焼肉屋の開業ガイド:費用・資格・手順から成功事例まで徹底解説

焼肉屋の新規開業ノウハウを解説。初期費用の目安や運転資金の内訳、必要な資格・届出から物件選びの注意点まで、繁盛店になるための8ステップを詳しく紹介します。無煙ロースターなどの設備投資やFL比率の管理、差別化戦略、さらに売上を伸ばした成功事例も紹介。競合の多い焼肉業界で生き残るためのノウハウを凝縮した、独立・出店前に読んでほしい保存版ガイドです。

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初回公開日:2022.2.18

焼肉店を新規開業・出店しようと考えた場合、焼肉業態はチェーン店や地域に根付く老舗店などの競合も多く、他の飲食店との差別化を図れる開業コンセプトやターゲット設定、食材の仕入れルートの確立、販促ツールの活用など、さまざまなノウハウが必要になります。生き残れる繁盛店になるための開業の手順や方法・ポイントを紹介します。開業後の店舗運営・経営を軌道に乗せるためにも、しっかりと準備をしてスタートダッシュを決めましょう。

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目次
焼肉屋の強み(メリット)と弱み(デメリット)
 ・強み(メリット)
 ・弱み(デメリット)
焼肉屋の開業費用
 ・初期費用
 ・運転資金
 ・資金調達方法
焼肉屋開業に必要な資格・届出・知識
 ・必要な資格
 ・必要な届出
 ・必要な知識
焼肉屋開業までの8ステップ
 (1)コンセプト・ターゲットの設定
 (2)メニューと仕入先の策定
 (3)物件選び
 (4)事業計画書作成・資金調達
 (5)デザイン・内装工事
 (6)資格取得・届出申請
 (7)人材採用・育成
 (8)販促施策を行う
焼肉屋の成功事例
まとめ

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焼肉屋の強み(メリット)と弱み(デメリット)

強み(メリット)

ターゲットとなる客層が広い
焼肉業態は利用シーンが幅広いため、ターゲットとなる客層も極めて広いです。日常的な食事から、誕生日や記念日などの「ハレの日」、さらには接待や忘年会といったビジネス・宴会需要まで、さまざまな世代・属性のニーズの受け皿となりえます。

調理オペレーションの負荷が低い
焼肉屋では、ほとんどの場合、仕上げの「焼く」工程をお客様が行うため、他の業態に比べて調理オペレーションの負荷が低いのが特徴です。高い技術を持つ料理人を雇わなくても成立するため、人件費を抑えられますし、調理する時間が発生しないのでほとんどのメニューで提供スピードがかなり早いです。また、焼き加減や調理ミスなどについてのクレームが起こりにくいのもメリットといえるでしょう。

食材ロスが出にくい
主力食材の「肉(牛肉・豚肉・鶏肉)」がメニュー構成の大部分を担っており、かつ冷凍保存可能な食材であるため、ロスが出にくいのが特徴。また、肉の端材は汎用性が高く、「カレー」「スープ」「煮込み料理」「ビビンバ」などのサイドメニューに使える点もロスが出にくい要因になっています。

外食ならではの特別感がある
家庭では再現が難しい「五感を刺激する特別な体験」を、他の業態以上に感じやすい点も強みです。業務用ロースターや炭火による圧倒的な火力のほか、強力な排気設備で煙や臭いを気にせず食事を楽しめるのも外食ならではの強みです。さらに、プロの目利きで仕入れた希少部位や、職人による精密なカット、秘伝のタレといった専門性も大きな付加価値になります。

弱み(デメリット)

開業コストが高い
焼肉業態は特殊な設備投資が必要になるため、開業コストが高くなる傾向にあります。テーブルごとの無煙ロースターと、大規模な排気ダクト工事、さらに強力な屋上ファンなどの設置で、空調・換気設備だけで数百万円から1,000万円近く費用がかかることもあります。さらに、高火力を支えるためのガス容量の増幅や、消防法に適合させるための不燃内装工事も必須となり、坪単価の工事費用はカフェや居酒屋と比べて2倍近くかかるケースもあります。

