“生き残れる”焼肉店の開業ノウハウはこれ。繁盛を生む6つのポイント

ここ数年多くの新店がオープンしてきた焼肉業態ですが、最近は苦戦のニュースも聞こえてきます。大手の焼肉チェーンに負けない、生き残るための戦略をもって開業に望むため、この記事ではコンセプト決めから、出店の初期費用、物件選び、オペレーション、販促など、“生き残れる”焼肉店を出店するための手順とポイントを紹介します。

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初回公開日:2022.2.18

多くの新店がオープンし、苦戦している焼肉業界で、"生き残れる”焼肉屋を開業するためにはどうしたらよいのでしょうか? 帝国データバンクの調査によると、過去10年間で最多の倒産ペースといったニュースもある中、焼肉業態に参戦するための戦略とは? そんな疑問をもつ方に向けて、多店舗経営をしている大手チェーンに対抗し、繁盛する焼肉店になるための開業ノウハウを、この記事では一緒に考えましょう。

焼肉店を新規開業・出店しようと考えた場合、焼肉業態はチェーン店や地域に根付く老舗店などの競合も多く、それらの店との差別化を図れる開業コンセプトとノウハウが必要になります。生き残れる繁盛店になるための開業の手順とポイントをこの記事ではご紹介します。

※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。

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目次
出店ラッシュからの閉店ラッシュ。生き残れる焼肉店を開業するには?
 ・それでも外食といえば「焼肉の特別感」
 ・競争の激化と価格高騰に負けないために

開業・出店からスタートダッシュ。繁盛店への6つのポイント
 1.お店のコンセプト、ターゲット層に支持されるポイントは?
 2.資金の準備は? 焼肉店の初期投資額の目安は1,000~3,000万円
  ①物件取得費
  ②内装工事費
  ③厨房機器・設備費
  ④備品、消耗品費
  ⑤運転資金
 3.焼肉店は物件が重要! ガスの容量と排気機器は確認した?
 4.資格と届け出は済んでる? 食品衛生責任者、飲食店営業許可などが必要
 5.メニューと仕入れは万全? 目玉メニューは惹きになりそう?
 6.開業後の「顧客維持戦略」(リピート施策)

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出店ラッシュからの閉店ラッシュ。生き残れる焼肉店を開業するには?

飲食業界が苦戦を強いられる中で、好調だったのが数年前の焼肉業態でした。日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査2022年6月度の結果報告」によると、焼肉店は郊外店舗を中心に客足が好調で、売上は前年比154.6%となっていました。時流に乗って“一人焼肉”や、牛だけでなくホルモンや鶏肉に特化した焼肉店も登場していたのも記憶に新しいところです。

ところが外食へのユーザーの回帰と同じタイミングで、だんだんと焼肉店を取り巻く状況も変化してきました。店内オペレーションが比較的簡単なため、居酒屋やラーメンチェーンなど異業種からの参入が相次ぎ、既存大手も新規出店し競争が激化しました。輸送コストの増加や円安の影響により、輸入牛肉価格が上昇し、運営コストも上昇…一方で、消費者の「値上げ疲れ」もあり、大幅な値上げが難しくなり、不採算店舗は撤退を余儀なくされています。

それでも外食といえば「焼肉の特別感」

それでも焼肉が「外食で食べたいメニュー」のトップグループにいる理由としては、ごちそう感があり、ハレの日にふさわしい食事であること、自宅では肉を焼く時の臭いや煙が気になるため、家庭では敬遠されるなどがあげられるでしょう。また、こだわって仕入れた肉を食べるという「特別感」も大きなポイントとなり、ファミリーやグループ、カップル、お一人様など、年代や客層を問わずに好まれています。

競争の激化と価格高騰に負けないために

世界的な牛肉価格の高騰・大手飲食グループの参入による競争の激化・物価高による節約志向などが原因で、焼肉店の経営環境は厳しさが続くとみられています。激戦の焼肉業界で生き残れる店を作るには、開業前からの準備がもっとも大切なのは言うまでもありません。個人店ならば繁華街・住宅街といった立地はもちろん、ターゲットとする客層や年齢層、コンセプトなどの戦略をよく練っておくことも大事なポイントです。それでは、“激戦を生き残れる”焼肉店の開業までの手順と、繁盛につなげるためのポイントを紹介します。

開業・出店からスタートダッシュ。繁盛店への6つのポイント

1. お店のコンセプト、ターゲット層に支持されるポイントは?

