2021/10/14 特別企画

小さな飲食店 開業のための基本の「き」

コロナ禍にあって、独立・開業を迷っている人も少なくないはず。リスクを抑えて小さな飲食店を開業するにはどんなことがポイントになるのか。メリットやデメリットとともに紹介する。

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コンセプト設計や物件探し、資金調達はもちろん、販促も重要!

小さな飲食店のメリット・デメリットを知る

 飲食業で独立・開業する際、できるだけリスクを抑えるために10坪程度の小規模店で始めるケースは多い。特に現在は、コロナ禍で大口の宴会をメインに取ってきた大箱店が苦境に立たされる一方で、テイクアウトやデリバリーの専門店が増えるなど、“限られたスペースで、いかに売上を最大化するか”という点からも小さな飲食店に注目が集まっている。

 小さな飲食店で開業するメリットの1つが、開業資金や運転資金が抑えられることだ。家賃や光熱費、人件費のほか、厨房機器や什器、食器も大型店より少なくて済む。

 2つ目が、売上が現金で入ってくる可能性が高いこと。個人経営の小さい飲食店で高級業態でない場合、単価が安い傾向があることから、クレジットカードなどよりも現金で支払われることの方が多い。そのため、手元に現金がないという状態が起こりづらく、資金繰りで窮して、売上はあるのに支払いが滞って黒字倒産のような状態になるリスクが小さいといえる。

 3つ目は、店内に目が行き届くこと。1人で営業していても来店客の様子が確認しやすく、来店客が求めているものや困っていることなどを察知しやすく、行き届いたサービスが実現可能。また、従業員を雇っている場合も、働きぶりをこまめに確認できるので育成につなげやすいメリットもある。加えて、来店客との距離が近いことで、コミュニケーションが取りやすく、店のファンも生まれやすい。「人に会いに来る」という来店動機をつくりやすいのも小さな飲食店の特徴といえる。

 4つ目として、必要な資格が少ないこともあげられる。後述する通り、収容人数が30人未満の店舗であれば、最低限の資格で営業が可能だ。

 一方で、小さな店にもデメリットはある。まず、席数が少ないので売上の最大値が大箱店に比べると小さいこと。そのため、売上を上げるためには、回転数を上げたり、客単価を上げるなどの工夫が必要になる。

 また、大型店舗や複数店舗を運営している大手企業のような、スケールメリットを生かした安い仕入れができないこともデメリットといえる。

 加えて、小さな飲食店の場合、少人数で運営することになるため、従業員一人の役割が大きいのもリスクになりうる。もし、病気や怪我などで欠員が出た場合に、店を回せる人数が足りなくなる可能性が高いからだ。

小さな飲食店のメリット
①開業資金や運転資金が抑えられる
②売上が現金で入ってくる可能性が高い
③店内に目が行き届く
④必要な資格が少ない

小さな飲食店のデメリット
①売上の最大値が小さい
②スケールメリットを生かした安い仕入れができない
③従業員一人の役割が大きい

店のコンセプトを決める

 では、実際に小さな規模で飲食店を開業する場合、どのような流れで進めていくとよいのだろうか。まず明確にしておきたいのがコンセプトだ。その第一歩が、店の業種(何を売るか)と業態(どう売るか)を決めること。業種はイタリア料理、中国料理、日本料理など、扱う料理による区分。そして、業態は、同じ日本料理でも高級料亭や定食屋など、販売形態別に分けたものだ。

 業種・業態が決まったら、さらに詳しく「何を」(どんな料理やドリンクを)、「誰に」(どんな人をターゲットに)、「どこで」(どんなエリア・空間で)、「いつ」(どんな営業時間や営業日で)、「どのように」(どんな価格帯や接客スタイル、利用シーンで)提供するのかを具体的に詰めていく。ただし、小さい規模の店を開業するのであれば、「大人数の宴会は取れない」といった制約や「来店客との距離が近い(目が行き届く)」といった利点を意識したコンセプトづくりが求められる。

 こうした要素を決める上で意識すべきなのが、「食材原価(Food)」「人件費(Labor)」「家賃(Rent)」だ。一般的にこれらの合計は「FLRコスト」と呼ばれ、売上の70%以下が望ましいとされている。自分が掲げた店のコンセプトで、来店客の満足度を高めながら、FLRコストを見極めてしっかり利益を上げられる構造を設計していくことが重要。“やりたいこと”や“こだわり”ばかりが先行して、来店客のニーズや利益構造を軽視した店づくりをしてしまうと、成功する確率は一気に落ちてしまうだろう。