仕入れの影響を受けやすい
焼肉業態は、「肉」という単一商材が売上の核となるため、他業態のように「旬の安い食材で原価を調整する」といった柔軟な対応は難しいです。円安や飼料高騰などにより、仕入れ価格が上がると、他の食材で代替することができずにダイレクトに利益が影響を受けます。また、歩留まり(枝肉から可食部を取る割合)の個体差や、牛タンなどの特定部位の極端な品薄・高騰といった、予測しにくいリスクもつきまといます。

物件選びに制約がある
他業態に比べて物件を選ぶ際にさまざまな制約があります。まず、強力な排気を行うために「ダクトを屋上まで立ち上げられるか」が最大の焦点となります。ビルの構造上、ダクトを外壁に這わせられない物件や、屋上にファンを置くスペースがない物件は、その時点で候補から外れます。また、排気による煙や臭いが近隣住民とのトラブル(クレーム)に発展しやすく、脱臭装置の設置を条件付けられるケースもあります。加えて、ガス容量や電気容量の不足により、出店を断念せざるを得ないことも少なくありません。

清掃・メンテナンスの負担が重い
他業態と比べて、清掃作業の過酷さと専門性の高さが負担になります。まず、空気中に拡散した油煙(オイルミスト)による汚れは、毎日、テーブルや床、壁面、ロースターの周辺などを徹底的に磨く必要があります。また、排気ダクトの内側に付着した油汚れは、吸気能力の低下やダクト火災の原因となるため、定期的に高圧洗浄などの専門的なメンテナンスが必要です。その他、網や鉄板の洗い場作業も業務負担が高く、設備の劣化スピードも速いことから、スタッフの離職リスクや突発的な修繕の発生率も高いです。

食中毒のリスクが他業態より高い
焼肉屋では、菌が付着している可能性のある「生の肉」を客席に提供するため、お客様がトング(生肉用と焼き上がり用)の使い分けを徹底していなかったり、焼き不足による食中毒が発生する可能性はあります。さらに、ホルモン(内臓系)は、特に食中毒リスクが高いため、より慎重な温度管理と鮮度維持が求められます。

焼肉屋の開業費用

初期費用

焼肉店の初期費用は、他業態と比べて「空調・排気」と「ロースター」への投資が突出しているのが特徴です。20坪(約40席)程度の標準的な店舗をスケルトンから開業する場合、総額で2,000万〜4,000万円ほどが目安となります。ただ、焼肉屋の居抜き物件を活用すれば、約40〜60%のコストダウンが見込めるので、初期費用は1,000万〜2,000万円で開業することも可能です。

スケルトン物件で開業する場合の主な内訳は以下の通りです。
(1)内装・設備工事費(約1,500万〜2,500万円)
・排気ダクト工事(300万〜800万円)
・無煙ロースター(1台20万〜40万円)
・電気・ガス・給排水(200万〜500万円)
(2)物件取得費(約300万〜600万円)
・保証金・敷金(家賃の6〜10カ月分)
・前家賃・仲介手数料
(3)厨房機器・什器・備品(約300万円〜600万円)

運転資金

焼肉屋は他の業態に比べて「食材費(F)が高く、人件費(L)が低い」という独特のコスト構造(FL比率)を持っています。

月商500万円の中規模店を想定した1カ月あたりの費用目安は以下の通りです。
・食材費(Food)
175万〜225万円(売上の35〜45%)
・人件費(Labor)
90万〜115万円(売上の18〜23%)
・家賃(Rent)
40万〜60万円(売上の8〜12%)
・水道光熱費
25万〜40万円(売上の5〜8%)
・広告宣伝費
15万〜25万円(売上の3〜5%)

資金調達方法

焼肉屋の資金調達は、初期投資が数千万円規模になるため、「自己資金」と「融資」の組み合わせが基本です。

中心となるのは日本政策金融公庫の「新創業融資制度」。無担保・無保証で利用でき、実績のない開業時でも現実的な選択肢となります。また、自治体が窓口となる「制度融資」も低金利で利用できます。いずれも自己資金として総予算の1/3〜1/10程度を準備していることが審査の前提となります。

