2014/03/28 繁盛の黄金律

“強い店長”は客数を伸ばし、客単価も上げる

複数店舗を運営していると、店長に状況を聞くというケースが増えます。店長の評価は「客数が増え、利益を伸ばしていること」が最重要。スタッフ育成が行き届いていれば、おのずと数字が付いてきます。

URLコピー

更新日:2022.10.28

Vol.31

目次
小さな動き、数字の変化を注視しよう
客単価が下がっているのは、来店客の不満が増えている証拠

小さな動き、数字の変化を注視しよう

 「戦争のことは兵士に聞け」という格言があります。大将軍が「われわれは大勝利を収めつつある」と、大ボラを吹いても、参謀が「作戦は成功裏に終わりつつある」と報告しても、戦況をいちばん知っているのは、戦場で戦っている兵士です。どんな景気のよい情報が飛び交っていようとも、「敗色濃厚だな」くらい兵士は肌で感じることができます。

 外食業もまったく同じですね。「戦況」をいちばん知っているのは、店長を含めた従業員(パート・アルバイト含む)です。店長が店主であれば、「戦況」は店主がつかめますが、店主が現場を離れると途端に「戦況」がわからなくなります。そして、打つ手が狂ってきます。例えば、2店舗を経営する場合、1つの店の店主だったときには大繁盛を謳歌していたのに、もう1つ店を出したら坂道をすべり落ちるように客数が減っていく。こういう店が後を絶ちません。

 店主が1店で頑張っているのと、2店を経営するのとでは、難易度に天と地ほどの開きがあります。どんな猛将であっても、2つの戦場の指揮をとって、いずれも勝利させよと言われたら「それはちょっと」とひるむこと必定です。複数店管理はそれくらい難しいことなのです。少しでも正確な情報を把握するためには、小さな動き、変化も見逃さないことです。はっきり言うと、任せた店の店長の言葉を、信用しすぎないことです。

 店を訪れたときに、パート・アルバイト(PA)が生き生き働いていて元気ならば、まず問題ありません。店長1人がカラ元気で、あとは暗い顔でのっそり働いているなんて状態だったら、転落はすでに始まっています。その兆候は、まずPAの定着率に表れます。離職率が上がって、ワークシフト作成には四苦八苦。こんな店で繁盛店はありません。忙しすぎて辞めていくPAは少ないのです。キチッと訓練されたPAならば、程度の差はありますが、忙しくなるほど働き甲斐を感じるものです。

 また、客数が減り始めているのに、原価率、人件費率が下がって、むしろ利益は増大している店。これも危険な兆候です。以前にも書きましたが、外食産業は瞬間的に原価や人件費を下げやすいビジネスです。利益優先主義でいくと、この店の店長は「よくやっている」ということになりますが、とんでもない判断です。評価の唯一の基準は「客数」。客数を増やした結果、利益を伸ばしているのがいい店長なのです。

【こちらもチェック】
スタッフをまとめ、チーム力UP! 行動派店長のチームビルディング術

客単価が下がっているのは、来店客の不満が増えている証拠

 もうひとつ、店長が休みの日に店へ行ってみましょう。そこで惨状をさらけ出していたら、どんなに頑張っている店長でも、その人を評価してはいけません。

 その店長は、店長がいちばんやらなければならない仕事をやっていないのです。店長の最大の仕事は、スタッフの訓練・育成です。店舗運営に必要なスキルを与えることです。それだけではありません。トレーナーを育てることもです。自らスキルを身に付けているだけではなく、そのスキルを他の社員やPAに注入できる人物を育てること。これが店長の最大の仕事です。その人物が時間帯責任者として、さらには全時間責任者として、店長の休みの日を任されることになります。「いる日」と「いない日」の差がありすぎる店の店長は、失格です。「店長がいない日」のほうが元気で、評判がいいというのも問題ですが…。

 客単価が下がっているのも赤信号です。注文回数が減っているのは、サービスのレベルが落ちている証拠です。中間バッシングが遅れたり、テーブルに通う数が減ると、客単価は落ちます。「ビールをもう一杯おかわりしたいな」と思っているお客様も、それに気がついてくれてテーブルまで来てもらわなければ、「ま、いっか」で注文を止めてしまいます。飲食店のサービスは、気付きがとても大切です。気付きが注文数を増やし、客単価を上げるのです。その“気付き力”を身に付けさせるのも、店長の訓練・育成力の高さにかかっています。

 売上をつくる“強い店長”は客数も伸ばし、かつ客単価も上げます。客単価が異常に跳ね上がることはあってはなりませんが、メニューの注文数やビールのおかわりが増えるという形で、ジワジワと客単価が上がるのは、お客様がサービスに満足している証拠です。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

繁盛店づくりのサポートは「ぐるなび」におまかせください!

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。

「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、集客・リピート促進はもちろん、予約管理や顧客管理、エリアの情報提供、仕入れについてなど、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】

※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報はご自身でご確認ください。

ぐるなび通信をフォローする