「雰囲気を少し変えたい」、「ここにあれがほしい」、「よりイメージどおりの空間にしたい」ときはDIY! 「Do It Yourself」の略で、「自分で行う」という意味だ。アイデアを自分で形にできたときの気持ちよさは格別。今、その一歩を踏み出してみよう。
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CASE1 FIKA COFFEE
【福岡・中洲川端】FIKA COFFEE
北欧テイストで棚などをDIY。ショップカラーの青をポイントに
フレンチプレスの自家焙煎コーヒーを提供する「FIKA COFFEE」。店舗はコーヒーショップの居抜き物件で、引き渡しから5日後というスピードで営業をスタートさせた。「店内のレイアウトを含めてほぼそのままだったので、実際に営業しながら改善点をピックアップし、“あったらいいな”を少しずつ形にしていきました」と、オーナーの山本恵利加氏。実は、中心になってその作業を進めたのは、DIY好きという山本氏の叔母。ぐらついていたテーブルの脚を取り替え、もともとあったマガジンラックの色も店のカラーに合わせて青に塗り替えた。
厨房前のカウンター席には、来店客にほどよい距離感をもたらしながら、手元を隠すための棚を設置。壁を利用した、パソコンなどを置く「作業台」は、ホームセンターで購入したすのこや板と、カラーボックスを組み合わせた力作だ。レジ周りは、混雑時でもスタッフがスムーズに動けるようにレイアウトを変更。レジの場所がわかりやすくなったと好評で、帰り際にショップカードを持ち帰る人が増えたという。
「作業はいつも閉店後。焙煎を担当する弟と一緒に深夜までペンキを塗ったこともあります。ただ、費用はかなり抑えられ、トータルで2万円くらいです」と、山本氏。コストダウンもうれしいが、サイズを測って既製品を探すより、DIYの方が断然イメージ通りに仕上がるという。「次はキッチンツールを収納する棚などを作りたい。自分たちでやった方が、より愛着もわきますしね」と、山本氏のイメージはますます膨らんでいる。
山本恵利加氏福岡・糸島の自家焙煎コーヒーショップで経験を積み、独立。厳選した豆をていねいに焙煎し、自家製スイーツやランチも提供。
福岡県福岡市博多区下川端町3-1 博多リバレインセンタービル1F
https://r.gnavi.co.jp/3sxjs6vy0000/生豆から自家焙煎したコーヒーを、フレンチプレスで提供。周辺は著名なホテルのほか、博多座など文化施設・商業施設が多く、客層は落ち着いた年配層が中心。
CASE2 コピルストア
【福岡・姪浜】コピルストア
DIYで古民家リノベーション。懐かしくて居心地のよい空間に
小さな子どもと一緒に、おいしい食事をゆっくり楽しめる店をコンセプトに、今年4月にオープンした「コピルストア」。築50年以上の物件をリノベーションした空間は、オーナーの奥野陽城氏が自ら手がけた箇所も多い。「耐震補強などで業者さんに入ってもらいましたが、旧知の仲でしたので、イメージを細かく伝えて一緒に作りあげていった感じですね。パーツ類は自分で手配しました」と、奥野氏。かつて、駄菓子屋だったこともある店舗兼住居は壁や天井が取り払われ、新しい空間へと生まれ変わった。
DIYで一番時間がかかったのは、テーブルの天板作り。居酒屋のテーブルとして使用されていたものを入手し、一度塗装を剥がして反った部分などを削り直し、再塗装を行った。カウンターテーブルの装飾も奥野氏によるもので、カウンター壁面用にWebで探して取り寄せたレトロなタイルの雰囲気に合わせて天板に和紙を貼り付け、ウレタン樹脂を塗って防水加工。古民家のDIYで気をつけたのは、古さと新しさを違和感なく同居させることで、新しい材料には、塗装などでエイジング加工を施した。空間を演出するインテリアも同じで、店内の雰囲気にしっかり馴染むレトロな雑貨は、「いつかお店を出すときのために…」と、奥野氏が10年以上前からアンティークショップなどで買い集めてきた。
「次は2階のキッズルームの壁を取り払い、隣のダイニングからも子どもの様子を見られるようにしたいですね」(奥野氏)。店内には、DIYで手を加えたいところがまだまだあるという。
奥野陽城氏福岡市を中心に様々な業態を展開する飲食企業を経て、2017年に独立。料理人としてだけでなく、新規店舗の立ち上げにも携わってきた。
福岡県福岡市西区姪の浜4-3-3
