Rojiura Curry SAMURAI. 神楽坂店
Key Point
- 野菜類をふんだんに使ったカレーを開発
- お客一人ひとりの好みに柔軟に対応
- 「路地裏」をテーマに来店を促進
本場・札幌の激戦区で2007年より展開
北海道・札幌ではすっかり地元の名物料理として定着しているスープカレー。だが、最近は専門店の競合も激しくなり、年間に新規オープンする店舗と同じくらいの数の店舗が閉店に追いやられているという。その中で、2007年にわずか14席の店舗でスタートした「Rojiura Curry SAMURAI.」は、現在、札幌に5店舗、函館に1店舗、東京に2店舗と、着々と店舗数を増やしている。4月下旬には北海道北広島市の「三井アウトレットモール札幌北広島」に、道内7店目となる最新店のオープンを予定しており、初のショッピングモール立地にも挑戦する。
「野菜を食べる」をコンセプトに、彩り鮮やかな野菜をふんだんにトッピングする同店のカレーは、ヘルシー感があり、豪華さをも感じさせる。札幌スープカレーというと、サラサラのスープに、大きく切った野菜がゴロゴロ入っているタイプが多いが、同店ではじっくり炒めた野菜によるとろみのあるスープに、やや小さめに切った野菜を多種類入れているところに特徴がある。さらには、ホタテ、ラムハンバーグ、ザンギ(鶏の唐揚げ)など、北海道らしいトッピングも揃えている。
同店のスープは、タマネギ、ニンジン、キャベツなどの大量の野菜を弱火で10時間ほど煮込み、ていねいに漉した野菜ペーストと、トンコツ、親鶏、昆布、カツオ節などを使って2日かけて炊き上げた濃厚な動物系スープを合わせ、さらにトマトペースト、あめ色になるまで炒めた玉ネギ、果物などを加えて、甘み、酸み、旨みを凝縮させて仕上げている。完成までに3日かかるこのスープ作りは、現在、セントラルキッチンを兼ねている札幌「北19条店」で全店分を一括して製造し、東京の2店には毎日空輸している。また、十数種類使用するスパイス類は、札幌「さくら店」で焙煎し、調合している。
基本のカレーメニューは11品目1050~1780円(税込)で、さらにスープの種類、辛さ、ご飯の量、追加トッピングなどを選んでいく。一人ひとりの好みに応じてツーオーダーから仕上げていくため、作り置きはできず、提供時間は5~10分ほどかかる。野菜の種類は、基本のカレーとして8品目、13品目、20品目から選べ、トッピングとして適宜追加もできる。20品目になると約250gの野菜を使用し、1人前のスープの中に溶け込んでいる約100gと合わせ、1日の野菜類の摂取量として推奨されている約350gを1食で摂ることができる。なお、客単価は1450円になる。
オーナーの実家の農園で生産された良質な食材を駆使
経営元は株式会社ソウルフラワーで、同社の川端昌志社長は、大学卒業後にサラリーマンとなったが、20歳の頃に「30歳までに飲食業で独立する」と決め、自宅で居酒屋のように料理を作って友人をもてなしながら準備を進めた。その中で独自のスープカレーを考案し、29歳で独立開業を果たした。1号店の札幌「美園店」は、1日の店前通行量が50人いるかどうかというくらいの厳しい立地だったが、その商品力の高さでわざわざ足を運んでもらえる繁盛店となった。その後も「路地裏」をひとつのテーマとし、都内に2014年3月15日にオープンした「下北沢店」、2015年9月15日に出店した「神楽坂店」も、繁華街から少し外れた立地ながらリピーターをつかんでいる。
また、川端氏の実家は北海道士別市で「川端農園」を営んでおり、そこで生産している米「きらら397」と大豆「ゆきほまれ」で、全店での使用分を賄っている。ご飯は、粘り気の少ないきらら397の白米に、他産地の玄米をブレンドし、やや硬めに炊いてスープカレーと合わせている。糖度が高く、甘みとコクのあるゆきほまれは、食感が残る程度に固ゆでにし、トッピングとして使用する。同農園からはさらに、ジャガイモ、大根、カボチャ、ズッキーニなど季節の野菜類も仕入れている。
同店が独特のスープカレー店として、目的客を誘引している要因は、以下のようになるだろう。
- 「野菜を食べる」をコンセプトに、野菜類をふんだんに使ったヘルシーかつ濃厚なスープカレーを開発している。
- お客一人ひとりの好みに柔軟に対応し、1食ずつ仕上げて提供する。
- 「路地裏」をひとつのテーマに、来店を促進している。
東京で2店目の「神楽坂店」の店長には、札幌の「北19条店」や「西野店」で店長経験を積んだ、北海道小樽市出身の佐藤恭平氏が抜擢された。店舗規模は23坪29席で、20~30代の若い客が多く、女性が6~7割。平日で平均100人、土・日曜日は130~140人を集客し、オープン以来、着実に売上を伸ばしている。先行した「下北沢店」は、開店数カ月後にテレビで紹介されて火が付き、20坪24席で連日200人ほどが来店する人気店となっている。
「『神楽坂店』でも、まずは『下北沢店』くらいの売上を目標にしたいですね」と、佐藤氏は堅実に語っている。
住所
東京都新宿区箪笥町27 吉田ビル1F
TEL 03-3266-7062
営業時間
11:30~15:30(L.O. 15:00)、17:30~22:30(L.O. 22:00)
定休日
無休