2011/12/20 特集

基本を見直す!客席クレンリネス

日々の営業の中で、備品が散乱したり、汚れが蓄積されていく店内。新たな年を迎える今こそ、飲食店を経営するうえで基本となるクレンリネスを見直したい。今回のテーマは特に目につきやすい客席周り。ここではまず、多数の飲食店のコンサルティングを行なってきた、株式会社 武蔵野の小山昇氏にクレンリネスのあり方の基本について話を伺った。

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日々の営業の中で、備品が散乱したり、汚れが蓄積されていく店内。新たな年を迎える今こそ、飲食店を経営するうえで基本となるクレンリネスを見直したい。今回のテーマは特に目につきやすい客席周り。ここではまず、多数の飲食店のコンサルティングを行なってきた、株式会社 武蔵野の小山昇氏にクレンリネスのあり方の基本について話を伺った。

クレンリネスの徹底は、店を繁盛店にする基本中の基本

現在、飲食店はオープンから5年で約8割が閉店すると言われています。それはなぜか?

理由のひとつとして、店が汚くなることが挙げられます。

お客様はいつも新鮮なもの、旬なものを求めています。そして、それは常に見た目で判断されます。見た目が汚ければ、当然その店には入りません。だからこそクレンリネスの徹底は、店を繁盛店にする基本中の基本なのです。

ただ、勘違いをしてはいけないのは、クレンリネスと掃除は似て非なるものだということ。掃除とは、各人が空いた時間に、気付いたところをきれいにすることをいいます。一方で、クレンリネスは広い意味で環境整備の一部であり、決められた人が、決められたテリトリーを、決められた順番で行ない、さらにそれを必ず第三者がチェックしなければいけません。

つまり、単なる掃除とは違い、決められた時間に、決められた担当により、決められた通りにできているかということが重要であり、すべてのスタッフがその決まりに従って取り組み、それを定期的にチェックすることで、お店のクレンリネスの質の向上にもつながります。

客席周りのクレンリネスについては、常に清潔にすることを心がけるのはもちろん、テーブルの上に置くのはお客様が食事をするときに必要最小限のものだけにすること。たくさんの調味料や販促物をごちゃごちゃと置いているような店もありますが、はっきり言ってお客様にとっては邪魔なだけです。

華美な装飾や店のこだわりはあくまでも二の次であって、なによりもまず、お客様が使いやすいか、気持ちよく食事ができるかということを第一に考えなければいけません。

最後に繰り返しになりますが、クレンリネスとは、ただ店をきれいに掃除することやおしゃれに飾り付けをすることではありません。従業員が働きやすい環境を整え、お客様に喜ばれる店を作り上げることが本来の目的だということを決して忘れないようにしてください。

お店の衛生に関するアンケートデータ20~79歳の男女1,221人に聞いたお店の衛生に関するアンケートで、飲食店を利用して不快に感じたことがあるかを聞いた結果が上のグラフ。約8割(932人)が「ある」と回答。あらためて衛生への配慮の重要性がわかる。2011年10月31日~11月4日実施「お店の衛生に関するアンケート」(ぐるなび調べ)

飲食店のクレンリネスの5つの基本とは?

整理

要るものと要らないものを選別して、要らないものは捨てる。「片付ける」は、ただ物を別の場所に移動しているだけで、間違った整理の仕方である。

整頓

誰もがわかるように必要なものを必要なときに、すぐ使える状態に保つ。物の置き場を決め、整頓のルールを設ける。そして、使った後は必ず元に戻す。

清潔

決められた箇所を、決められた手順で重点的に磨き込む。ポイントは、必ず決められた時間内に終わらせること。だらだらと時間をかけるのは×。

礼儀

特にホールスタッフなど、店で着るユニフォームをきれいにしてお客様に不快感を与えないこと。同時に、お客様の来店時の挨拶などのかたちも決めておく。

規律

決められた通りに掃除されているかを定期的に点検する。チェックは抜き打ちではなく、実施する日時とチェックする箇所を必ず事前に告知しておくこと。

テーブル周りはシンプル・イズ・ベスト

テーブル周りのクレンリネスはシンプル・イズ・ベストが基本。テーブルには客が食事をするのに必要最小限のものだけを置くようにする。また、箸置きやテーブルクロスなどは、おしゃれさを優先せずに、使いにくいものは避けること。

株式会社 武蔵野
代表取締役社長
小山 昇 氏1948年、山梨県生まれ。1987年より現職。社長業と並行して、これまでに『経営の心得』など20冊以上の著書を執筆するほか、400社を超える中小企業を指導。"中小企業のカリスマ"として全国の経営者から高い支持を集めている。

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