SDGs、貧困問題などの社会課題にも着目。価値観をアップデートする場に
8月25日、NPO法人居酒屋甲子園が主催するオンラインイベント「IZAKAYA万博」が行われた。NPO法人居酒屋甲子園は、「共に学び、共に成長し、共に勝つ」という理念を掲げ、2006年から毎年「居酒屋甲子園」を開催。新型コロナの影響で2021年度の第15回大会は延期となったが、「時代が大きく変わろうとしている今こそ、共に学べる場所を」と、当初全国大会が予定されていた8月に、オンラインで開催するはこびとなった。イベントでは、今までの常識を疑い、新たな価値を創造する企業、地球規模で物事を考え、新たな未来を創造する企業の取り組みを学ぶ機会として、SDGs(エスディジーズ/持続可能な開発目標)や店舗のDX化、地方創生、貧困問題などに精通する業界内外のオピニオンリーダーを招聘。講演とグループディスカッションが行われた。
中でも注目を集めたのは、お笑い芸人で絵本作家の西野亮廣氏による特別講演。西野氏は、エンターテインメント業界で作品制作やマーケティング、集客、会社経営などに携わってきた経験を踏まえ、飲食店経営にも通じる集客の考え方を提示した。「自店が『レストラン型』と『バーベキュー型』のどちらなのか、どちらを目指しているのかを明確にすべき」と述べ、現代は、クオリティーを最優先するレストラン型よりも、「お客が食べたいものをお客が作る」など、お客自身が主役になれる“余白”が設計されているバーベキュー型を求める人が増えていると指摘。また、「来店するお客は、『顧客』と『ファン』に二分される。顧客はただ商品を購入してくれる人、ファンはその商品の提供者を応援してくれる人で、ファンを作っていくことが大事。ファンは、店長やスタッフ、社長、さらにはその店の理念などに付くもの。これからは、『人を売る』という考え方がより一層重要になる」とも話した。
続いて行われたオープニングセッション「コロナによって加速した未来」では、新型コロナの発生以降、社会と飲食業界に起きた変化を整理し、それに対してどう向き合ってきたかを、NPO法人居酒屋甲子園7代目理事長・株式会社Elevation代表取締役の山崎聡氏、NPO法人居酒屋甲子園専務理事・WOOD HOUSE株式会社代表取締役の氏田善宣氏らがディスカッション。人手不足の問題や、メニューや食材、店自体のストーリー性が重視されていることなどが挙げられた。
このほか、飲食店のDX化をテーマにした「本質に没頭できるお店づくり」、地方で魅力的な店づくりに取り組む経営者に展望を聞く「店づくりはまちづくり」、子ども食堂の取り組みを紹介する「Connecting to the future of Japan」など多彩なセッションが行われ、多くの飲食店関係者が視聴。従来の常識にとらわれない考え方に触れ、視野を大きく広げる機会となった。
閉会に当たり、山崎聡氏が挨拶。「価値観が大きく揺さぶられている時代ですが、未来は自分の考え方や行動次第。夢と希望があふれる未来を、皆様とともに作っていけることを切に願っています」と話した。また、「居酒屋甲子園」の第15回大会が「使命」をテーマに開催されること、2022年7月25日に新潟の朱鷺メッセにて全国大会を開催予定であることも公表された。