このほか、希少部位の優先予約権などを特典にした「クラウドファンディング」で、資金調達と同時にファン(初期顧客)を獲得する手法も増えてきています。

焼肉屋開業に必要な資格・届出・知識

必要な資格

焼肉屋を開業するために必要な資格は以下の2つです。

食品衛生責任者
すべての飲食店に最低1人の配置が義務付けられています。調理師免許がない場合でも、自治体が実施する1日程度の講習を受ければ取得可能です。

防火管理者
収容人数(従業員+客席)が30人以上の店舗で必須です。焼肉屋は火気を扱うため、多くの自治体で厳格にチェックされます。こちらも講習受講で取得可能です。

必要な届出

焼肉屋を開業する際は、主に「保健所」「消防署」「税務署」への届出が必要です。

飲食店営業許可申請(保健所)
着工前に設計図を持参し、手洗い場の数やシンクの基準を確認しましょう。

開業届(税務署)
個人事業であれば税務署へ届出が必要です。

火を使用する設備等の設置届(消防署)
厨房にガスコンロ、オーブン、ボイラーなど、一定以上の火力を発揮する熱源機器を設置する飲食店で必要になります。

防火対象物使用開始届(消防署)
焼肉屋は火災リスクが高いため、内装の不燃材やダクトの仕様が厳格に審査されます。

防火管理者選任届(消防署)
収容人数30名以上の場合、有資格者を選任して届け出る必要があります。

深夜酒類提供飲食店営業届(警察署)
深夜0時以降も営業し、アルコールをメインに提供する場合は警察署へ届出が必要です。

認定生食用食肉取扱施設(保健所)
ユッケなどの生肉を扱う場合は届出が必要。専用の調理場所を設けるなど基準が非常に厳しくなります。

【資格と届出の詳細情報はこちら】
飲食店開業に必要な資格と届出は?手続きの流れや提出期限を完全ガイド

必要な知識

「肉」に関する専門知識
部位ごとの肉質・特徴、歩留まり(可食部の割合)の計算、精肉・カット技術、鮮度管理、熟成のメカニズム、仕入れルートの開拓など。習得するには、既存の焼肉屋で修業したり、食肉学校に通うほか、卸業者と交流して知見を深める方法があります。

「衛生・法令」に関する知識
食品衛生法(HACCPに沿った管理)、生食用食肉の取扱基準、消防法(ダクト清掃や防火管理)、感染症対策など。習得するには、保健所・消防署などによる講習会や食品衛生責任者講習などの方法があります。

「設備・オペレーション」に関する知識
無煙ロースターの仕組み、排気ダクトのメンテナンス、厨房レイアウトによる動線効率、POSレジによる売上分析など。習得するには、厨房機器メーカーのショールームや開業コンサルタントに相談するほか、「テンポスぐるなび江戸川店」のような専門店で情報を集めるのも一案です。

「経営・マーケティング」に関する知識
FL比率(食材費・人件費)の管理、メニュー開発(ドリンク率を高める工夫)、SNSを活用した集客、トレンド(一人焼肉、高級路線など)の把握など。習得するには、ビジネス書・業界誌を購読したり、商工会議所でのセミナーに参加するほか、実際に競合店へいって調査する方法もあります。

焼肉屋開業までの8ステップ

(1)コンセプト・ターゲットの設定

焼肉屋を開業する上で重要なのが、コンセプトとターゲットの設定です。どんなエリアで誰をターゲットに、どんなメニューをどんな空間・接客で、いくらで提供する業態なのか、できるだけ具体的に設定しましょう。

一言に焼肉店といっても、その形態はさまざまです。アットホームなファミリー向けや、若者に人気のリーズナブルな大衆店、個室があり接待やデートで利用が多い高級店など、それぞれの雰囲気は全く異なります。まずは店のコンセプトとターゲットを明確化し、そこから具体的な利用シーンを考えてみましょう。それにより最適な物件や立地、店舗の内装・外装、メニューやサービスが自ずと固まってくるはずです。また、希望する立地にどんな人がいて、どんな飲食店が多いのか、事前にしっかりと市場調査や競合調査を行うことも大切です。