一言に焼肉店といっても、その形態はさまざまです。アットホームなファミリー向けや、若者に人気のリーズナブルな大衆店、個室があり接待やデートで利用が多い高級店など、それぞれの雰囲気は全く異なります。まずは店のコンセプトとターゲットを明確化し、そこから具体的な利用シーンを考えてみましょう。それにより最適な物件や立地、店舗の内装・外装、メニューやサービスが自ずと固まってくるはずです。また、希望する立地にどんな人がいて、どんな飲食店が多いのか、事前にしっかりと市場調査や競合調査を行うことも大切です。

例えば、店のコンセプトが「子連れの家族が食事を楽しめる焼肉店」なら、客単価を3,000円程度に設定し、来店のハードルを下げることでリピーターを増やして客数を確保するという戦略が立てられると思います。ファミリーが多い住宅街の物件を選び、座敷席を多めにしたり、子ども用の食器や椅子、おもちゃを用意するなど、ターゲットに合わせた店づくりを心がけましょう。「接待やデートに最適な高級焼肉店」というコンセプトならば、アッパー層がアクセスしやすい立地で、こだわりのメニューを用意し、客単価は1~3万円程度、清潔感と高級感のある内外装で個室を増やす、といったように支持されやすいポイントを具体化していくことが重要です。

2. 資金の準備は? 焼肉店の初期投資額の目安は1,000~3,000万円

一般的に、飲食店の初期投資額は60~80万円×坪数で計算します。ただし焼肉店の開業には、ロースターやダクトなど大がかりな設備が必要なため、他の飲食店よりも内装工事費や設備費がかかることに注意しましょう。店舗の場所や規模によって異なりますが、初期投資額の目安は1,000~3,000万円程度といわれています。以下の内訳と主な費用を確認していきます。

①物件取得費

これには前払いの家賃や敷金・礼金・仲介手数料なども含まれます。飲食店用の物件は、最低でも家賃6~10カ月分を用意する必要があるので注意しましょう。

②内装工事費

各テーブルへのロースター設置(目安は1台20万円~)やダクト工事(1機10万円~)、店全体の給排気・排煙工事などがあり、1,000万円以上必要になることもあります。飲食店の居抜き物件を選んだり、自前で内装工事をすることで費用を安く抑えられるケースもあるので、ご検討を。

③厨房機器・設備費

肉を保存する業務用の冷凍冷蔵庫、調理台、シンク、コンロ、フライヤー、食洗機などが一通り必要になります。中古の機器やリースを活用すれば費用を節約できることも。

④備品、消耗品費

食器や調理器具は、特にこだわりがなければ20万円程度、什器は10万円くらいからそろえられます。トイレットペーパーなどの備品は毎月1~3万円程度が目安です。

⑤運転資金

毎月の運営にかかる資金として店舗の賃料や光熱費、人件費、原材料費、消耗品費、広告宣伝費などがかかってきます。目安として毎月100~300万円が必要ですが、店舗が軌道に乗るまでの期間を考え、余裕をもって半年分ほど用意しておきたいところです。人件費や原材料費は、それぞれ売上の30%程度が目安となります。

・セルフ化によるフルサービスの削減
人件費を売上の30%程度に抑えるには、店舗のコンセプトに応じてサービスをどこまで「セルフ化」するかを明確に決定する必要があります。例えば、注文をすべてセルフオーダーシステムに移行する、ドリンクバーを導入する、肉の盛り付けを標準化するなど、店内オペレーションを簡素化する工夫が効果的です。特にオーダーシステムや配膳ロボットの導入は、初期費用はかかりますが、長期的に安定した人件費削減効果と、ピークタイムのサービス品質維持に役立ちます。

・デジタルツールの積極活用
予約・顧客管理(CRM)、テーブル管理、勤怠管理など、開業後に利用する各種デジタルツールを連携させることで、スタッフの作業負担を軽減します。デジタル技術の活用は、単なる効率化に留まらず、顧客データを収集・分析し、リピーター戦略に生かすための基盤となります。

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3. 焼肉店は物件が重要! ガスの容量と排気機器は確認した?

