2015/07/28 特集

飲食店が知っておきたい2015年上半期トピックス(2ページ目)

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TOPICS 訪日外国人増加・食品表示法の施行・ジャーサラダ

TOPIC5 訪日外国人増加で外食市場規模拡大

ターゲットを明確にして外国人が入りやすい店を

昨年の訪日外国人は1300万人を超え、今年はさらに増加する見通し。背景には、LCC(格安航空会社)の路線拡大や円安のほか、観光立国を目指す政府の戦略もある。これが日本の外食産業に与える影響も大きく、一般社団法人日本フードサービス協会は、「平成26年外食産業市場規模推計について」で、外食産業の市場規模が前年比で1・5%増加したと発表。その要因として、訪日外国人の増加を挙げた。

こうした“インバウンド(訪日外国人)旋風”に対して、二杉氏は「どう向き合うかをしっかり決めることが肝心」と指摘。「外国人客の比率をどこまで高めるのか、どの国のどの層をターゲットにするのかによって、戦略も変わるはず」と語る。

外国人が入りやすい店のポイントは、「外国人に喜ばれるメニューとして、日本らしい食材・器・盛り付けをすること」と二杉氏。料理の写真などをすぐネットにアップする外国人が多いので、Wi-Fi環境も不可欠だ。さらに写真付き外国語メニュー、外国語が少しでも話せるスタッフも有効。「これらを店頭でしっかりアピールすることで、外国人が入店するためのハードルはぐっと下がります」(二杉氏)。

TOPIC6 「食品表示法」が施行

アレルギー表示が明確化。弁当は適用対象の可能性も

今年4月1日に、食品の表示に関する法律「食品表示法」が施行された。これは、食品衛生法、JAS法(農林物資の規格化などに関する法律)および、健康増進法の食品表示に関する規定を統合したもの。また同法では、「機能性表示食品制度」も創設された。

同法の施行によって、加工食品や生鮮食品を販売する際の、栄養成分、アレルゲン(アレルギーの原因となる抗原物質)などの表示ルールが明確化。特にアレルギー表示については、左記の「特定原材料」と、「準特定原材料」が含まれる場合の記載ルールが変更となった。

食品表示法は、基本的には食品を製造・販売するメーカーや小売店が対象。飲食店で提供する料理については、食品表示以外の手段(スタッフに聞くなど)で、消費者が使用されている食材についての情報を得られる可能性が高いため、適用対象にはなっていない。しかし、店で販売する持ち帰り用の弁当やタレ、ドレッシングなどは対象となることもあり、注意が必要だ。

具体的に適用対象となるのは、店舗内で惣菜などをあらかじめ容器に詰めて販売する弁当など。しかし、客が選んだ惣菜をその場で詰める対面販売などは、弁当の内容物がその都度変わるため、適用対象外となる。

「消費者から飲食店へのアレルギーの問い合わせは、ここ数年、爆発的に増えています。アレルギーを持つ人が増加しているためで、食品表示の義務化の流れは今後も続くでしょう。将来的に飲食店で提供するメニューにも波及する可能性があります」と二杉氏。

一方、二杉氏は、飲食店が料理について「アレルゲンは入っていない」と言い切るリスクを警告する。飲食店では、調味料に入っているアレルゲンまでチェックすることは現実的に難しい。また、メニュー変更が頻繁なので、記載漏れ、誤表示の可能性もある。だから「あいまいな場合はわからないとはっきり言うべき」(二杉氏)という。

この食品表示制度については、対応するまでの猶予期間が設けられているので、この機会に、消費者庁のホームページで確認して、自店の商品について適用対象となるか確認していただきたい。

機能性表示は様子見の段階。メニューへの記載は不可

また新たに、健康の維持・増進に役立つ機能を食品に表示できる「機能性表示食品制度」も始まった。ただ、飲食店では、仮に機能性表示食品を使用していても、調理工程で機能性が失われることなどがあるため、提供する料理に機能性を表示することはできない。「飲食店は様子見の段階でしょう」と二杉氏。しかし「機能性を表示することが売上アップにつながるという調査結果などが出れば、『機能性表示食品』を使っていることが差別化につながるかもしれません」(二杉氏)という。いずれにせよ、制度の内容や対応を理解し、今後も動向を見守りたい。

2015上半期 Pick upキーワード「ジャーサラダ」

節約&健康志向が背景。カギは「おしゃれ感」

ここでは、ぐるなびの「全国フリーワード検索」で、今年上半期に急上昇した検索ワードをピックアップ。「ホットサラダ」「喫茶店」「メキシコ」など、健康志向や話題の店のトレンドを感じさせるワードが急上昇している。

特に注目したいのが「ジャーサラダ」。ガラス瓶に野菜などを詰めたサラダで、アメリカでブームになった。気密性が高く持ち運びに便利なこと、カラフルな野菜が見えておしゃれなことで人気が広がり、日本でも弁当感覚で手作りする女性が増加している。ブームを反映して、飲食店でもメニューの1つに取り入れるところも出始めている。

このトレンドについて「節約や健康志向を反映しているのでは」と二杉氏は見る。さらに「ただ節約したりヘルシーなだけでなく、おしゃれだということもポイント」と指摘。斬新なビジュアルや提供方法のおもしろさは魅力的で、現代的な感覚の1つとして、参考にしたいところだ。一方、「野菜を詰めて放置するため、食中毒の危険性も少なくない」(二杉氏)ため、飲食店での提供時には注意が必要となりそうだ。

おしゃれな個室を売りに、20代~30代の女性を中心に集客するビストロ「渋谷TALK」。同店では、今年1月から「メイソンジャーサラダ」(800円~)の提供を開始。ジャーに入れる具材を客が選べることも好評で、来店客の9割が注文する人気商品になっている。
渋谷TALK
東京都渋谷区宇多川町33-13 楠原ビル2F
http://r.gnavi.co.jp/mrxw1ubg0000/

主なぐるなび急上昇検索ワード

ぐるなびのフリーワード検索データから、2015年上半期に急上昇したキーワードを一部ピックアップ。
※( )内は急上昇した月。

「ホットサラダ」(2月)
体を冷やさず野菜が摂れることで注目が高まっている

「ジャーサラダ」(4月)
様々な野菜をガラス瓶に詰めたサラダが女性に人気

「喫茶店」(5月)
2/6「ブルーボトルコーヒー」日本1号店出店の影響か

「メキシコ」(5月)
4/21メキシカンファストフード「タコベル」日本再上陸の影響か

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