2012/02/21 繁盛の法則

牛たんシチューやワインで支持されるビストロとは

気軽なビストロ、ワンコインのピッツェリア、リーズナブルなワインバーといった要素を併せ持つ「Pizza&Bistro Junjino(ジュンジーノ)」はオープン以来、着実に地元のファンを増やしている。

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Pizza&Bistro Junjino

人形町交差点からすぐ、赤をテーマカラーとする店舗。2階も客席で30人までのパーティにも対応する

Key Point

  1. ランチは牛たんシチューを看板商品として訴求
  2. 夜はビストロ料理や500円ピッツァなどを用意
  3. 約100種のワインをカジュアルに提供

ランチ限定の牛たんシチューを
7割以上のお客がオーダー

気軽なビストロ、ワンコインのピッツェリア、リーズナブルなワインバーといった要素を併せ持つ「Pizza&Bistro Junjino(ジュンジーノ)」は、2010年5月12日のオープン以来、着実に地元のファンを増やしている。東京・中央区の人形町交差点から徒歩約15秒、人形町通り沿いという好立地にあるが、間口が狭く、奥側が広くなった変形のビルの1、2階にあり、店舗規模は計27坪46席。経営元は株式会社アムアックで、この周辺で3店舗の居酒屋を経営していたが、うち1店を洋風に業態転換した店舗である。

ランチタイムは、6時間ほどかけてじっくり柔らかく煮込んだ「感動の牛たんシチュー」950円が、今や同店を代表する商品となっている。サラダ、カップスープ、ライスまたはパンがついての価格であり、1人前に計150g程度の牛たんがゴロゴロと入っている。ランチだけで平日は40~50人、土・日には100人以上が来店するが、うち7割以上のお客が牛たんシチューをオーダーしている。そのほかのランチメニューとしては、「ピッツァランチ」2品目各800円、「今週の生パスタ」900円、「手ごね和牛ハンバーグ」1,200円を用意している。ピッツァは、オープンキッチンの中央に専用石窯を設置し、オーダーごとに生地を一枚ずつ直径約22cmに延ばして焼き上げる。ピッツァランチはサラダ、カップスープ、デザート付きで、定番のマルゲリータ(トマト、バジル、チーズ)と、週替わりの2品目を用意している。パスタは、モチモチした食感を持つ生麺を使い、具だくさんでボリュームのある商品を週替わりで提供する。

オープン当初はピッツァランチを前面に押し出していたが、2010年10月に牛たんシチューに「感動の」というひと言を加え、アピールすることにした。自信のある商品であり、1,000円以下で出している店も少ないため、差別化できる商品になるのではと考えてのことだ。さらに、牛たんシチューは大量に仕込んでおけるので、最終行程の時間はかかるが、素早く提供できるという強みがある。ランチの客単価は950~1,000円で推移し、平日は周辺のサラリーマンやOLが中心で、週1~2回来店するリピーターが多く、男女比はほぼ半々となっている。土・日・祝も同様のランチメニューを提供しているが、客層はガラリと変わり、家族連れ、近所の住民、遠方からのお客など、30~60代の幅広い客層を誘引している。

ランチメニューより、手前が「感動の牛たんシチュー」950円、左が800円の「ピッツァランチ」定番アイテム「マルゲリータ」、右が「今週の生パスタ」900円。ランチメニューは全品にサラダとカップスープがつく

なみなみ注ぐグラスワインや
お値打ち価格のボトル売りが好評

夜はビストロ料理、500円均一のピッツァ8品目などとともに、ワインを気軽に楽しんでほしいというコンセプトである。なかでも人気商品は「トリの白レバームース」900円、鳥の半身を使った「ホロホロ鳥のシャンパン煮」1,600円などである。

ワインはフランス、イタリア、スペイン、チリ、アメリカ、オーストラリア、日本など多彩な産地から約100種をそろえている。ボトルの場合は市販価格プラス1,500~2,000円で売価を設定し、2,000~3,000円台を中心としながら、高価格ワインほどお値打ち価格で楽しめるように工夫している。グラスワインも、白3種、赤3種を380~680円で提供し、1杯分は150mlと多く、グラスになみなみと注ぐことで演出効果を高めている。夜は、1杯目はビール、2杯目以降はワインを楽しむお客が多く、アルコール類の売上比ではワインが6割、ビールが2割を占め、そのほかカクテル、ウイスキーなどが2割という比率になっている。夜の客単価は3,500円で、1日平均50~60人、金曜は80人ほどが来店し、うち女性客が7割を占めている。

同店が昼、夜それぞれのニーズを掴んでいる要因は、以下のようになるだろう。

1ランチタイムは牛たんシチューを看板商品に育て、幅広い客層に支持されている。
2夜はビストロ料理に500円均一ピッツァなどを加え、気軽に利用できる商品構成としている。
3約100種のワインをそろえ、カジュアルに楽しめるように価格設定や提供方法を工夫している。

また、テイクアウト、周辺地区への宅配にも対応し、昨年1月からは平日17~19時の強化策としてスパークリングワイン、白ワイン、赤ワインを980円で飲み放題とするハッピーアワーを開始した。このような対策も徐々に定着し、オープン1年目は500万円だった平均月商も、2年目は700万円平均と順調に伸びている。

「今後もブレずに、商品やサービスの質を維持していきたいです。また、当面の課題は、若干客数が落ちる月曜の対策ですね」 と、同店の加瀬健一店長は語っている。