例えば、店のコンセプトが「子連れの家族が食事を楽しめる焼肉店」なら、客単価を3,000円程度に設定し、来店のハードルを下げることでリピーターを増やして客数を確保するという戦略が立てられると思います。ファミリーが多い住宅街の物件を選び、座敷席を多めにしたり、子ども用の食器や椅子、おもちゃを用意するなど、ターゲットに合わせた店づくりを心がけましょう。「接待やデートに最適な高級焼肉店」というコンセプトならば、アッパー層がアクセスしやすい立地で、こだわりのメニューを用意し、客単価は1~3万円程度、清潔感と高級感のある内外装で個室を増やす、といったように支持されやすいポイントを具体化していくことが重要です。

特に焼肉屋の場合は、コンセプトに合致する出店エリアを選定する、もしくは出店エリアに合わせてコンセプトを微調整することが重要です。出店エリアが決まっているのであれば、そのエリアの通行量や通行人の属性調査を行ったり、周辺にある競合の焼肉屋の客層や客単価、強み・弱み、Googleビジネスプロフィールの口コミやSNSの投稿・フォロワー数などを分析して、どこで差別化すればいいかを検討しながらコンセプトを具体的にしていくとよいでしょう。

(2)メニューと仕入先の策定

次に、焼肉屋の集客のカギを握るメニューを決めていきます。焼肉屋のメニューを決める場合、「どんな肉・部位をいくらで、どれくらいのポーションで提供するか」が最重要です。コンセプトとターゲットに合った商品(肉のランク、ポーションなど)を設計しましょう。

その上で、その商品設計を実現するための仕入先を決めることが重要です。年間を通して安定して仕入れられるように、いくつかの業者を選定しておくとさまざまなリスクを回避しやすくなります。仕入先を確保するために役に立つのが修業時代の人脈です。焼肉屋で修業しながら、さまざまな卸業者と人脈を築くことも独立・開業時の役に立つでしょう。

メニュー開発におけるポイントは以下の通りです。

・コンセプトに合わせたメニュー
設定したコンセプトに基づき、来店してほしい客層にはどんなメニューが喜ばれるかを具体的に考えましょう。女性がターゲットなら、野菜を多く使ったヘルシーなメニューや肉や惣菜の種類が選べるシステム、美しい盛り付けといった具合に考えていきます。ファミリーをターゲットにする場合は、子ども用メニューの設定やアレルギー対応をすると喜ばれるでしょう。

・メニューの構成
焼肉店のメニューは、主にメインメニュー・サイドメニュー・デザートの3つに分けられます。メインメニューには牛やホルモンといった定番メニューのほか、A5ランクの牛肉や希少部位など、人を引き付ける魅力的な目玉メニューを用意しておきましょう。牛肉は原価が高く、 “ミートショック”の問題もあり、最近では特にコスト高になっています。サラダやスープ、麺・ごはん類などのサイドメニューやデザート、ドリンクメニューを豊富に取りそろえることで利益率を上げることが重要です。オリジナルメニューや店独自の味付け、見た目、提供方法などを工夫して注文率を上げ、メニュー全体の原価率が30%前後になるように調整しましょう。

・看板メニューと利益率のバランス設計
原価が高くなりがちな牛肉において、客単価を引き上げる戦略的なメニュー構成が重要です。顧客を惹きつける「目玉メニュー」は原価が高くても構いませんが、サラダやスープ、麺類といったサイドメニューやドリンクで高い利益率を確保し、メニュー全体の原価率を調整します。例えば、原価率の低い定番サイドメニューを戦略的に豊富に取りそろえることで、顧客満足度を保ちつつ、総合的な収益性を高めることができます。

・仕入れルート確立
大手チェーンに対抗し、質の高い肉を安定的に提供するには、独自の仕入れルートの開拓が不可欠です。特定の卸売業者、牧場との直接契約、特定の輸入ルートなど、多様な選択肢を持つことで価格交渉力を高め、輸入牛肉価格の上昇リスクを分散できます。

・歩留まり率の徹底管理
仕入れた肉を最大限に活用する歩留まり(ぶどまり)率の管理を徹底しましょう。肉のカット技術を磨き、端材をスープやサイドメニューに利用するなど、廃棄部分を減らす工夫が重要です。この歩留まり率の改善こそが、競争激化の中でも利益を確保する生命線となります。

(3)物件選び

焼肉屋の開業では、まず物件が重要です。他業態に比べて排気に注意する必要があるほか、臭いや煙があることから「焼肉店はNG」という物件もあるのでご注意を。なお、家賃は想定する売上の10%以内を目安にするのが一般的です。

