2021/10/14 特別企画

低コストで開業可能! 小さい飲食店経営を成功に導くコツをまとめました

小さい飲食店を持つのに必要な開業資金は、500~1,000万円程度あれば可能といわれています。こちらの記事では低コストで開業できる小さい飲食店のメリットや、出店のために必要な準備、失敗しないためのノウハウやポイントをステップごとに紹介します。開業までの準備にお役立てください。

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更新日:2024.11.21

コンセプト設計や物件探し、資金調達はもちろん、販促も重要!

飲食業で独立・開業する際、できるだけリスクを抑えるために10坪程度の小規模店で始めるケースが多くみられます。“限られたスペースで、いかに売上を最大化するか”という点からも、小さい居酒屋、小さいバー、小さいカフェなど、「小さい飲食店」に注目が集まっています。

目次
1.開業資金を準備する
2.小さな飲食店のメリット・デメリットを知る
3.店のコンセプトを決める
4.コンセプトに合った物件を探す
5.資格取得&届出申請を行う
6.販促ツールを活用する

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1.開業資金を準備する

開業資金の主な内訳

①物件取得費
 =家賃の6~10カ月分
②内外装費
 =居抜き物件で200万円~、スケルトンで500万円~
③厨房内設備費用
 =100万円~
④食器・調理器具・什器・備品の費用
 =30万円~
⑤運転資金(半年分)
 =家賃、水道光熱費(7%)、食材費(30%)、人件費(30%)※いずれも想定売上の%

まずは、小さい物件で飲食店を開業する場合必要な初期投資についてです。

初期投資額は60~80万円×坪数で計算するのが一般的。出店するエリアや立地、物件が居抜きかスケルトンかなどによってさまざまですが、10坪前後の小規模な店であれば、自己資金は最低でも500万円くらいは必要で、そこに融資を加えて合計1,000万円程度が必要になります。

では、その内訳を見ていきましょう。

①物件取得費

前払いの家賃や保証金・敷金、礼金、仲介手数料などを含めて、最低でも、およそ家賃の6~10カ月分が必要になります。

②内外装費

主な内装工事は、空調・電気・ガスなどのインフラ、配線工事など、主な外装工事は塗装やタイル工事などがあります。居抜き物件であれば200万円程度が必要で、スケルトンの場合は500万円以上が必要になります。

③厨房内設備費用

シンクや冷蔵庫、ガスコンロ、フライヤー、食洗器などの設備費用。業種によって異なるが、およそ100万円以上はかかると考えておきたいところです。

④食器・調理器具・什器・備品

食器や調理器具は、こだわって高級なものをそろえる場合は費用がかかりますが、安いものであれば20万円くらいで可能。また、テーブルやラックなどの什器も安いもので10万円くらいからそろえることができます。トイレットペーパーなどの備品は毎月1~3万円はかかると考えておくと良いでしょう。

⑤運転資金

運転資金は、家賃、水道光熱費、食材費、人件費などを含めて約半年分は用意しておくことが望ましいです。店の認知度を高めて常連客が付くまで、半年間は赤字が続いても営業を続けられる準備をしておきたいところ。概算で、およそどのくらい必要かを考える場合は、想定している売上が重要。食材費であれば想定売上の30%、人件費も30%くらいを想定しておくのがよいでしょう。また、水道光熱費は業態や設備にもよりますが、想定売上の7%ほどを想定しておく必要があります。

また、上記のほか、数カ月分の自分の生活費や店の認知度を高めるための販促費も用意しておくことが望ましいです。

これらの資金を自分の貯金でまかなえればよいですが、借り入れるケースが多いはず。その際は、日本政策金融公庫などの公的融資機関や自治体独自の企業支援制度なども検討しましょう。

