2013/11/06 繁盛の法則

オリジナルの味を追求する高品質ハンバーガー専門店とは

グルメバーガーの“老舗”を目指す「ブラザーズ」に学ぶ‐東京・人形町にある「ブラザーズ」はグルメバーガー専門店。オリジナリティの高いハンバーガーで、地元の老若男女に支持される人気店だ。

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ブラザーズ

江戸情緒が残る人形町界隈にあって、鮮やかな赤をテーマカラーに使った店舗が目を引く。店舗規模は15.5坪29席

Key Point

  1. 素材を吟味し、独自の味を追求
  2. テイクアウトやデリバリーで販路を拡大
  3. 地域とともに歩む地域密着型を重視

オーストラリアで修業後、独自のハンバーガーを開発

ハンバーガーといえば、ファストフードというイメージが強いが、1個1000円前後で食事として充分なボリュームのある、いわゆる“グルメバーガー”の専門店も着々と増えている。

2000年7月に東京・人形町で創業した「ブラザーズ」は、グルメバーガー専門店の草分け的な存在のひとつだ。アメリカ的なダイナミックさと、日本人ならではの繊細さを併せ持つオリジナリティの高いハンバーガーで、地元の老若男女に支持される人気店に成長してきている。

オーナーである株式会社ブラザーズ代表取締役の北浦明雄氏は、3歳から7年間ベルギーで過ごした経験があり、大学卒業後はワーキングホリデーを利用してオーストラリア・シドニーに渡った。現地のハンバーガー店で1年間修業して帰国し、この味と雰囲気を日本でも広めたいと、25歳で同店をオープンした。創業から数年間は、北浦氏と兄との共同経営だったため、店名をブラザーズとした。その際、英語の「brothers」というスペルに遊び心を加えて「BROZERS'」とし、アルファベットの最後の文字である「Z」に、「何があってもあきらめずに、最後までやり抜く」という意志を込めた。

出店にあたり、老舗飲食店も多く、江戸情緒を残す人形町を選び、わざわざ食べに来てくれる店にしたいと、あえて繁華街の外れの現在地で創業した。しかし創業当初は「ハンバーガーが1000円?」と、地元での反応は冷ややかで、1~2年は客数の少ない状態が続いた。けれども、1度食べてくれた客はそのおいしさ、ボリューム感に納得し、口コミで徐々に客数が増え、遠方から来店する人も増えていった。

同店のハンバーガーのルーツは北浦氏の修業先であるオーストラリアの人気店だが、そこに独自の工夫を加えて同店のハンバーガーを開発した。バンズは、亀戸のパン店に特注して硬めに焼いてもらい、提供時にさらに両面を焼くため、表面はカリッと香ばしく、中はふっくらした食感になる。パテはつなぎを入れない牛肉100%で、オーストラリアビーフの赤身肉に、ジューシーさを出すために和牛の牛脂を加え、挽き肉の状態で店舗に届く。店内で110gに計量して成型し、味付けは焼くときの塩コショウのみ。1度も冷凍しないこともあり、肉そのものの味わいが活かされている。レタスは食感を強調しながらバンズからはみ出さないようにするため、大きめの葉をていねいに折りたたんで挟む。味付けの基本のバーベキューソースをはじめ、スイートチリソースやテリヤキソースも、市販品をベースにブレンドしたり、ひと手間加えて独自の味に仕上げている。これらのソースと追加具材の組み合せで35品目1000~1850円のハンバーガーをそろえている。看板メニューの「ロットバーガー」(1500円)のほか、「チーズバーガー」(1150円)、「アボカドバーガー」(1150円)も人気が高い。客単価は昼1300円。ビールとハンバーガーという組み合せが多い夜は2000円になる。

看板メニューの「ロットバーガー」(1,500円)はボリュームたっぷり。ビーフパテのほか、ベーコン、両面焼きの目玉焼き、チェダーチーズ、焼いたパイナップル、折りたたんだレタス、手切りのトマト、玉ネギのスライスを挟んだもので、フライドポテトとオニオンリングが盛られる。サイドメニューの「フライドチキン」(580円)は2個つき。「コカコーラ」(400円)

テイクアウトやデリバリーに対応する専門店を出店

オープンの翌月からはテイクアウト販売を開始し、2002年10月からは客の要望に応じてデリバリーも行うようになった。しかし、テイクアウトやデリバリーが増えるにつれ、イートイン店での対応が難しくなり、2008年2月に徒歩1分ほどの場所にデリバリー専門店を出店した。さらに2010年4月には、デリバリー店の隣接スペースが空いたため、そこにテイクアウト用のカウンターを作り、イートイン店と分離させた。デリバリー専門店を出店してからは、毎日のようにチラシのポスティング、手配り、近隣のオフィスへの訪問営業を行い、最近はイートイン店とデリバリー・テイクアウト店とで、売上がほぼ拮抗するようになっている。

さらに、2011年3月にデリバリー専門の東雲店、2012年7月にイートイン主体の銀座店(22坪44席)をオープンした。店舗数が増えたことで、食材の共有が容易になるなど、スケールメリットも生まれ始めている。

同店がグルメバーガーを地元に定着させてきた要因は、以下のようになるだろう。

11つひとつの素材を吟味し、独自の味を追求している。
2テイクアウトやデリバリーで販路を拡大している。
3地元とともに歩む地域密着型の姿勢を重視している。

「今後も、それぞれの地域に根差した経営を続けていきたいです」と、人形町本店の店長である金子慎太郎氏は語る。昨年9月から始めた本店近隣の清掃活動も、地元への恩返しの一環である。毎月第2木曜の朝、北浦氏を含め18人の社員全員が本店に集合し、約1時間かけて近隣のゴミ拾いや雑草取りなどを行っている。その姿を見てランチに来店してくれる客も出てきているほどで、今後も地元とともに歩む姿勢を貫いていく方針だ。

住所
東京都中央区人形町2-28-5
営業時間
11:00~21:30(L.O. )、金・土、祝前日~23:30(L.O. )、日・祝~19:30(L.O. )
定休日
不定休