また、物件の内見は内装業者を伴って行うようにしましょう。プロの目でダクトの経路やインフラの限界を早期に見極めておくと、契約後に想定外の出費が発生する可能性を下げられるでしょう。特に確認すべきポイントは以下の通りです。

・設備のキャパシティ(インフラ)の確認
焼肉屋や焼き鳥店、ラーメン店など、臭いや煙が強い業態を「重飲食」と呼びます。重飲食の場合は物件のガス容量が10号以上必要になります。ガス容量が不足していると、全卓で一斉に肉を焼くことができず、増設工事に数百万円かかる場合があります。また、強力な換気扇を回すための電気容量や、給排水の太さが「重飲食」に耐えうるか、不動産会社を通じて必ず事前に確認しましょう。

・排気ルートと近隣トラブルの回避
焼肉屋はテーブルごとにロースターと排気管が必要なので、設置するための十分なスペースがあるか、費用はどの程度かかるのかを確認しておく必要があります。また、ダクトの有無や状態を見て、ダクトの設置や大規模な工事が必要かどうかも確認しておきましょう。煙や臭いによるクレームは廃業リスクに直結します。「ダクトを屋上まで立ち上げられること」が重要。1階や低層階で横出し排気を行うと、近隣店舗や住民とのトラブルになりかねないので、周辺の建物の窓の位置などもチェックしておきましょう。すでにダクトがあっても、「焼肉屋として使う場合は建物の最上階までダクトを引き上げなければならない」といった条件が付くこともあるので注意が必要です。

・グリストラップ(油水分離槽)の確認と清掃費用
焼肉店は油分や生ゴミが多く出るため、厨房に設置されるグリストラップ(油水分離槽)の存在と容量が非常に重要です。容量不足の場合、排水詰まりや悪臭の原因となるほか、後からの大規模な工事が必要になる可能性があります。また、毎月の清掃・廃棄コストも運転資金として大きくかさむため、契約前にメンテナンス方法と費用を確認しておきましょう。

・契約時の「原状回復」と「保証金」のリスク管理
「焼肉屋可」の物件でも、契約書で「重飲食特約」が付帯されていることが多くあります。特に注意すべきは、保証金(敷金)の償却条件と、退去時の「原状回復」の範囲です。排気設備(ダクト)やロースターの撤去範囲、残せる設備の有無などを細かく確認しないと、退去時に多額の費用を請求されるリスクがあります。必ず契約前に詳細を取り交わし、トラブルを未然に防ぎましょう。

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(4)事業計画書作成・資金調達

事業計画書は、日本政策金融公庫や民間の金融機関からの融資を受けるための「信頼の証明」であると同時に、経営の設計図です。

「自己資金」の証明、具体的かつ根拠のある「売上予測」、精緻な「資金計画&収支シミュレーション」、自店ならではの「差別化戦略」が記載されている事が重要で、「なぜ焼肉屋なのか」「なぜこの立地・物件なのか」といった審査員の問いに答えられる内容になっていることもポイントです。

物件を探しながら事業計画書を作成し、ある程度物件の目処がたった時点で公庫などに提出して資金調達を進めましょう。

(5)デザイン・内装工事

焼肉屋の内装は「デザイン性」以上に、排気や清掃性などの「機能面」が重要で、機能がデザインを決める業態といえます。焼肉屋の施工実績が豊富な業者に依頼して、設計段階からロースターメーカーと連携させることが、無駄な追加工事を防ぐ秘けつです。特に以下のポイントに気を付けるとよいでしょう。

・排気システムの設計
焼肉屋のデザインは、ダクトの配管ルートによって制約を受けます。天井を見せる「露出ダクト」で無骨な格好良さを出すか、天井内に隠してスタイリッシュにするかなど、排気効率とセットで検討しましょう。また、客席の吸気だけでなく、店舗全体の給排気バランス(負圧対策)を計算しないと、「ドアが開かない」「エアコンが効かない」といったトラブルを招くので注意しましょう。

・動線効率の最適化
スタッフの作業効率を上げるため、ドリンク場、パントリー(配膳場)、洗い場の配置を最適化しましょう。

・壁や床の素材選び
焼肉屋は店内の油汚れが避けられないため、壁や床は「拭き取りやすさ」と「滑りにくさ」を重視した素材(クッションフロアや防滑タイルなど)を選びましょう。