焼肉店の開業では、まず物件が重要です。他業態に比べて排気に注意する必要があるほか、臭いや煙があることから「焼肉店はNG」という物件もあるのでご注意を。なお、家賃は想定する売上の10%以内を目安にするのが一般的です。

焼肉店や焼鳥店、ラーメン店など、臭いや煙が強い業態を「重飲食」と呼びます。重飲食の場合は物件のガス容量が10号以上必要になります。ガス容量が足りずに後から変更するとなると多大な費用が掛かるので、必ず事前にチェックしておきましょう。

焼肉店はテーブルごとにロースターと排気管が必要なので、設置するための十分なスペースがあるか、費用はどの程度かかるのかを確認しておく必要があります。また、ダクトの有無や状態を見て、ダクトの設置や大規模な工事が必要かどうかも確認しておきましょう。すでにダクトがあっても、「焼肉店として使う場合は建物の最上階までダクトを引き上げなければならない」といった条件が付くこともあります。

・グリストラップ(油水分離槽)の確認と清掃費用
焼肉店は油分や生ゴミが多く出るため、厨房に設置されるグリストラップ(油水分離槽)の存在と容量が非常に重要です。容量不足の場合、排水詰まりや悪臭の原因となるほか、後からの大規模な工事が必要になる可能性があります。また、毎月の清掃・廃棄コストも運転資金として大きくかさむため、契約前にメンテナンス方法と費用を確認しておきましょう。

・契約時の「原状回復」と「保証金」のリスク管理
「焼肉店可」の物件でも、契約書で「重飲食特約」が付帯されていることが多くあります。特に注意すべきは、保証金(敷金)の償却条件と、退去時の「原状回復」の範囲です。排気設備(ダクト)やロースターの撤去範囲、残せる設備の有無などを細かく確認しないと、退去時に多額の費用を請求されるリスクがあります。必ず契約前に詳細を取り交わし、トラブルを未然に防ぎましょう。

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4. 資格取得と届け出は済んでる? 食品衛生責任者、飲食店営業許可などが必要

焼肉店を開業するには、1店舗ごとに最低1人の「食品衛生責任者」が必要です。栄養士や調理師などの資格があれば食品衛生責任者になれますが、それ以外の人は「食品衛生責任者養成講習会」の講習を1日受けることで取得できます(費用は1万円程度)。全国の食品衛生協会が定期的に講習会を開催していますので、ご確認ください。

その後、保健所に「飲食店営業許可」の申請を行います。店舗の完成図面を提出し、保健所からOKと判断されたら、次は保健所の担当者による店舗での検査があり、合格なら営業許可証が発行されます。

なお、収容人数30名以上の店舗の場合は「防火管理者」の資格が必要になります。また、深夜0時以降も営業する場合は「深夜酒類提供飲食店開始届」が必要なので忘れずに申請しておきましょう。

5. メニューと仕入れは万全? 目玉メニューは惹きになりそう?

・コンセプトに合わせたメニュー
設定したコンセプトに基づき、来店してほしい客層にはどんなメニューが喜ばれるかを具体的に考えましょう。女性がターゲットなら、野菜を多く使ったヘルシーなメニューや肉や惣菜の種類が選べるシステム、美しい盛り付けといった具合に考えていきます。ファミリーをターゲットにする場合は、子ども用メニューの設定やアレルギー対応をすると喜ばれるでしょう。