https://r.gnavi.co.jp/da1esf960000/古民家を改装した、本格イタリアンが楽しめる店。小さな子どもを連れていても、ゆっくり食事を楽しめる店がコンセプトで、子育て世帯が多い姪浜(めいのはま)エリアにオープン。
CASE3 CRAFT WORKS
【東京・本郷三丁目】CRAFT WORKS
店の売りをひと目で印象付ける、12タップの手作りビアサーバー
地下鉄の本郷三丁目駅からほど近いビル地階に、2016年9月オープンした「CRAFT WORKS」。居抜き物件に大幅に手を加えた内装は、その工事のほぼすべてを代表の森崎貴史氏が手がけた。もともと部屋の改装が趣味で、24歳で開業した1店舗目からフルDIYを実施。現在経営する4店舗のうち、内装業者を入れたのは1回のみ。「実はそのときの結果は、満足いくものではありませんでした。思い描くイメージを業者さんと共有する難しさを痛感し、今後は自分でやろうと決めました」と、森崎氏は振り返る。
12本のタップハンドルがずらりと並ぶ、店を象徴するビアサーバーも森崎氏のお手製だ。出店に先立ち、各地のクラフトビール店を訪ねて回り、質問攻めにしながら情報を集めたという。「クラフトビールの業界はまだまだ狭く、どのお店も新入りを温かく迎え入れて、親切に教えてくれました」と、森崎氏。必要な部品を買いそろえ、丸1日かけて取り付け工事を完了。大工道具を持つ友人らの手も借りながら、店舗全体の内装も3週間ほどで完了させた。
サーバーの製作費は35万円程度で、総工費も約150万円に抑えられた。「何よりDIYは楽しいのが魅力。工夫する過程で身に付く〝考える力.は、店舗経営にも活きてます」(森崎氏)。あえて完璧を目指さず、手作りの味わいや遊び心を大切にした空間は来店客にも好評で、初対面同士がDIYの話題で盛り上がることも。「居合わせた人々が自然につながる、イギリスのパブのような場所を日本に」というコンセプトの実現にも一役買っている。
森崎貴史氏バックパッカーとして世界を旅し、イギリスのパブ文化に魅了された経験が店を開くきっかけに。北海道がテーマの居酒屋も3店舗経営。
東京都文京区本郷5-24-2 グレースイマスビルB1
https://r.gnavi.co.jp/mn3pzxsr0000/国内外のクラフトビールを日替わりで12種そろえる。イタリアン出身のシェフが腕を振るうフードメニューも好評。カウンターやテーブルなど計50席あり、宴会の利用も多い。
CASE4 オステリアSANZOKU
【東京・綾瀬】オステリアSANZOKU
スタッフ総出で約1カ月半! DIYで店内を全面リニューアル
最寄りの綾瀬駅からほど近い「オステリアSANZOKU」は、今年でオープン13年目。2人のオーナーが始めたダイニングバーを、5年前に改装してオステリアに。開業時も、改装時も、すべてDIYにこだわり、電気配線などの工事以外は、壁や床、テーブルなどの什器に至るまでほとんどをDIYしている。
5年前、ゼロから工具の使い方を覚えたという店長の上野勝央氏は、「開業時からの流れで自然と『自分たちのやり方でやろう』とDIYを選びました」と話す。「DIYは自分たちの好きなことができ、費用も節約できます。また、『こんな棚がほしい』と感じたときにすぐに作れるのもメリットですね」。改装では個室の座敷などを設けた隠れ家風の装いから、海外の港町にあるような店へとリニューアル。1カ月半かけて6名ほどのスタッフで仕上げた。モルタルの壁では、まずは二度塗りし、重なった表面側の一部をはがして凹凸を作るというテクニックも。店舗中央にある皿やカトラリーなどを置くカウンターやワイン棚も自作したものだ。また、インテリアに限らず、メニューブックやチラシなども自分たちで作成しているという。
「ひとつのことを決めるのに、1時間ほど意見を交わすことも多いです。最終的に多数決で決めることもありますが、常にそれを使う人の意見を大事にするようにしています」と、上野氏。皿のサイズを考えて引き出しの大きさを調整するなど、使い勝手を考慮したDIYを繰り返すことで、オペレーションの効率化にもつなげている。
櫻井泰宏氏飲食業界で研鑽を重ね、半年前に入社。「食器を置く場所までDIY なので、すべてがジャストサイズ。効率よく動けるのがとてもいいですね」。
東京都足立区綾瀬2-24-8
https://r.gnavi.co.jp/p651800/専用オーブンで焼き上げた本格ピッツァをはじめ、素材を活かしたイタリア料理が看板。5年ほど前に店内を大幅リニューアルし、海外の港町をイメージした空間に一新させた。
まずは気軽に始めよう! 飲店食で役つDIY
