える傾向にある。そんなJR住道駅から徒歩5分ほどの場所に2019年オープンしたのが、店主である芝 翔太 氏の名前を冠した「SHOTA」。店舗面積約16坪、全30席(カウンター6席、テーブル24席)の居酒屋だ。気さくで明るく、TikTokのインフルエンサーでもある芝氏のファンも多く、常連を中心ににぎわいをみせている。

  • 入ってすぐ、左にカウンター席と右に仕切りのあるテーブル席。穏やかな灯りが優しく照らし穏やかな雰囲気が漂っている
  • 奥には6人掛けのテーブル席が3つ。大人数のグループを収容する

コンセプトは「地酒と旬の料理を楽しむ」。「日本には全国に酒蔵があり、どこも試行錯誤を重ねながら進化を続けています。ですがその一方で、酒蔵が減少していく現状を微力ながら支えたいという思いから、日本酒と共に料理を楽しんでもらえるお店を作りたいと思ったんです」と立ち上げの経緯を語る。

料理には、産地を重視した新鮮な海の幸・国産野菜を使用

主体は、刺身や焼き物、揚げ物など、さまざまなスタイルで提供する一品料理だが、特に秋から春にかけて、グループでの食事や宴会シーズンの集客のフックとなっているのが、特選食材を自慢のスープで味わう「鍋料理」。定番から洋風アレンジまで多種多彩な鍋をラインナップしている。

SHOTA(ショウタ)(大阪・大東市)
大阪府大東市浜町8-1
https://r.gnavi.co.jp/56ftgy5w0000/
店主の故郷・徳島の「阿波尾鶏」など、鮮度と味、産地重視の食材を使用した旬味あふれる心尽くしの料理を、地酒とともに堪能できる居酒屋。和食・洋食・スイーツと幅広く経験を積んだ店主が、お客様の要望に応えて誕生したオーダーメイドコースや多種多彩の鍋が好評で、女子会や会社帰りの宴会利用が多い。
店主 芝 翔太 氏
徳島県出身。製菓学校を卒業後、大手製菓店に勤務。京都のイタリアンカフェ、おばんざいカフェなどを経て、大東市の居酒屋店で調理を担当した後、独実開業資金をクラウドファンディングで集め、2019年に「SHOTA」をオープン。

目次
1.斬新な「徳島ミルクティー鍋」がぐるなび「トレンド鍋®」企画で受賞
2.定番から変わりダネまで好きな鍋を選べる「選べる鍋プラン」
3.多彩な具材を豪快に盛り込んだ「ちゃんこ」と上質な国産牛を関西風で楽しむ「すき焼き」
4.TikTokで店のリアルを配信し新規客を獲得。府外からの来店も
5.曜日限定のプランを展開し、平日の強化をめざす

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【2024年トレンド鍋®発表!】
2024年のトレンド鍋®は「新感覚すき焼き」に決定!

1.ぐるなび「トレンド鍋®」企画で受賞

「発酵鍋グランプリ」で2位!斬新な「徳島ミルクティー鍋」

審査員が「最大の魅力はスープにある」と、「徳島ミルクティー鍋」のアイデアを絶賛

ぐるなびは毎年「トレンド鍋®」を発表しているが、2019年に開催した「発酵鍋グランプリ」で見事2位を受賞したのが「SHOTA」の「徳島ミルクティー鍋」だ。芝氏の出身地である徳島の名産・阿波番茶をスープに使用。発酵豆乳と合わせ表現したミルクティーを思わせる優しい味わいが話題となった。

フェア期間中の予約が好調だった「松茸と牛タンしゃぶしゃぶのとろとろ鍋」

さらに、2023年に開催したオリジナルの「とろみ鍋™」を楽しめる「とろみ鍋™メニューフェア」にも参加し、「松茸と牛タンしゃぶしゃぶのとろとろ鍋」を考案。「徳島ミルクティー鍋」は洋風に振り切ったが、こちらは「ザ・日本人を感じる鍋」。なめこで出したとろとろ感、牛タンの食感はそのままに出汁にくぐらせることで、焼肉とは異なるうま味を味わえると評判を呼び、フェア期間中予約数は好成績を収めた。

実は芝氏の料理人歴はパティシエからスタートした。製菓学校卒業後、大手洋菓子店で製菓に従事した後、ウェディングも行うイタリアンカフェを経て、京都のおばんざいカフェでスイーツ担当に加えて料理も任されたことがきっかけとなり、料理人に転身。和食だけではないからこその経験が、既存のレシピに縛られないメニュー開発に活かされているのだ。

2.選べる鍋プラン

定番から変わりダネまで、好きな鍋を選択できるコースを設定

もともとアラカルトを得意とする居酒屋であり、鍋中心の店ではない。しかし「トレンド鍋®」企画への参加をきっかけに一つの軸として据えたのが「選べる鍋プラン」だ。

ぐるなび店舗ページのメニューに「選べる鍋プラン」タブを作成

集客の一つの軸となっているメニューが「選べる鍋プラン」で、鍋をメインに、前菜2品・お造り・〆物が付くコースを2プラン用意。4,950円/1人のプランは「ちゃんこ鍋」「牛しゃぶ」「タラ鍋(白子付)」「あんこう鍋」「貝たちの鍋」「鯛しゃぶ」などから、6,050円/1人のプランは「てっちり」「海鮮鍋」「和牛すき焼き」などから、鍋を選ぶことができる(季節や仕入れ状況により変更あり)。

