2011/10/11 繁盛の法則

アットホームな空間で提供するスパイス料理の魅力とは

住宅街の自宅を改装し、個性的なレストランを出店。神奈川・茅ヶ崎市の海岸に近い住宅街の一角に、1996年にオープンした「GARA中海岸」は、新インド料理・スパイス料理を提供するアットホームなレストランである。

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GARA中海岸

住宅街にある洋館風の自宅をインド料理店に改装。手入れの行き届いた植栽の美しさも魅力

Key Point

  1. 辛くないスパイス料理を提供
  2. 旬の食材を取り入れ新商品を開発
  3. アットホームで温かいサービスに努める

住宅街の自宅を改装し、個性的なレストランを出店

神奈川・茅ヶ崎市の海岸に近い住宅街の一角に、1996年にオープンした「GARA中海岸」は、新インド料理・スパイス料理を提供するアットホームなレストランである。GARA(ガラ)とは、ヒンディー語で家を意味するGAR(ガル)に由来し、地名の中海岸と合わせ、「みんなが気軽に集い、楽しいひとときを過ごせる中海岸の家」という思いを込めて名付けた。もともと洋館風に建てられた築23年の建物は、落ち着いた雰囲気を醸し出し、スタッフの笑顔も印象的で、お客は子供連れから年配者まで、ゆっくりと食事を楽しんでいく。

創業者の故川田二三恵氏は、インド料理を日本の食文化の中でもっと楽しめるのではないかと考え、「お客様をわが家に招くようなお店にしたい」という思いで、自宅を使って同店を出店した。店舗規模は50坪46席で、海側から外階段を上がった、テラスのある2階をメインに使用している。業務用の厨房機器や、インド式の窯のタンドールを備えたほかは、リビングや寝室だった部屋の造りを活かして客席としている。JR茅ケ崎駅からはバスや車を利用しなければならないため、店の存在が認知されるまでは時間を要したが、現在は車で来店する客が大多数を占めている。

開店当初からインド人コックを招き、現在も北インド出身者4名が勤務しているが、カレーにしても辛さを抑え、日本人にとっても食べやすい味にしている点が特徴である。辛さが苦手な子供のために、キッズプレートも用意しているが、通常の商品を大人とともに食べていくことも多い。逆に、もっと辛くしてほしいといった要望があれば、常に柔軟に対応している。カレー類のほか、「タンドリーチキン」「シークカバブ」などタンドールを使った料理、野菜や豆をスパイスでソテーした「サブジ」、新鮮なサラダなど、多彩な料理を提供している。さらに、「旬のキノコのサブジ」850円、「秋刀魚タンドリー焼」780円など、日本の旬の食材を使った季節商品も加わる。

現在、総調理長を務める川田洋士氏は、創業者の子息であり、イタリア料理を学んだ経験を持つ。そのため、インド料理の枠にとらわれず、イタリア料理や様々な料理をヒントに、常に新しいアイテムを考案している。特にナンの種類が豊富で、ガーリックナン、トマトナン、チーズナンなど食事向けのものから、アップルナン、あずきナンなどのデザートナンまで、計16種を開発している。

「国産銘柄鶏のタンドリーチキン」850円、「バターチキンカリー」1,380円、「鎌倉野菜のシーザーサラダ」850円、16種類揃えている「ベビーナン」1個105円または120円。料理やナンはテイクアウトにも対応する

スパイスを身近なものとして親しんでもらえるように尽力

平日15時までのランチタイムは、カレー、サラダ、ナンまたはライス、ドリンクなどがセットになったランチメニュー6種1,150~1,780円を提供しており、客単価1,200円で、46席が2~3回転する。夜は客単価2,300円で、平均1回転する繁盛店となっている。

「創業当初は、スパイス料理も、インド料理自体も、茅ケ崎市内や近所の方たちはほとんど知らなかったと思います。食べる前からインド料理は苦手、スパイス料理は辛くて食べられない、という話をされる中で、本当はおいしいんですよと発信していくことをひとつの目標にしてきました。創業から15年経ってようやく、少なからずわかっていただけるようになってきたかなと思います」と川田総調理長は語る。

同店が15年かけてウエイティングの絶えない人気店として定評を獲得してきた要因は、以下のようになるだろう。

1インドのスパイスを駆使しながらも、辛さを抑え、食べやすい味わいに仕上げている。
2日本の旬の素材などを取り入れながら、常に新しいメニューを商品化している。
3自宅を改装した店舗のアットホームな雰囲気に合った、おもてなしの心を基本とする温かいサービスを心がけている。

「スパイスの中には辛くないものもたくさんありますし、いろいろな栄養分や効用を持つものが多いので、一般家庭の中でも自然に使いこなしてもらえるようにしていきたいです」と、川田総調理長は抱負を述べる。

また同店では、今年3月の東日本大震災を忘れないために、4月からは無休で営業することにした。定休日をなくすと営業上の負担も増えるが、被災地の大変な状況を考えれば、休んでいる場合ではないという思いからだ。川田総料理長も、地元の青年会議所のメンバーとともに被災地での炊き出しに参加し、3月の計画停電では店舗での営業に多大な影響を受けた。この大変な経験を、一人ひとりの心の中に残して生きていってほしいという願いを込めている。

住所
神奈川県茅ヶ崎市中海岸4-14-18
TEL
0467-87-5050
営業時間
11:00~22:00(21:30L.O.)
定休日
無休