・メニューの構成
焼肉店のメニューは、主にメインメニュー・サイドメニュー・デザートの3つに分けられます。メインメニューには牛やホルモンといった定番メニューのほか、A5ランクの牛肉や希少部位など、人を引き付ける魅力的な目玉メニューを用意しておきましょう。牛肉は原価が高く、 “ミートショック”の問題もあり、最近では特にコスト高になっています。サラダやスープ、麺・ごはん類などのサイドメニューやデザート、ドリンクメニューを豊富に取りそろえることで利益率を上げることが重要です。オリジナルメニューや店独自の味付け、見た目、提供方法などを工夫して注文率を上げ、メニュー全体の原価率が30%前後になるように調整しましょう。

・看板メニューと利益率のバランス設計

原価が高くなりがちな牛肉において、客単価を引き上げる戦略的なメニュー構成が重要です。顧客を惹きつける**「目玉メニュー」は原価が高くても構いませんが、サラダやスープ、麺類といったサイドメニューやドリンクで高い利益率を確保**し、メニュー全体の原価率を調整します。例えば、原価率の低い定番サイドメニューを戦略的に豊富に取りそろえることで、顧客満足度を保ちつつ、総合的な収益性を高めることができます。

・ルートと歩留まり率の徹底管理
大手チェーンに対抗し、質の高い肉を安定的に提供するには、独自の仕入れルートの開拓が不可欠です。特定の卸売業者、牧場との直接契約、特定の輸入ルートなど、多様な選択肢を持つことで価格交渉力を高め、輸入牛肉価格の上昇リスクを分散できます。

また、仕入れた肉を最大限に活用する歩留まり(ぶどまり)率の管理を徹底しましょう。肉のカット技術を磨き、端材をスープやサイドメニューに利用するなど、廃棄部分を減らす工夫が重要です。この歩留まり率の改善こそが、競争激化の中でも利益を確保する生命線となります。

6.開業後の「顧客維持戦略」(リピート施策)

開業後はさまざまな販促を通じて店の認知度を上げ、来店してもらう必要があります。オフラインだとショップカードやチラシ、DMなどの配布がありますが、著名な焼肉チェーンや地元に根付いた老舗焼肉店に対抗するには、ネット販促による認知拡大も狙っていきましょう。「焼肉」はWeb上での検索件数が多い上に、ジューシーな肉質や網で焼いている様子など、食欲を刺激する写真を掲載すれば高い訴求効果が期待できます。動画も良いでしょう。

・グルメサイト、SNSを活用した囲い込み
新規顧客の獲得コストは、既存顧客を維持するコストの数倍かかると言われています。生き残るには、来店してくれたお客様をリピーターにするための顧客維持戦略(CRM)が必須です。

グルメサイトやLINE公式アカウントなどで、積極的に露出を増やしましょう。いずれのツールにおいても、一目で引き付けられる「おいしそうな肉」「インパクトある一品料理」などの写真を掲載することが大切です。店舗の雰囲気が分かる外観・内観や、店ならではのこだわりのポイントも紹介しましょう。

また、独自のポイントシステムなども活用し、顧客データの蓄積・分析が重要です。誕生日クーポンや特別な割引情報など、お客様の利用状況に合わせたパーソナライズされた情報配信を行うことで、来店頻度(LTV:顧客生涯価値)を高められます。

・レビューサイトとSNSの「評判管理」
集客ツールとしてだけでなく、グルメサイトやGoogleマップなどのレビューサイトは「店の信頼度」を左右する重要なコンテンツです。高い評価を得るだけでなく、寄せられたネガティブなレビューに対しても、迅速かつ丁寧に対応することが重要です。誠実な対応は、それを見た新規顧客に安心感を与え、店のブランドイメージを高めることにつながります。

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焼肉は幅広い客層に人気なため、コンセプトとターゲットの明確化が必須です。物件や立地の特徴と照らし合わせて、過ごしやすい内装、引きの強いメニュー、適正な価格設定などを行うことが重要です。今まで述べたポイントを参考に、オリジナルな焼肉店、競争が激しくても生き残れる焼肉店を作っていきましょう。

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。 焼肉店の開業に関する疑問や不安、具体的な相談事があれば、ぐるなびにお気軽にご相談ください。 ぐるなびでは、多くの飲食店経営者様との実績を持ち、業界の専門知識を活かしてお手伝いさせていただきます。安心してお問い合わせください。 お問い合わせはこちらからどうぞ