2013/07/29 繁盛の法則

“肉屋直営”の強さを活かした肉料理とワインのバルとは

若者や女性に人気のグッドミート・バルに学ぶ‐東京・赤羽の北口近くにある肉料理とワインを主力とする同店。女性客が7~8割を占める人気店で、23坪44席の店舗に1日平均70~80人が訪れている。

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グッドミート・バル

カウンター、テーブル席、小上がり、テラス席と、多様な客席を配した23坪44席の店舗

Key Point

  1. お値打ち感の高い肉料理で差別化
  2. バル業態で若者や女性のニーズを発掘
  3. 新商品や多彩なフェアでリピーターを確保

老舗居酒屋の多い赤羽の繁華街に、女性も気軽に立ち寄れるバルを出店

東京・JR赤羽駅北口に広がる一番街は、飲食店や商店が並ぶ繁華街で、中でも数十年の歴史を持つ、焼鳥やおでんなどの老舗居酒屋が多い。また東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅との乗り換えで、一番街を通る通勤客も増えている。その一方、若年層や女性客が気軽に入れるような、おしゃれな居酒屋は少ない。赤羽という商圏の魅力と、周辺の飲食店との差別化を考慮し、2011年7月14日にオープンしたのが、肉料理とワインを主力とする「グッドミート・バル」である。狙いどおり女性客が7~8割を占める人気店となっており、23坪44席の店舗に1日平均70~80人が訪れている。

経営元は、2012年12月設立の株式会社goonies(グーニーズ)で、埼玉・東川口に事務所を構える肉の卸業者有限会社であるGOODMEAT(グッドミート)と、親交のある都内の飲食企業経験者が集まり、お値打ち感のある肉料理をメインとする飲食店の出店を企画した。物件探しや商圏調査を行うなかで、もとは和風の居酒屋だった赤羽の現物件がベストと判断した。一番街の外れに位置するが、店前通行量が多く、駅からも遠くはない。この物件に決めてから、近隣の状況や最近の飲食業界の動向を検討した結果、洋風で、気軽に立ち寄れ、若い女性客も入りやすいバル業態を選んだ。

元々あったカウンターや、板張りで掘りごたつ式の小上がりは残しながら、通り沿いにデッキを設け、開放的なテラス席を新設した。小上がりのあるバルは珍しいが、週末にはシニア層の来店も増えるため、違和感なく利用されている。

「当店の一番の特徴は、肉屋直営ならではの質、ボリューム、低価格の肉料理で、コストパフォーマンスの高さを実感していただいています。肉料理に付随して、世界各国のリーズナブルなワインを50種ほどそろえています」と同社専務取締役の栗城義徳氏は説明する。

肉料理は牛、豚、鶏をそろえ、イタリアン、スパニッシュ、フレンチをベースにしている。「お肉の前菜盛り合わせ」(924円)や、その日のおすすめのグリル3種を楽しめる「グリルの盛り合せ」(1,659円)など、ひと皿で多種類を味わえる盛り合せメニューの人気が高い。肉料理のほか、魚介類や野菜類の料理も提供しており、パスタ、デザートもそろえている。そのため、1時間前後と比較的短時間で利用する客もいるが、平均的な滞席時間は2時間半ほどになる。

ワインはボトル2,400~4,400円、グラス390~590円と手頃な価格で提供しており、ドリンク類の売り上げではワインが6~7割を占めている。グラスワインもスパークリング1種、赤・白各4種と豊富にそろえている。さらに自家製サングリア、シェリー酒などバルらしいドリンクのほか、赤羽という地域性を考え、シチリア産リキュールを使ったレモンサワーや、ウーロンハイ、ハイボールも用意。客単価は3,600円で、フードとドリンクの売り上げ比は6対4となっている。

手前が「お肉の前菜盛り合わせ」(924円)で、左手前から時計回りに、豚足のテリーヌ、生ハム、牛もも肉の赤ワイン煮込み、パテ・ド・カンパーニュ、牛もも肉のローストビーフ。奥左が黒毛和牛の岩手県門崎丑(かんざきうし)の「ウチモモのグリル」(1,344円)。右が「自家製サルシッチャ(腸詰め)」(557円)

地元密着型でリピーターを獲得し、8月には2号店の出店を計画

繁華街にある路面店であり、バルという業態に興味を持つ客が多かったことから、オープン早々から注目された。一度来店すると、肉料理やワインのお値打ち感からリピーターとなる人が多く、強い集客力を維持している。また、地元の常連客が多いことから、頻繁に新商品を開発したり、年4~5回のフェアの実施で、常に新鮮味を訴求している。昨年は、円高・ユーロ安でヨーロッパのワインが安く仕入れられた時期に「ユーロ安還元フェア」を打ち出し、ワインを割安価格で提供して客からも喜ばれた。また、今年6月に「欧州ビールとピンチョスのフェア」を行った際は、普段はあまり飲む機会の少ないヨーロッパのビールをオーダーする客も多かったという。

同店が赤羽の一番街という商店街で注目され、リピーターを獲得してきた要因は、以下のようになるだろう。

1「肉屋直営」の強さを活かし、お値打ち感の高い肉料理で差別化している。
2老舗居酒屋の多い商圏でバル業態を打ち出し、若年層や女性客のニーズを掴んでいる。
3地元のリピーターに支持され続けるため、新商品やフェアを頻繁に打ち出している。

同社として、そろそろ2号店を出店しようと動き始めたところ、現店舗の2階で営業していた中華料理店が閉店することになった。至近距離でメリットも多いことから、同物件を使って2号店を出店することに決め、現在、準備を進めている。店舗規模もほぼ同じで、肉料理をメインとする基本は変わらないが、単純に現店舗を拡大するのではなく、趣向を変えた新店舗として、8月中旬のオープンを目指している。

「まずはこの2号店もしっかりと成功させ、赤羽のお客様にもっと支持していただけるように努めていきたいと思います」と、栗城氏は意欲を見せている。

住所
東京都北区赤羽1-39-4 サクセス大鵬8番館1F
TEL
03-6454-4626
営業時間
17:00~翌1:00(L.O.24:00)、土16:00~24:00(L.O.23:00)、日祝16:00~23:30(L.O.22:30)
定休日
不定休(月に1~2回)