2.小さな飲食店のメリット・デメリットを知る

小さな飲食店のメリットととしては、開業資金が抑えられることや、売上が現金で入ってくる可能性が高いことなどがあげられます。また、デメリットとしては、売上の最大値が小さいことや、スケールメリットを生かした安い仕入れができるといったことがあげられます。以下で具体的に見ていきましょう。

小さな飲食店の「メリット」

  1. 開業資金や運転資金が抑えられる
  2. 売上が現金で入ってくる可能性が高い
  3. 店内に目が行き届く
  4. 必要な資格が少ない

小さな飲食店で開業するメリットの一つが、開業資金や運転資金が抑えられること。家賃や光熱費、人件費のほか、厨房機器や什器、食器も大型店より少なくて済みます。

2つ目が、売上が現金で入ってくる可能性が高いこと。個人経営の小さい飲食店で高級業態でない場合、単価が安い傾向があることから、クレジットカードなどよりも現金で支払われることの方が多いです。そのため、手元に現金がないという状態が起こりづらく、資金繰りで窮して、売上はあるのに支払いが滞って黒字倒産のような状態になるリスクが小さいといえます。

3つ目は、店内に目が行き届くこと。1人で営業していても来店客の様子が確認しやすく、来店客が求めているものや困っていることなどを察知しやすく、行き届いたサービスが実現可能。また、従業員を雇っている場合も、働きぶりをこまめに確認できるので育成につなげやすいメリットもあります。加えて、来店客との距離が近いことで、コミュニケーションが取りやすく、店のファンも生まれやすいです。「人に会いに来る」という来店動機をつくりやすいのも小さな飲食店の特徴といえます。

4つ目として、必要な資格が少ないこともあげられます。後述する通り、収容人数が30人未満の店舗であれば、最低限の資格で営業が可能です。

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小さな飲食店の「デメリット」

  1. 売上の最大値が小さい
  2. スケールメリットを生かした安い仕入れができない
  3. スケールメリットを生かした安い仕入れができない

一方で、小さな店にもデメリットはあります。まず、席数が少ないので売上の最大値が大箱店に比べると小さいこと。そのため、売上を上げるためには、回転数を上げたり、客単価を上げるなどの工夫が必要になります。

また、大型店舗や複数店舗を運営している大手企業のような、スケールメリットを生かした安い仕入れができないこともデメリットといえます。

加えて、小さな飲食店の場合、少人数で運営することになるため、従業員一人の役割が大きいのもリスクになりうる。もし、病気や怪我などで欠員が出た場合に、店を回せる人数が足りなくなる可能性が高いからです。

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3.店のコンセプトを決める

では、実際に小さな規模で飲食店を開業する場合、どのような流れで進めていくとよいでしょうか。まず明確にしておきたいのがコンセプト。その第一歩が、店の業種(何を売るか)と業態(どう売るか)を決めること。業種はイタリア料理、中国料理、日本料理など、扱う料理による区分。そして、業態は、同じ日本料理でも高級料亭や定食屋など、販売形態別に分けたものです。

業種・業態が決まったら、さらに詳しく「何を」(どんな料理やドリンクを)、「誰に」(どんな人をターゲットに)、「どこで」(どんなエリア・空間で)、「いつ」(どんな営業時間や営業日で)、「どのように」(どんな価格帯や接客スタイル、利用シーンで)提供するのかを具体的に詰めていきます。ただし、小さい規模の店を開業するのであれば、「大人数の宴会は取れない」といった制約や「来店客との距離が近い(目が行き届く)」といった利点を意識したコンセプトづくりが求められます。

こうした要素を決める上で意識すべきなのが、「食材原価(Food)」「人件費(Labor)」「家賃(Rent)」。一般的にこれらの合計は「FLRコスト」と呼ばれ、売上の70%以下が望ましいとされています。自分が掲げた店のコンセプトで、来店客の満足度を高めながら、FLRコストを見極めてしっかり利益を上げられる構造を設計していくことが重要。“やりたいこと”や“こだわり”ばかりが先行して、来店客のニーズや利益構造を軽視した店づくりをしてしまうと、成功する確率は一気に落ちてしまうでしょう。

