バー開業に必要な知識や資格・届出、成功のための準備と戦略を解説
バーはアルコール主体で利益率が高い業態で、比較的小規模な投資で済むことが多く、店舗の規模に応じて適切な初期費用でスタートできるのも魅力です。バーを開業するには、どんな手続きや申請が必要で、どんな準備をすべきなのか、経営を軌道に乗せるためにはどんな戦略が必要なのかなどをまとめて解説します。
【こちらもチェック!】
飲食店の開業と経営のノウハウ:7つの成功ポイントを詳しく解説
目次
・バー開業のための基礎知識
・バー開業に必要な資格と法的要件
・開業準備①:コンセプトと事業計画
・開業準備②:設備とサービスの構築
・開業後の運営:人気店になるための戦略
・まとめ
▼ぐるなび公式アカウント▼
【LINE】ぐるなび通信デジタル
よろしければ、ぜひ友だち追加をお願いします!
バー開業のための基礎知識
バーの種類と特徴
バーには、スタンダードなオーセンティックバーやダイニングバー、スタンディングバー、カクテルバー、ワインバー、ショットバーなど、さまざまな種類があり、何を売りやコンセプトにしているかによって空間づくりやドリンクのラインナップが変わるため、ターゲットとなる客層や客単価も異なります。上記にあげたものは主なバーの種類ですが、バー業態にはどんなバリエーションが存在するのかを知っておくことが第一歩です。
【夜パフェが売りのバー業態が成長中!】
【注目の飲食FC①】低投資&高利益率で採用にも強い「PARFAIT BAR &VIGO」(株式会社CARTON)
バー開業に必要な資格と法的要件
営業許可関連の届出や資格
バーを開業するには、いくつかの許可申請や届出、資格取得が必要になります。上記の提出先や受講先である「保健所」「食品衛生協会」「消防署」「警察署」「税務署」は、それぞれエリアによって所轄が異なりますので、自店のエリアを管轄しているのはどこかを確認しましょう。
加えて、物件の賃貸契約の際に、
その物件が「飲食店営業可」なのか
深夜営業をする場合は、その物件が「深夜営業可」なのか
を必ずチェックして、自分がやりたいバーの営業スタイルがその物件で可能なのかをしっかり確認しましょう。
また、新築で開業する場合や、大きな改修を行って開業する場合は、「建築基準法」「消防法」「都市計画法」などに抵触しないかの確認が必要です。所轄の保健所や自治体の建築課などに相談するとよいでしょう。
その他、「ミュージックバー」「スポーツバー」「ダーツバー」などの開業を考えている方は、営業スタイルによっては、「特定遊興飲食店営業」の許可が必要になる可能性があるので注意が必要です。
特定遊興飲食店営業とは、2016年の風営法の改正で新設されたカテゴリーで、
・深夜に営業すること(午前0時から午前6時の間)
・お客様に「遊興」をさせること
・お客様に「酒類」を提供すること
に該当するお店が対象となります。
ポイントは2番目の「遊興」で、「営業者の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為」と解釈されています。具体的には、ミュージックバーで実演者がお客様の反応(曲のリクエストやコールなど)に対応し得る状態で生演奏したり、スポーツバーでスタッフがお客様に呼び掛けて応援を促したり、ダーツバーでスタッフとお客様が対戦するスタイルの営業を行っていると「遊興」をさせていることになるため、「特定遊興飲食店営業」の許可が必要となります。
ただし、音楽ライブやスポーツの映像をお客様に見せているだけの場合や、ダーツマシンを設置して、お客様だけが遊んでいる場合には遊興とはならないため、「特定遊興飲食店営業」には該当しません。
開業準備①:コンセプトと事業計画
(1)店舗のコンセプトとブランド設計
(2)ターゲット(客層)の明確化
(3)収支計画と目標の具体化
(4)資金調達
(5)物件探し
(1)店舗のコンセプトとブランド設計
成功するバーのカギは、独自性のあるコンセプトを設計することです。多くの競合がいる中で、お店の特徴が際立つことで集客力が高まります。例えば、「クラフトカクテルに特化したバー」や「地元のクラフトビールが楽しめるバー」などです。また、ロゴや店舗の名前もブランドイメージを象徴する重要な要素です。一度訪れたお客様が「また行きたい」と思うような、印象に残るコンセプトを練りましょう。
(2)ターゲット(客層)の明確化
コンセプトを具体的に固めていくうえで重要なのが、ターゲットの明確化です。客層によって、提供するメニューや内装、価格帯が大きく異なります。
例えば、20代~30代の若者をターゲットにする場合は、カジュアルでトレンド感のある店舗が適しています。一方、40代以上の大人向けには、落ち着いた雰囲気のバーが好まれることが多いです。また、ターゲットによっては深夜営業や特定遊興飲食店営業許可が必要な場合もあるため、法的な要件も考慮して計画を立てましょう。
(3)収支計画と目標の具体化