鍋をコースに入れることについて、「基本的に切った具材と鍋を一緒に出すだけでいいため、仕込みにかける時間や手間を省けて、スムーズな提供が可能。飲食店にとってはオペレーション的に助かる料理の一つです」と芝氏。お客側にとってもメリットも多く、幅広い鍋から選べる楽しさや豪華な特別感、最後の〆まで楽しめるコースとしての満足感の高さを得ることができる。

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3.人気の鍋2種

上質な国産牛を関西風で楽しむ「すき焼き」と、多彩な具材を豪快に盛り込んだ「ちゃんこ」

では、注文数の多い人気の鍋から2種を紹介しよう。

まずは「すき焼き」。地元の焼肉店から仕入れる国産牛が主役で、提供の際は、最初の2~3枚をスタッフが焼いてくれる。九州産の醤油をベースに甘めに仕上げた自家製たまり醤油で直接味付けする関西スタイルだ。

6,050円の鍋プランより「すき焼き」(写真は2人前)。甘口のスパークリングワイン「アイス・キャット」(1本5,000円)、スペインを代表するスパークリングワイ「フレシネ」(1本6,500円)で乾杯を
肉を焼き、自家製たまり醤油で味付けする
甘辛く味付けされた肉に、とろろが絡んで優しい味に

2024年は”食べ方”にひと工夫。「生卵」の他に山芋をすりおろした「とろろ」を添える。とろろにすき焼き肉をからめて食べると、柔らかな口どけと、肉本来のうま味に、とろろの甘みが絡んで絶品! 少しワサビを効かせるのもおすすめだ。その後、野菜や豆腐、白滝などを一緒に入れて煮込んでいただく。

4,950円の鍋プランより「ちゃんこ鍋」(写真は3~4人前)。青森の「まんさくの花」(850円/グラス)、三重の「るみこの酒」(800円/グラス)など、日本酒と合わせるのがおすすめ

次に「ちゃんこ鍋は、鶏肉、豚肉、エビ、貝(写真は帆立)、シイタケの他、豆腐や野菜類など、豪快にカットした盛りだくさんの具材を一度に楽しめる豪華鍋だ。

具材はどれも分厚く豪快にカットされ、彩りと盛りのバランスが美しく、食欲をそそる。スープに各具材からのうま味が染み出る

室鯵、鰹の薄刷り・厚削り、さば節・ウルメ節の計5種類を鰹節専門店が独自配号した「合わせ節」で採っただしに、甘めに仕上げた「自家製たまり醤油」を少し加えた味わい深いスープを使用。そこにそれぞれの具材から染み出たうま味が幾重にも重なる。〆はご飯やうどんなどからお好みでチョイス。最後までおいしくいただける。

「たまり醤油」(3,000円/1本500ml)は鹿児島と秋田の醤油に鰹節を合わせた高級醤油で、豊かな香りとコクが特徴。「合わせ節」(2,500円/1袋5~10個入り)は鰹節専門店が5種類を独自配合、ワンランク上の家庭料理を実現することができる

鍋にも使用するオリジナルの「たまり醤油」と「合わせ節」は、来店客から家でも使いたいという声を受けて商品化し、通販や店頭で販売も行っている。

4.TikTokで店のリアルを配信

SNSの配信で新規客を獲得。府外からの来店も!

持ち前の明るさを生かし、TikTokなどで動画を配信。新規客がはるばる来てくれるケースが生まれた

地元客を中心に常連ファンが多い中、SNSを活用することで、新規客の獲得にもつなげているのも特徴。「飲食店は、例えば台風が来ると予約がキャンセルされるなど、天候に左右されがち。またオープン時期がコロナの感染拡大と同じ時期で影響を受けたこともあって、待っているだけではダメだと実感しました」と語る芝氏。

そこで、売上の波ができるだけないようにと、SNSを活用して店舗から発信。なかでもTikTokでありのままを流すことで新規客を獲得し、府外からも訪れる人が少なくないという。

5.曜日限定のプランを展開し、平日の強化をめざす

今後の鍋料理やコースに関して、「秋は『松タンしゃぶ(松茸と牛タンしゃぶしゃぶのとろとろ鍋)』、冬は『てっちり』など、季節が変わると『SHOTA』の鍋が食べたくなる、と思っていただけるような店にしていきたいです。そして、いつも来てくださるリピーターの満足度にもつなげるべく、さらに新しい味や季節の味を探っていきます」と語り、鍋を季節のフックとして打ち出していく構想だ。

「安定した売上獲得には、できる限り毎日の波をなくすことが大切」と言う芝氏。現在、金・土曜日は予約で埋まるが、木・日曜日は課題点も。今後は曜日限定のプランを展開するなど、平日の強化を目指していく。

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