2022/02/18 特別企画

“生き残れる”焼肉店の開業ノウハウはこれ。繁盛を生む6つのポイント

ここ数年多くの新店がオープンしてきた焼肉業態ですが、最近は苦戦のニュースが聞こえてきます。大手の焼肉チェーンに負けない、生き残るための戦略をもって開業に望むため、この記事ではコンセプト決めから、出店の初期費用、物件選び、販促など、“生き残れる”焼肉店を出店するための手順とポイントを紹介します。

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更新日:2023.12.5

多くの新店がオープンし、苦戦している焼肉業界で、"生き残れる”焼肉屋さんを開業するためにはどうしたらよいのでしょうか? 帝国データバンクの調査によると、過去10年間で最多の倒産ペースといったニュースもある中、焼肉業態に参戦するための戦略とは? そんな疑問をもつ方に向けて、多店舗経営をしている大手チェーンに対抗し、繁盛する焼肉店になるための開業ノウハウを、この記事では一緒に考えましょう。

換気もよく、お一人様需要もあり、ここ数年多くの新店がオープンしてきた焼肉業態ですが、上でも触れた通り、最近では苦戦のニュースが聞こえてきます。焼肉店を新規開業・出店しようと考えた場合、焼肉業態はチェーン店や地域に根付く老舗店などの競合も多く、それらの店との差別化を図れる開業コンセプトとノウハウが必要になります。生き残れる繁盛店になるための開業の手順とポイントをこの記事ではご紹介します。

※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。

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目次

出店ラッシュからの閉店ラッシュ。生き残れる焼肉店を開業するには?
 ・それでも外食といえば「焼肉の特別感」
 ・競争の激化と価格高騰に負けないために

開業・出店からスタートダッシュ。繁盛店への6つのポイント
 1.お店のコンセプト、ターゲット層に支持されるポイントは?
 2.資金の準備は? 焼肉店の初期投資額の目安は1,000~3,000万円
  ①物件取得費
  ②内装工事費
  ③厨房機器・設備費
  ④備品、消耗品費
  ⑤運転資金
 3.その物件、ガスの容量と排気機器は確認した?
 4.資格と届け出は済んでる? 食品衛生責任者、飲食店営業許可などが必要
 5.メニューと仕入れは万全? 目玉メニューは惹きになりそう?
 6.肉はネットの最強コンテンツ。オンラインでもオフラインでも集客を

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出店ラッシュからの閉店ラッシュ。生き残れる焼肉店を開業するには?

飲食業界が苦戦を強いられる中で、好調だったのが数年前の焼肉業態でした。日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査2022年6月度の結果報告」によると、焼肉店は郊外店舗を中心に客足が好調で、売上は前年比154.6%となっていました。時流に乗って“一人焼肉”や、牛だけでなくホルモンや鶏肉に特化した焼肉店も登場していたのも記憶に新しいところです。

ところが外食へのユーザーの回帰と同じタイミングで、だんだんと焼肉店を取り巻く状況も変化してきました。店内オペレーションが比較的簡単なため、居酒屋やラーメンチェーンなど異業種からの参入が相次ぎ、既存大手も新規出店し競争が激化しました。輸送コストの増加や円安の影響により、輸入牛肉価格が上昇し、運営コストも上昇…一方で、消費者の「値上げ疲れ」もあり、大幅な値上げが難しくなり、不採算店舗は撤退を余儀なくされています。

それでも外食といえば「焼肉の特別感」

それでも焼肉が「外食で食べたいメニュー」のトップグループにいる理由としては、ごちそう感があり、ハレの日にふさわしい食事であること、自宅では肉を焼く時の臭いや煙が気になるため、家庭では敬遠されるなどがあげられるでしょう。また、ロースターや炭火で肉を焼いて食べるため「楽しい」「元気になる」といったポジティブなイメージが、年代を問わず、ファミリーやグループ、カップル、お一人様など、幅広い客層に好まれています。こだわって仕入れた肉を食べるという「特別感」も大きなポイントと言えます。

競争の激化と価格高騰に負けないために

世界的な牛肉価格の高騰・大手飲食グループの参入による競争の激化・物価高による節約志向などが原因で、焼肉店の経営環境は厳しさが続くとみられています。激戦の焼肉業界で生き残れる店を作るには、開業前からの準備がもっとも大切なのは言うまでもありません。個人店ならば繁華街・住宅街といった立地はもちろん、ターゲットとする客層や年齢層、コンセプトなどの戦略をよく練っておくことも大事なポイントです。それでは、“激戦を生き残れる”焼肉店の開業までの手順と、繁盛につなげるためのポイントを紹介します。

開業・出店からスタートダッシュ。繁盛店への6つのポイント

1. お店のコンセプト、ターゲット層に支持されるポイントは?