(6)資格取得、届出申請

資金調達を行ったら、各種資格や届出の確認を行いましょう。

取得すべき資格や申請すべき届出の詳細は前述した、
焼肉屋開業に必要な資格・届出・知識
を確認してください。

(7)人材採用、育成

届出申請と同じタイミングでオープニングスタッフの採用も開始しましょう。焼肉屋の場合、キッチンとホールで求める人材が異なります。

キッチンは、肉のカットや鮮度管理を担うため、経験者が理想ですが、オペレーションを簡略化(セントラルキッチン利用や仕込みのシステム化)するなら、未経験者も対象になるでしょう。

ホールは、「ハレの日」利用などに対して明るく気配りができる人が向いています。ほかにも、「一人焼肉」や「接待」など、自店の利用シーンに合う接客ができそうな人を採用しましょう。

育成については、知識の共有と安全管理が重要ポイントです。肉の部位ごとの特徴、おすすめの焼き方、タレとの相性を全スタッフが語れるようにしましょう。また、生食の取り扱い、トングの使い分け、ダクト火災防止のための清掃手順など、焼肉屋特有の安全管理を徹底できるようにしましょう。何より、スタッフに実際に肉を試食してもらい、「おいしい」という実体験を持たせることで、説得力のある接客や調理を実現できるはずです。

(8)販促施策を行う

最後にオープンに向けて販促施策を行いましょう。シズル感(視覚・聴覚)の訴求とリピートの仕組み化が成功の秘けつ。味だけでなく、こだわりや雰囲気など競合店と差別化できている部分を発信することも重要です。具体的なポイントを以下にまとめました。

・動画と写真で興味を集める
デジタル戦略として、InstagramやTikTokなどのSNSを活用し、肉を焼く音や肉汁の動画などを発信しましょう。また、MEO対策として、Googleビジネスプロフィールにシズル感のある肉の写真などを掲載し、「エリア名+焼肉」といった検索キーワードで検索順位を高めるのも大切です。

・地域密着で信頼を獲得する
アナログ戦略としては、開店前に近隣住民や企業を対象にした試食会やポスティングを行い、顔の見える関係を築くとよいでしょう。近隣に住んでいたり、勤めている人にファンになってもらうことで、リピーターを増やし、安定した集客につなげられるはずです。

・グルメサイトなどでの露出強化
新規顧客の獲得コストは、既存顧客を維持するコストの数倍かかると言われています。生き残るには、来店してくれたお客様をリピーターにするための顧客維持戦略(CRM)が必須です。グルメサイトなどで、積極的に露出を増やしましょう。

・会員化によるリピーター創出
LINE公式アカウントなどを活用して、来店したお客様とつながりましょう。雨の日の割引通知や、希少部位の入荷案内を送ることで、予約の空白を埋めることも可能です。また、独自のポイントシステムなども活用し、顧客データの蓄積・分析が重要です。誕生日クーポンや特別な割引情報など、お客様の利用状況に合わせたパーソナライズされた情報配信を行うことで、来店頻度(LTV:顧客生涯価値)を高められます。

・口コミなどの「評判管理」
集客ツールとしてだけでなく、グルメサイトやGoogleビジネスプロフィールなどのレビュー(口コミ)は「店の信頼度」を左右する重要な要素です。高い評価を得るだけでなく、寄せられたネガティブなレビューに対しても、迅速かつ丁寧に対応することが重要です。誠実な対応は、それを見た新規顧客に安心感を与え、店のブランドイメージを高めることにつながります。

焼肉屋の成功事例

戦略的な立地・物件選びで成功!

「焼肉 幸家」は、オフィスと住宅が混在する新宿御苑前駅近くに出店してビジネス層やファミリーを獲得。新宿という巨大商圏内ながら家賃相場が安く。飲食店の居抜き物件を使うなどして初期投資を抑制。投資を抑えた分、1,500円のランチ和牛カルビ定食をオープン当初は1,000円で提供するなどして、認知度を高めることに成功しました。

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仕入れの強みとカットの技術で差別化!

