2015/08/10 繁盛の法則

ロティサリーチキンをメインに多彩な工夫で集客するバルとは

女性にも人気の「クイーンオブチキンズ」(東京・新橋) に学ぶ-店頭に設置した専用マシンで焼き上げるロティサリーチキンを主力商品に、連日予約でほぼ2回転するほどリピーターをつかんでいる。

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クイーンオブチキンズ

新橋駅から徒歩3分、角地にあるビルの1階が「新橋本店」、2階がパーティ用の「ゲストハウス」。

Key Point

  1. クオリティの高いバル料理を提供
  2. 魅力的なドリンクを次々と開発
  3. 多彩なイベントでリピーターに訴求

テイクアウトや通販など販路を拡大できる商材を選択

東京・新橋の飲食店街の外れにある、黄色の壁面に赤い文字を使ったインパクトの強い外観の「クイーンオブチキンズ 新橋本店」は、連日予約でほぼ2回転するほどリピーターをつかんでいる。主力商品は、店頭に設置した専用マシンで焼き上げるロティサリーチキンである。14種類のスパイスとハーブを使って2日間マリネした鶏を、丸ごと焼くため、表面はパリッとし、中はジューシーでしっかりと味がしみ込んでいる。夜は、「ロティサリーチキン」(1羽1880円、1/2羽980円、1/4羽680円)、もしくはこのロティサリーチキンに加え、牛ハラミステーキ、ロティサリーポテトを盛り合わせた「肉盛り」(L・1980円、S・1380円)を待つ間に、前菜をつまみ、肉料理を味わった後はパスタやリゾットでシメ、最後に〝別腹.のデザートを楽しむという利用が多い。また、「お通し」(600円)として提供されるバーニャカウダは、野菜もソースもお代わり自由とし、特に女性客に好評を得ている。そのため、2013年3月27日にオープンした当初は、新橋周辺のサラリーマンが多かったが、現在は女性が約6割を占め、新橋以外から訪れる人も半数近くにまで増えている。

経営元は、2013年2月に設立された株式会社ESSENCE(エッセンス)で、代表取締役社長の酒井クロード宏之氏は、バーテンダーから飲食業に入った。2012年末に、以前はカレー店だった現物件が空くと知り、開業を決意して経営者の道に進んだ。

「これからの飲食店は、客単価×客数のイートインの売上だけでは厳しい。テイクアウトやギフト、通販にも対応できる商材で、まだ珍しかったロティサリーチキンを主力商品に選びました」と、酒井氏は説明する。店舗規模は17.5坪42席で、開放的で気軽に立ち寄れるバルでありながらも、しっかりした料理の提供を目指した。そこで、日本におけるフランス料理界の先駆者の1人で、酒井氏の父親でもある酒井一之氏を料理顧問に迎えた。一之氏は13年間のフランス滞在の後、渋谷「ヴァンセーヌ」、赤坂「ビストロ・パラザ」のシェフを務め、後進の育成にも尽力してきた。その一之氏の指導を受けた松浦雄太氏を同店のシェフに起用し、フレンチやイタリアンをベースとするバル料理を提供している。

手前がこんがりと焼き上げた主力商品の「ロティサリーチキン」(1羽1880円)に、「ロティサリーポテト」(+300円)を添えたもの。奥が「お通し」(600円)のバーニャカウダで、野菜類もソースもお代わり自由

魅力的なドリンクや頻繁なイベント開催も好評

ドリンクでは、1日に10リットルを販売する「なみなみ樽詰めスパークリングワイン」(480円)や、果物をブランデーに漬け込み、トニックで割った「ブランデースプリッツァー」(6種各500円)、かんきつ類を搾った「シトラス ジムビーム ハイボール」(3種各520円)など、ロティサリーチキンとの相性や、女性客を意識したアイテムをそろえている。半年前からは、最近注目されているアメリカ製広口瓶に、たっぷり果物を入れた「生カクテル」(6種各680円)も加えた。

また、毎週水曜は「ノー残業デー」をさらに盛り上げようと、「レディースナイト」とし、2人以上で来店した女性限定で、1人1000円でほとんどのドリンクが2時間飲み放題となる。さらに毎月28日は「ニワトリの日」、29日は「肉の日」とし、割引き商品や限定商品を打ち出している。サッカー日本代表の試合は店内のテレビで見られるようにするなど、頻繁にイベントを企画し、リピート率を高めている。夜の客単価は3700円で、ドリンクとフードの比率は55対45になる。

ランチタイムは、ロティサリーランチのほか、カレー、パスタなどのビジネスランチを提供し、客単価900円で、男性が6割を占める。平均月商は800万円強で、テイクアウトの売上げ比は2割弱となっている。

同店がロティサリーチキンを核とする肉バルとして、支持を高めている要因は以下のようになるだろう。

1メイン商品のロティサリーチキンを主軸に、フレンチやイタリアンベースのバル料理を提供している。
2魅力的なドリンクを次々と打ち出している。
3楽しさやお値打ち感のある各種のイベントでリピート率を高めている。

なお、ロティサリーチキン用の丸鶏のマリネ作業は、オープン後3日ほどで、店内で毎日大量に行うのは無理と判断し、食肉工場に依頼することにした。これにより、多店舗化やFC展開が可能となり、今後は通販も開始すべく準備を進めている。すでにFC店として2013年12月に大阪・豊中市に「千里中央店」、2014年12月には都内に「恵比寿店」を出店している。また2014年9月には、新橋本店の2階にパーティ利用にも対応できる32席の「ゲストハウス」を直営で出店し、現在は1、2階で連携しながら営業している。年内にはさらに、FCで2~3店舗、直営で1店舗の出店を計画しており、まずは新橋を中心とする都心部で展開を進める考えだ。

住所
東京都港区新橋3-8-8 リバティ8 1F
TEL 03-6809-2595
営業時間
11:30~14:00(L.O. 13:30)、17:00~23:30(L.O. 22:30)、土日祝15:00~23:30(L.O. 22:30)
定休日
無休