 また、小さい規模の飲食店では、限られたスペースで調理や会計作業などをスムーズに行えるように、食器・調理器具の配置や人の動線の確保、食券機の導入など、効率的な運営のための工夫もポイントになる。

コンセプトに合った物件を探す

 店のコンセプトを決めながら同時進行で進めたいのが物件探しだ。物件サイトだけでなく、出店したいエリアの不動産屋を回ったり、実際にその地域を歩いてみると良い物件に出合うこともある。

 物件のチェックポイントは大規模でも小規模でも大きくは変わらない。周辺エリアの特徴(駅前、繁華街、住宅地など)や立地(角地、空中階、地下など)、周辺にいる人の層、近くに競合店があるか、物件の状態(居抜きかスケルトンか、築年数など)、設備、視認性など、さまざまな視点が必要になる。

 また、家賃は売上の10%以内を目安にするのが一般的。つまり、家賃の10倍を売り上げられないと安定した経営は難しいということ。いくら店のコンセプトとイメージが合致していても、想定売上に対して家賃の割合が高い物件で開業するのはリスクが大きいということだ。

開業資金を準備する

 小さい物件で飲食店を開業する場合、先述した通り、比較的初期投資を低く抑えることができる。出店するエリアや立地、物件が居抜きかスケルトンかなどによってさまざまだが、小規模な店であれば、必要な開業資金は一般的に500~1,000万円程度。その内訳は、家賃、契約金、仲介手数料などの店舗取得費用と、内外装費、調理器具や備品といった設備費、およそ半年分の運転資金(家賃、水道光熱費、食材費、人件費)などだ。そのほか、数カ月分の自分の生活費や販促費も用意しておくことが望ましい。

 これらの資金を自分の貯金でまかなえればよいが、借り入れるケースが多いはず。その際は、日本政策金融公庫などの公的融資機関や自治体独自の企業支援制度なども検討しよう。

資格取得&届出申請を行う

 飲食店開業に必要な資格は主に2つ。「食品衛生管理責任者」「防火管理者」だ。「食品衛生責任者」は食品を扱う店舗で働く従業員のうち、1名以上が取得していなければならない資格で、保健所で講習を受けることで取得できる。また、「防火管理者」は消防署での講習を受けることで取得可能。ただし、「防火管理者」は店舗内の収容人数が30名未満の店では必須資格ではないため、店が小さい場合は取得していなくても問題ない。

 また、開業に合わせて、下記のように各所に届出が必要になるのでチェックしておきたい。

■飲食店開業時に必要になる主な届出

・食品営業許可申請(届出先:保健所)

・防火管理者選任届(届出先:消防署)
※収容人数が30人を超える店舗

・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(届出先:警察署)
※居酒屋やバーなど、酒類がメインの業態で、深夜12時以降も営業(酒類を提供)する場合

・個人事業の開廃業等届出書(届出先:税務署)
※個人で開業する場合

・労災保険の加入手続き(届出先:労働基準監督署)
※従業員を雇う場合

・雇用保険の加入手続き(届出先:公共職業安定所)
※従業員を雇う場合

販促ツールを活用する

 飲食店を開業する上で重要なポイントの1つに、店を知ってもらい、興味を持って来店してもらうための販促がある。特に個人の小さな飲食店の場合、ブランド力や知名度は高くないので、情報発信は重要。その方法は、ホームページやSNS(Facebook、Instagram、Twitter、LINEなど)、ショップカード、チラシ、DMなどさまざまだ。ぐるなびなどの飲食店検索サイトへの掲載もその一つ。インターネット上での露出が増やせるため認知度アップにつながるほか、ネット予約やクーポンの発行など、さまざまな機能も活用できる。

 ぐるなびでは、現在、「スタートプラン」(無料)、「ライトプラン」(11,000円/月)、「ベーシックプラン」(33,000円/月)の3つのプランがあり、プランごとに集客力を高めるオプションが付く(詳細は「ぐるなび掲載のご案内」でご確認ください)。そのほか、顧客管理システム「ぐるなび台帳」やPOSレジシステム「ぐるなびPOS+(ポスタス)」、飲食店向けのセミナーを実施する「ぐるなび大学」など、多角的に飲食店の業務を支援している。

 こうしたネット販促に力を入れることで、小さな飲食店にとって開業時にネックとなる“知名度の低さ”をカバーすることも可能。これまで紹介した、開業におけるメリットやデメリット、失敗しないためのコンセプトづくりや資金調達と資格取得を意識しながら、しっかりと準備を進めていただきたい。

ぐるなびでは、集客・リピート、顧客管理、オペレーション改善、コンサルティングなど飲食店の様々な課題解決をサポートしています。ぜひ一度お問い合わせください。

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