福岡の「焼肉ホルモン大ちゃん」の成功は、オーナーの大山 大鐘 氏の仕入れとカット技術にあります。前職時代に築いた特別な仕入れルートで、希少な但馬牛や太田牛を仕入れています。さらに、肉の本来のうま味を引き出す薄切りの技術を磨くことで、顧客満足度を高めています。

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福岡「焼肉ホルモン 人生大ちゃん」の成功戦略。開店3年未満で坪月商60万円超え!
インパクトのある看板メニューで集客!

名古屋「炭火焼肉 くぐ琉」は看板メニューの「爆弾肉」が集客力を発揮している店です。中にホルモンを詰めた「爆弾ホルモン」(1,480円)と、スライス肉を詰めた「爆弾ミート」(1,980円)の2種類を用意。いずれも大量のタマネギとニンニクもプラスしたスタミナ満点のメニューで、スタッフが客の前で肉をカットしながら焼き上げ、ライブ感を演出しています。

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A5黒毛和牛のコースで成功!

東京・経堂「炭火焼肉 ふちおか」は、コース注文が全体の7割を占め、そのうち8割が全11品の「ふちおかコース」(8,800円)をオーダーします。コースで提供する順番にこだわっており、焼きものの最初にサーロイン(タレ)を、次に特選部位2種(塩)を、最後に特選部位3種(タレ)と、飽きが来ないようにタレと塩を交互に提供。特選部位(塩)は基本的にハラミ、サガリのどちらかを組み込み、薄切りでとろけるサーロインとの違いが楽しめるように工夫しています。

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焼肉+アルファの食べ放題戦略

新潟市の「キラキラレストラン焼肉黒真」は、3種類の食べ放題プランが人気。A5ランクの黒毛和牛の中でも、霜降り度合いが12段階中7~9番目の上質な牛肉を使用し、牛タンや黒毛和牛のロースのほか、キムチ、ナムルやサラダから揚げ物、「カレー」「ビビンバ」「黒毛和牛の牛カツ重」といったご飯もの、スイーツもアイスクリームなど、幅広くそろえて、ファミリーを中心に幅広い客層に喜ばれています。

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新潟「キラキラレストラン焼肉黒真」が、黒毛和牛を含む豊富なメニューの食べ放題で連日大盛況!
焼肉のインバウンド成功事例

札幌の「焼肉ダイニング MEGUMI 南8条店」はインバウンド対策として、イーゼル看板の写真でメニューのアピールを実施。立て看板には韓国語、中国語、英語を添えています。韓国語、中国語、英語に対応するタブレットによるオーダーシテムを導入しており、90分飲み放題付きの「宴会コース」(全11品/6,000円、8,000円、10,000円)が外国人に人気です。また、韓国人のニーズに応えるためマッコリも用意して、インバウンド客の取り込みに成功しています。

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札幌「焼肉ダイニング MEGUMI 南8条店」インバウンド対応の強化で月商900万円の繁盛店に!
LINE公式アカウントでリピーター獲得!

埼玉・川越の「シンラガーデン 本店」では、LINE公式アカウントの活用でリピーターを獲得しています。登録特典として1,000ポイントを付与して、「黒毛和牛の肉寿司」が1貫29(ニク)円になるインパクトのある施策を打ち出すことで、友だち数は約41,000人に。市内のグループ各店で利用できるクーポンを配信することで、効率的な相互送客と高いリピート率を実現しています。

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川越・焼き肉「シンラガーデン」LINE友だち4万人!常連に愛され最高月商1,880万円を記録

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まとめ

焼肉は幅広い客層に人気なため、コンセプトとターゲットの明確化が必須です。物件や立地の特徴と照らし合わせて、過ごしやすい内装、引きの強いメニュー、適正な価格設定などを行うことが重要です。今まで述べたポイントを参考に、オリジナルな焼肉店、競争が激しくても生き残れる焼肉店を作っていきましょう。

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。 焼肉店の開業に関する疑問や不安、具体的な相談事があれば、ぐるなびにお気軽にご相談ください。 ぐるなびでは、多くの飲食店経営者様との実績を持ち、業界の専門知識を活かしてお手伝いさせていただきます。安心してお問い合わせください。 お問い合わせはこちらからどうぞ