一言に焼肉店といっても、その形態はさまざまです。アットホームなファミリー向けや、若者に人気のリーズナブルな大衆店、個室があり接待やデートで利用が多い高級店など、それぞれの雰囲気は全く異なります。まずは店のコンセプトとターゲットを明確化し、そこから具体的な利用シーンを考えてみましょう。それにより最適な物件や立地、店舗の内装・外装、メニューやサービスが自ずと固まってくるはずです。また、希望する立地にどんな人がいて、どんな飲食店が多いのか、事前にしっかりと市場調査や競合調査を行うことも大切です。

例えば、店のコンセプトが「子連れの家族が食事を楽しめる焼肉店」なら、客単価を3,000円程度に設定し、来店のハードルを下げることでリピーターを増やして客数を確保するという戦略が立てられると思います。ファミリーが多い住宅街の物件を選び、座敷席を多めにしたり、子ども用の食器や椅子、おもちゃを用意するなど、ターゲットに合わせた店づくりを心がけましょう。「接待やデートに最適な高級焼肉店」というコンセプトならば、アッパー層がアクセスしやすい立地で、こだわりのメニューを用意し、客単価は1~3万円程度、清潔感と高級感のある内外装で個室を増やす、といったように支持されやすいポイントを具体化していくことが重要です。

2. 資金の準備は? 焼肉店の初期投資額の目安は1,000~3,000万円

一般的に、飲食店の初期投資額は60~80万円×坪数で計算します。ただし焼肉店の開業には、ロースターやダクトなど大がかりな設備が必要なため、他の飲食店よりも内装工事費や設備費がかかることに注意しましょう。店舗の場所や規模によって異なりますが、初期投資額の目安は1,000~3,000万円程度といわれています。以下の内訳と主な費用を確認していきます。

①物件取得費

これには前払いの家賃や敷金・礼金・仲介手数料なども含まれます。飲食店用の物件は、最低でも家賃6~10カ月分を用意する必要があるので注意しましょう。

②内装工事費

各テーブルへのロースター設置(目安は1台20万円~)やダクト工事(1機10万円~)、店全体の給排気・排煙工事などがあり、1,000万円以上必要になることもあります。飲食店の居抜き物件を選んだり、自前で内装工事をすることで費用を安く抑えられるケースもあるので、ご検討を。

③厨房機器・設備費

肉を保存する業務用の冷凍冷蔵庫、調理台、シンク、コンロ、フライヤー、食洗機などが一通り必要になります。中古の機器やリースを活用すれば費用を節約できることも。

④備品、消耗品費

食器や調理器具は、特にこだわりがなければ20万円程度、什器は10万円くらいからそろえられます。トイレットペーパーなどの備品は毎月1~3万円程度が目安です。

⑤運転資金

毎月の運営にかかる資金として店舗の賃料や光熱費、人件費、原材料費、消耗品費、広告宣伝費などがかかってきます。目安として毎月100~300万円が必要ですが、店舗が軌道に乗るまでの期間を考え、余裕をもって半年分ほど用意しておきたいところです。人件費や原材料費は、それぞれ売上の30%程度が目安となります。

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3. その物件、ガスの容量と排気機器は確認した?

焼肉店の開業では、まず物件が重要です。他業態に比べて排気に注意する必要があるほか、臭いや煙があることから「焼肉店はNG」という物件もあるのでご注意を。なお、家賃は想定する売上の10%以内を目安にするのが一般的です。

焼肉店や焼鳥店、ラーメン店など、臭いや煙が強い業態を「重飲食」と呼びます。重飲食の場合は物件のガス容量が10号以上必要になります。ガス容量が足りずに後から変更するとなると多大な費用が掛かるので、必ず事前にチェックしておきましょう。