また、小さい規模の飲食店では、限られたスペースで調理や会計作業などをスムーズに行えるように、食器・調理器具の配置や人の動線の確保、食券機の導入など、効率的な運営のための工夫もポイントになります。

4.コンセプトに合った物件を探す

店のコンセプトを決めながら同時進行で進めたいのが物件探しです。物件サイトだけでなく、出店したいエリアの不動産屋を回ったり、実際にその地域を歩いてみると良い物件に出合うこともあります。

物件のチェックポイントは大規模でも小規模でも大きくは変わらない。周辺エリアの特徴(駅前、繁華街、住宅地など)や立地(角地、空中階、地下など)、周辺にいる人の層、近くに競合店があるか、物件の状態(居抜きかスケルトンか、築年数など)、設備、視認性など、さまざまな視点が必要になります。

また、家賃は売上の10%以内を目安にするのが一般的。つまり、家賃の10倍を売り上げられないと安定した経営は難しいということ。いくら店のコンセプトとイメージが合致していても、想定売上に対して家賃の割合が高い物件で開業するのはリスクが大きいということです。

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5.資格取得&届出申請を行う

飲食店開業に必要な資格は主に2つ。「食品衛生管理責任者」「防火管理者」です。「食品衛生責任者」は食品を扱う店舗で働く従業員のうち、1名以上が取得していなければならない資格で、保健所で講習を受けることで取得できます。また、「防火管理者」は消防署での講習を受けることで取得可能。ただし、「防火管理者」は店舗内の収容人数が30名未満の店では必須資格ではないため、店が小さい場合は取得していなくても問題ありません。

また、開業に合わせて、下記のように各所に届出が必要になるのでチェックしておきましょう。

飲食店開業時に必要になる、主な届出

①食品営業許可申請(届出先:保健所)

②防火管理者選任届(届出先:消防署)
 ※収容人数が30人を超える店舗

③深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(届出先:警察署)
 ※居酒屋やバーなど、酒類がメインの業態で、深夜12時以降も営業(酒類を提供)する場合

④個人事業の開廃業等届出書(届出先:税務署)
 ※個人で開業する場合

⑤災保険の加入手続き(届出先:労働基準監督署)
 ※従業員を雇う場合

⑥雇用保険の加入手続き(届出先:公共職業安定所)
 ※従業員を雇う場合

6.販促ツールを活用する

飲食店を開業する上で重要なポイントの一つに、店を知ってもらい、興味を持って来店してもらうための販促があります。特に個人の小さな飲食店の場合、ブランド力や知名度は高くないので、情報発信は重要。その方法は、ホームページやSNS(Facebook、Instagram、X、LINEなど)、ショップカード、チラシ、DMなどさまざまだ。ぐるなびなどの飲食店検索サイトへの掲載もその一つ。インターネット上での露出が増やせるため認知度アップにつながるほか、ネット予約やクーポンの発行など、さまざまな機能も活用できます。

ぐるなびでは、現在、「スタートプラン」(無料)、「ライトプラン」(11,000円/月)、「ベーシックプラン」(33,000円/月)の3つのプランがあり、プランごとに集客力を高めるオプションが付きます(詳細は「ぐるなび掲載のご案内」でご確認ください)。そのほか、顧客管理システム「ぐるなび台帳」やモバイルオーダーシステム「ぐるなびFineOrder(ファインオーダー)」、飲食店向けのセミナーを実施する「ぐるなび大学」など、多角的に飲食店の業務を支援しています。

こうしたネット販促に力を入れることで、小さな飲食店にとって開業時にネックとなる“知名度の低さ”をカバーすることも可能です。


これまで紹介した、開業におけるメリットやデメリット、失敗しないためのコンセプトづくりや資金調達と資格取得を意識しながら、しっかりと準備を進めていただきたい。

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