前ページまでの事例を見て、「自分もDIYで何か作ってみたい」と思った人も多いはず。そこで、飲食店で役立つDIYについて、DIYのプロがサポートを行う中原工房にポイントや造作方法などについて聞いた。
明確な完成イメージを持って手軽に作れるものからトライ
神奈川県川崎市にあるDIY工房「中原工房」には、DIYが好きな一般の人だけでなく、飲食店関係者が店内に置く備品を自作するために訪れることも多いという。そんな中原工房の工房長、小水内公彦氏に飲食店でDIYをする場合のポイントについて聞いた。「飲食店の方がこれからDIYを始めるのであれば、棚や小さなテーブルなど、シンプルな造作物から始めることをおすすめします。例えば、背もたれ付きのイスは、体を支えられる強度がないと壊れてしまい、お客様が怪我をする危険性もあります。イスであれば、スツールやベンチなどは強度を確保しつつ、初心者でも作りやすいですね」(小水内氏)。
また、壁の塗装も比較的手軽にできるという。「アクリル性の水性塗料を使用すればムラになりにくく、乾きが早いうえ、臭いも気になりません。午前中に作業し、夕方には営業することも可能です」と小水内氏は語る。床の張り替えは、木材だと伸縮性などを考慮する必要があるので、初心者には少し難しいが、「塩ビ系素材のフロアタイルを使用すれば、カッターで切れるので簡単に張り替えが可能です」。
一方、気をつけないといけないのが「電気関係」と小水内氏は話す。「電線がむき出しになっているような電気工事は、資格が必要な場合が多いので、手を出さないほうがよいでしょう」。また、水回りのDIYは、資格有無は問わないが、水漏れの危険性があるので要注意。特に、上階の飲食店は取り扱いに気をつけたい。
DIYを始める際、工具一式をそろえる人も多いと思うが、工具は作りたいものに合わせて、徐々にそろえていくのがベター。「なかでも充電式電動ドライバー(インパクトドライバー)を1台用意しておくと重宝します」と小水内氏。電動カッターなどもあれば便利だが、木材のカットであればホームセンターでも対応してくれる。
そして、上手にDIYを進めるためのコツとして「完成イメージをしっかり持つこと」と、小水内氏はアドバイスする。ネットの画像やスケッチでもよいので、作りたいイメージを人に伝えられるくらい明確にしておくことが重要。イメージがはっきりしていれば、ホームセンターや施工会社などのプロから材料選びや作り方のアドバイスを受けやすくなる。また、「形は必ずその形状にしたいのか」「材質や仕上がりは、どの程度こだわるのか」などをはっきりさせておくことも大切。材質や仕上げの方法によって、材料費や加工費などのコストが大幅に変わることもあり、場合によっては既製品を購入するよりも高くなってしまうことも。そうした予算管理も上手なDIYのポイントだ。「板やネジ1つを取っても、様々な種類があるので、必要な材料や道具はプロに聞くのが一番。私たちのようなプロの意見や技術もうまく活用してDIYを楽しんでもらいたいですね」と、小水内氏。
次ページからは、初心者でも手軽にできる「箱棚」と「壁の塗装」についてポイントを交えながら紹介する。
「箱棚の作り方」と「壁の塗装方法」
お店の一角をディスプレイ 箱棚の作り方
DIY初心者でも作りやすいのが「箱棚」。簡単に作れるだけでなく、中板を入れることで強度も確保できるため、安心して使えるアイテムだ。DIYなら店内のスペースにジャストフィットするものを作ることができ、店の雰囲気に合わせた装飾をすることで、より魅力的な空間を演出できる。事前準備として気をつけたいのは、木材の厚さなども考慮しながら寸法を決めること。木材はホームセンターなどでカットしてもらえば、手間が大きく省ける。これができれば、箱イスも応用して作成可能だ。
お店のイメージに合った壁に! 壁の塗装方法
店内のイメージを変えたいときにおすすめなのが、「壁の塗装」。最近では手軽に使える塗料の種類が増え、イメージに合わせて塗り替えることが容易になった。特に、水性のアクリル塗料は臭いが気にならず、ムラになりにくく、塗る面の材質はほとんど問わない。また、乾きが早いことも特徴で、営業時間外や定休日を利用して短時間での塗装も可能だ。ポイントは、必ず養生をしっかりすること。思わぬところで塗料が跳んだり、はみ出るなどの問題が起き得るので、塗りたくない部分をカバーしておくことが重要だ。
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