焼肉店はテーブルごとにロースターと排気管が必要なので、設置するための十分なスペースがあるか、費用はどの程度かかるのかを確認しておく必要があります。また、ダクトの有無や状態を見て、ダクトの設置や大規模な工事が必要かどうかも確認しておきましょう。すでにダクトがあっても、「焼肉店として使う場合は建物の最上階までダクトを引き上げなければならない」といった条件が付くこともあります。

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4. 資格取得と届け出は済んでる? 食品衛生責任者、飲食店営業許可などが必要

焼肉店を開業するには、1店舗ごとに最低1人の「食品衛生責任者」が必要です。栄養士や調理師などの資格があれば食品衛生責任者になれますが、それ以外の人は「食品衛生責任者養成講習会」の講習を1日受けることで取得できます(費用は1万円程度)。全国の食品衛生協会が定期的に講習会を開催していますので、ご確認ください。

その後、保健所に「飲食店営業許可」の申請を行います。店舗の完成図面を提出し、保健所からOKと判断されたら、次は保健所の担当者による店舗での検査があり、合格なら営業許可証が発行されます。

なお、収容人数30名以上の店舗の場合は「防火管理者」の資格が必要になります。また、深夜0時以降も営業する場合は「深夜酒類提供飲食店開始届」が必要なので忘れずに申請しておきましょう。

5. メニューと仕入れは万全? 目玉メニューは惹きになりそう?

設定したコンセプトに基づき、来店してほしい客層にはどんなメニューが喜ばれるかを具体的に考えましょう。女性がターゲットなら、野菜を多く使ったヘルシーなメニューや肉や惣菜の種類が選べるシステム、美しい盛り付けといった具合に考えていきます。ファミリーをターゲットにする場合は、子ども用メニューの設定やアレルギー対応をすると喜ばれるでしょう。

焼肉店のメニューは、主にメインメニュー・サイドメニュー・デザートの3つに分けられます。メインメニューには牛やホルモンといった定番メニューのほか、A5ランクの牛肉や希少部位など、人を引き付ける魅力的な目玉メニューを用意しておきましょう。牛肉は原価が高く、 “ミートショック”の問題もあり、最近では特にコスト高になっています。サラダやスープ、麺・ごはん類などのサイドメニューやデザート、ドリンクメニューを豊富に取りそろえることで利益率を上げることが重要です。オリジナルメニューや店独自の味付け、見た目、提供方法などを工夫して注文率を上げ、メニュー全体の原価率が30%前後になるように調整しましょう。

また、仕入れ先の確保も重要です。焼肉店は特に肉質と値段が評判に直結するので、質のよい肉を定期的に安価で仕入れられるように努力したいところです。

6.肉はネットの最強コンテンツ。オンラインでもオフラインでも集客を

開業後はさまざまな販促を通じて店の認知度を上げ、来店してもらう必要があります。オフラインだとショップカードやチラシ、DMなどの配布がありますが、著名な焼肉チェーンや地元に根付いた老舗焼肉店に対抗するには、ネット販促による認知拡大も狙っていきましょう。「焼肉」はWeb上での検索件数が多い上に、ジューシーな肉質や網で焼いている様子など、食欲を刺激する写真を掲載すれば高い訴求効果が期待できます。動画も良いでしょう。公式ホームページのほか、ぐるなびをはじめとするグルメサイトで露出を増やし、InstagramやLINE、FacebookなどのSNSも活用して積極的に販促を行っていきましょう。

いずれのツールにおいても、一目で引き付けられる「おいしそうな肉」「インパクトある一品料理」などの写真を掲載することが大切です。店舗の雰囲気が分かる外観・内観や、店ならではのこだわりのポイントも紹介しましょう。

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焼肉は幅広い客層に人気なため、コンセプトとターゲットの明確化が必須です。物件や立地の特徴と照らし合わせて、過ごしやすい内装、引きの強いメニュー、適正な価格設定などを行うことが重要です。今まで述べたポイントを参考に、オリジナルな焼肉店、競争が激しくても生き残れる焼肉店を作ってください。ぐるなびも精一杯お手伝いします。

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。 焼肉店の開業に関する疑問や不安、具体的な相談事があれば、ぐるなびにお気軽にご相談ください。 ぐるなびでは、多くの飲食店経営者様との実績を持ち、業界の専門知識を活かしてお手伝いさせていただきます。安心してお問い合わせください。 お問い合わせはこちらからどうぞ