バー開業では、明確な収支計画と目標設定が欠かせません。開業資金としては500万~1,000万円が相場とされています。物件取得費や内装工事費、必要な備品の購入費に加えて、当面の運転資金も考慮して資金の準備・調達を行いましょう。また、毎月の固定費(家賃や光熱費、人件費など)を見積もり、収益目標を設定することで、健全な店舗運営を行うことが可能になります。
(4)資金調達
バーを開業するには十分な資金を準備することが重要です。自己資金だけで足りない場合は、金融機関からの融資や補助金・助成金を活用することが考えられます。特に、創業支援を行っている地域では、開業資金の一部を助成してくれる制度が存在している場合があるため、自治体のホームページなどで情報を収集しましょう。また、資金調達計画を支えるために、事業計画書をしっかりと作成することが大切です。
【地域関係なく利用できる!バー開業に使える補助金情報はこちら】
いま、飲食店が使える補助金&助成金まとめ
「小規模事業者持続化補助金」とは?飲食店が活用するためのポイントと注意点
(5)物件探し
物件探しはバー開業の成功のカギを握る重要なステップです。
理想的な物件の条件として、
・集客しやすい立地の良さ
・初期投資を抑えられる居抜き物件の活用
・バー営業が可能な賃貸契約
が挙げられます。物件を見る際には、消防や保健所の基準をクリアできるかを事前に確認してから契約を進めましょう。
開業準備②:設備とサービスの構築
(1)必要な設備・機器・備品の用意
(2)内装デザインや外観でのアピールと雰囲気の作り方
(3)酒類の仕入れ・ドリンクメニュー開発
(4)フードメニューの開発
(5)スタッフ採用とトレーニング
(1)必要な設備・機器・備品の用意
店のコンセプトや事業設計、物件が決まったら、必要な設備や機器、備品を用意しましょう。冷蔵庫や製氷機などの大型機器のほか、シェーカーやメジャーカップといったカクテル作りの小道具、カクテルグラスやウイスキーグラスなど提供するドリンクに合わせたグラス類、氷を保管するアイスストッカーなどです。また、ボトルキーパーやコースターのように、サービスの質を上げる備品もそろえておきましょう。
(2)内装デザインや外観でのアピールと雰囲気の作り方
バーの内装デザインは、コンセプトとターゲット層に合わせて計画する必要があります。おしゃれな照明や音楽の選定、壁材や家具の素材選びによって、店舗の雰囲気を大きく左右します。例えば、落ち着いた雰囲気を演出したい場合は、間接照明や木材を多用したデザインが向いています。また、カウンター席の配置や動線の確保も重要です。内装工事には少なくとも100万円以上の費用がかかるケースが多いため、資金計画を立てた上で、理想と現実のバランスを取りながら進めることが成功のカギとなります。
また、外観でのアピールも重要。バーの場合、地下や空中階の物件で出店する場合も多いため、通りから入り口の分かりやすさや、店の名前や雰囲気、特徴が伝わるような看板を目立つ場所に設置することもポイントといえます。
(3)ドリンクメニューの開発
ドリンクのラインナップやメニュー開発はバーの運営を成功に導く重要なポイントです。コンセプトやターゲット層に合わせることが重要。例えば、女性をターゲットとするなら、フルーツを使ったカクテルやワインを充実させるなど、客層に合ったラインアップを意識しましょう。
また、ベースリカーとして、
・ジン
・ウォッカ
・ラム
・テキーラ
・ウイスキー
は、最低限そろえておき、店のコンセプトやターゲットに合わせて、焼酎や日本酒、リキュール類などをそろえるとよいでしょう。
その他、「モスコミュール」「ジントニック」「モヒート」といった定番のカクテルはもちろん、オリジナル要素のあるカクテルやモクテルなどのノンアルコールドリンクも充実させておくと、さまざまなニーズに対応でき、他店との差別化もできるはずです。
価格設定については、ウイスキーなど原価の低い商品で利益を確保しつつ、オリジナルカクテルや季節限定商品などで満足度や単価を上げ、ドリンク全体で原価率20〜25%を目指すとよいでしょう。
【こちらもチェック!】
注文したくなる人気ドリンク!売上アップには”飲む楽しさをプラス”が効果的
(4)フードメニューの開発
バーのスタイル&「提供スピード」「集客力」「満足感」を重視
上記にある通り、バーのスタイル(客層のニーズや利用シーン)に合わせたメニューを用意するのが重要です。
また、バーで提供する料理では、
・軽食系(スピード・低原価)
・ミドルゾーン(味・見栄え)
・食事系(ボリューム感)
をスタイルや客層に合わせてバランスよく取りそろえることが重要。
軽食系は提供スピードが速いことがポイントで、お店にとっても比較的原価を抑えやすく、オペレーションの負荷も軽減できます。
また、軽食と食事の中間にあたるミドルゾーンのメニューは、味や見栄えを含めたクオリティーを重視しましょう。お酒がメインのバー業態だからこそ、味や見栄えにこだわったメニューを用意することが他店との差別化につながりますし、リピーターの獲得はもちろん、情報が拡散されて新規集客にもつながります。
さらに、しっかりした食事系のメニューも重要。バーには、2件目使いで来店する人や食事をしっかり取りたい人も来店します。深夜帯は営業している飲食店が少ないからこそ、食事をしたい人の選択肢になるチャンスは大いにあります。「あのバーは食事もおいしくてボリュームもある」という認知が広がれば、食事目的での来店ニーズも獲得できるでしょう。
(5)スタッフ採用とトレーニング
バーを開業にはバーテンダーなどのスタッフの採用とトレーニングも重要。バーテンダーにはドリンクを作る技術や知識はもちろんのこと、お客様とのコミュニケーションスキルも求められます。経歴やキャラクターも含めてどんな人を採用するかを明確にして採用活動を行いましょう。また、未経験者でも教えやすいように、業務のマニュアルを準備しておくのもポイント。スタッフの適切な教育が顧客のリピーター化につながり、結果的に売上アップをもたらすはずです。
開業後の運営:人気店になるための戦略
(1)初期集客のためのプロモーション
(2)SNS&口コミの有効活用
(3)リピーターを増やす接客術
(4)売上アップのためのイベント企画
(5)二毛作営業
(1)初期集客のためのプロモーション
バーを開業する際、初期の集客は非常に重要です。お客様にお店の存在を知ってもらい、リピーターにつながるきっかけを作るために、効果的なプロモーションを行いましょう。割引キャンペーンやオープニングイベントは、お客様にお店を試してもらうきっかけになります。また、チラシの配布や近隣店舗との提携など、地域密着型のプロモーションも効果的です。
(2)SNS&口コミの有効活用
SNSは現代のバー運営において、欠かせない集客ツールです。InstagramやXなどにメニューや店舗空間の情報や写真を投稿することで、お店の魅力を伝えることができるはず。また、バー開業時に設定したコンセプトを明確に反映した投稿を行うことで、ターゲット客層への訴求力を高めることが可能です。また、「人」をアピールするのも戦略の一つ。店主やスタッフのキャラクターを全面に出した投稿で親近感を持ってもらうのもよいでしょう。
同時に、Googleビジネスプロフィールなどへの口コミを促す仕組み作りも重要です。接客時にさりげなく投稿を促したり、お客様がシェアしたくなるようなフォトジェニックなカクテルを提供することで、口コミや投稿をしたいと思わせるのも重要なテクニックです。
(3)リピーターを増やす接客術
バーを成功させるためには、リピーターを増やすことが大切です。お客様一人一人に対する気配りや、適切な飲み物の提案、常連客の好みや以前会話した内容を覚えておくなど、接客時のホスピタリティーやコミュニケーション力がポイントになるでしょう。
さらに、お得意様向けの特典や常連客限定のイベントを開催することで、顧客満足度を向上させ、リピーターとして定着させることができます。
(4)売上アップのためのイベント企画
イベント企画は、売上アップのカギとなります。例えば、限定カクテルの提供や、音楽ライブ、映画鑑賞会など、コンセプトに合ったイベントを計画することで、新規顧客の獲得や現存客の来店頻度を高めることができます。また、0時以降の営業が可能であれば、深夜帯に特化したイベントを行い、遅い時間帯ならではの需要に応えるのも効果的です。イベントを通じて、お店の独自性を強調することができれば、競合との差別化にもつながります。
【イベント・企画の例】
・ウイスキー講座
・ペアリング会
・DJナイト
・雨の日特典
・曜日限定メニュー
(5)二毛作営業
二毛作営業のメリット・デメリットと成功ポイント
バー業態で売上アップを狙う戦略として、昼の時間帯に全く別業態の店舗を運営する「二毛作営業」があります。メリットとデメリットがあるため、出店立地にニーズがあるか、本業であるバーのブランディングに影響がないかなど、考慮する必要があります。
また、人件費や食材原価など、さまざまな部分に負荷がかかるため、最小限の追加投資で効率的かつ生産性高く営業できる体制を構築することが必須となります。
まとめ
これまでご紹介した内容をまとめると、バー開業においては、「バーの種類と特徴」「許可や資格」などを理解しつつ、開業準備として、「コンセプト設計・事業計画」「設備とサービスの構築」を行い、プロモーションやSNS活用などの「人気店になるための戦略」を駆使して経営を軌道に乗せていくのが重要です。
バー業態はアルコールの売上比率が高いため、比較的利益が出しやすいですが、経営を成功させるにはコンセプト設計や集客のための戦略、接客によるファンづくりなど、さまざまなポイントがあります。上記のポイントを考慮しながら、自身に合った店づくりの方法を見つけてください。
Googleビジネスプロフィール(GBP)の運用代行サービスは、ぐるなびで!
ぐるなびによるGBPを活用したMEO対策・クチコミ対応を含む、飲食店に特化した集客支援・運用代行サービスを紹介します。
▼詳細はこちらから
【ぐるなび】飲食店向けGoogleビジネスプロフィール(GBP)集客支援・運用代行サービス
資料請求・お問い合わせはお気軽にどうぞ
「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています!