2019/10/29 特集

悪質なクレームから飲食店を守る3つのポイント

来店客による悪質なクレームや無断キャンセルは、飲食店を悩ます問題。これらのトラブルからお店を守るための準備や事後の対応など、飲食店専門弁護士の石﨑冬貴氏にポイントを聞いた。

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更新日:2023.12.22

 来店客による悪質なクレームや無断キャンセルは、飲食店を悩ます問題。では、これらのトラブルからお店を守るためにはどんな準備や事後の対応を取ればいいのか。飲食店専門弁護士の石﨑冬貴氏によると、クレームに対しては「誠心誠意の謝罪」「事実・原因の確認」「要求・要望の確認」の3つを徹底し、それでも収まらないような悪質なクレームに対しては、「犯罪である」という認識を持ち、毅然とした対応が必要とのこと。また、無断キャンセルについては、事前の予約確認の連絡を徹底するほか、キャンセルポリシーの設定とそれを明確に伝えることがポイントだという。

目次
どうして飲食店は悪質クレーマーの標的となってしまう?
クレームが発生! まずは、どんな対応が求められる?
悪質なクレーマーを見極めるポイントはどこにある?
悪質なクレーマーに対して、「NO」を突きつけても大丈夫?
やってはいけないNG行為は?
悪質なクレーマー対応には、どんな心構えが必要?
事前に準備できるクレーマー対策は?
飲食店アンケート①「クレーム対応」について聞きました
社会問題化している無断キャンセル。飲食店は打つ手なし?
事前確認はしてるけど… ほかにできる対策はない?
それでもドタキャンされてしまったら、実際にキャンセル料は請求すべき?
飲食店アンケート②「キャンセル対応」について聞きました

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テーマ① 悪質クレームからお店を守る

飲食店専門弁護士 石﨑冬貴氏
神奈川県弁護士会所属。一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。顧客対応や労務管理など、飲食店の法律問題を専門的に取り扱う弁護士として、多くの飲食店の顧問を務める。
石﨑氏著書「なぜ、飲食店は一年でつぶれるのか?」(旭屋出版)
 

どうして飲食店は悪質クレーマーの標的となってしまう?

過度な「お客様第一主義」がクレーマーを生む一因に

 消費者が来店した店で暴言を繰り返したり、土下座を強要したりする悪質なクレームが、近年、業界を問わず深刻な問題として取り上げられるようになっている。飲食店専門弁護士の石﨑冬貴氏は、この背景について「以前と比べて悪質なクレーマーが目立って増えているわけではなく、インターネットやSNSの普及によって、トラブル時の動画や写真が世間の目に触れることが増え、問題の表面化が進んでいるのが要因の一つ」と説明する。

 悪質クレームの問題は、あらゆる業種で起こり得るが、「特に飲食業は、入店時の案内から注文、料理の提供、会計など、スタッフとお客さんが接する機会が多く、『口に入れるものを提供する』というデリケートな側面もあるため、比較的クレームが発生しやすい傾向にあります」(石﨑氏)。また、居酒屋などでは、来店客が酒に酔って気が大きくなり、普段は隠れているその人のクレーマー気質が表に出てしまうことも少なくない。さらに石﨑氏は、「チェーン店の、いわゆる〝サラリーマン店長.は、『対応を間違えて本部からの評価を下げたくない』などの理由で、穏便に済まそうと理不尽な要求を飲んでしまうケースも多いのではと感じます。このような対応が『客は店に何を言っても許される』という誤った認識につながり、クレーマーを助長している面もあります」と指摘する。

 こうした流れの揺り戻しとして、最近ではクレーム被害についてSNSなどで声を上げる飲食店も増えてきている。行き過ぎた「お客様第一主義」を見直し、飲食店が正しい消費者対応を考え直すべき時代になっているのだ。

 ただ、対策といっても、飲食店でのクレームは発生から解決まで現場で完結するケースが多いため、一般企業の消費者対応のようにカスタマーセンターなどの専門部署が担うことは難しい。「現場スタッフによる個別対応に任されていることがほとんどですが、適切な対応を知らないために、言葉遣いや態度などが原因で、さらに問題がこじれる事例もしばしばあります。現場のスタッフがクレームで疲弊するのを避けるためにも、個人の能力に任せるのではなく、会社として対策を立てる必要があります」と石﨑氏は断言する。特に、大人数の宴会利用が増える年末の繁忙期は、忙しさから料理の提供が遅れたり、個々の来店客を細かくケアできなかったりと、トラブルの原因も増えがちだ。また、新規客を含めた来店客全体の母数が大きくなるため、クレーマー気質の人が来店する確率も高まる。忘年会シーズンを前に、いま一度、対応について考えることが大切なのだ。

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クレームが発生! まずは、どんな対応が求められる?

初期対応では3つの原則を守って被害拡大を防ぐ

 クレーム対応を考えるうえで、まず認識したいのが、「クレームには悪質なものと正当なものがあり、その2つはまったく別物だということ」と石﨑氏。商品やサービスに不備や疑問があるとき、消費者が指摘するのは当然。クレーム発生時は正当か悪質かは判断しにくいので、偏見を持たずに対応することが大切だ。さらに、「正当な指摘にせよ、悪質なクレームにせよ、初期対応で守るべき原則は同じ」と石﨑氏。それが「誠心誠意の謝罪」「事実・原因の確認」「要求・要望の確認」の3つだ。

 まず最初の対応として必要なのが「誠心誠意の謝罪」。「謝ると非を認めたことになる、と心配する人もいますが、それは文化の違う海外での話。日本でのクレーム対応において『申し訳ありません』は、いわば基本的な挨拶。最初に謝罪の一言がなかったばかりに、大ごとに発展したケースも多いです」と石﨑氏は助言する。明らかに理不尽な理由でクレームを受けたとしても、「理由はともかく、不快な感情にさせてしまったことを謝る」と考えて、心から謝罪することが大切だ。

 次に、何が起きたのか、何に怒りや不満を感じているのかなど「事実・原因の確認」をして、どんな対応を求めているか「要求・要望の確認」を行う。「飲食店の場合、原因となった行為(接客)や商品(料理)はすべて店内に存在するものなので、事実・原因の確認は比較的容易です」(石﨑氏)。一方で、「要求・要望の確認」では、『どういう対応を求めているか』を直接聞くと、相手の感情を逆なでする恐れがあるので注意が必要だ。「やり取りの中から、相手が何を求めているかを汲み取って提案する必要があります」と石﨑氏。一般的に、接客・サービスに関することなら、それについての「謝罪」を、商品(料理)に関する場合は、それに見合う「返品・返金」などを求められる。「重要なのは返品や返金などについて、どこまで対応するか、基準を明確にしてスタッフ間で共有しておくことです」(石﨑氏)。この3つの原則に沿って対応すれば、「正当な指摘については解決する可能性が高く、少なくとも問題が悪化することはありません」と石﨑氏。逆に、このやり取りのなかで、次に上げる特徴が見えるようになったら、悪質なものと判断して対応を切り替える必要が出てくる。

悪質なクレーマーを見極めるポイントはどこにある?

“話の堂々巡り”が決め手。理不尽な要求も判断材料に

 悪質なクレーマーは見た目ではわからない。酔っ払って騒いでいるように見える人が実は正当な主張をしていたり、一見すると礼儀正しい人が、恐喝まがいの要求をしてくることもある。「ただ、悪質なクレーマーには、いくつかの特徴があります」と石﨑氏。その最たるものとして石﨑氏が上げるのが「話の堂々巡り」だ。サービスの改善や料理の交換が目的ではなく、大声で怒鳴り散らしたり、長々と説教を続けたり、言葉尻をとらえて難癖をつけて論破しようとするなど、「不満をぶつけて、相手の上に立つこと」を目的にしているため、話を蒸し返して終わらせようとしない。ゴールに向かって建設的に話し合う意思がないため、店が謝罪や返金などの提案をしても、それを受け入れて納得することはなく、結果的に話が堂々巡りしてしまうのだ。

 そのほかに、「料理で腹を下したから100万円支払え」など現実的に対応が難しい理不尽な要求をしたり、「誠意を見せろ」などあいまいな表現を繰り返して、具体的な要求を言わないのも悪質なクレーマーだと判断するポイントになる。もちろん、「殺すぞ!」といった暴言や土下座の強要、暴力、セクハラなども、あきらかに悪質な行為。「これらの特徴を大きくまとめると、“無茶な要求をするタイプ”と“ただ文句を言いたいタイプ”の2つに分けられます」と石﨑氏は語る。

 こうしたクレーマーに対して、いくら初期対応の原則を守って誠実に対応し続けても解決は難しい。むしろ、やり取りに時間ばかり取られて業務が滞ったり、ほかの来店客に迷惑がかかるなど、2次的な被害が拡大するだけ。こうした特徴が見受けられた時点で、次ページにある悪質クレーム用の対応に切り替えることが必要となる。

悪質なクレーマーに対して、「NO」を突きつけても大丈夫?

裁判沙汰を恐れる必要なし。無茶な要求は明確に拒絶を

 しっかり初期対応をしたうえで、悪質と判断したら、はっきりと「NO」を突きつけ、それ以上取り合わないことが重要だ。「理不尽な要求には『そういったご要望にはお応えできません』と伝え、要求がはっきりしない場合は『これ以上は対応できません』と言い切り、そのまま放置しましょう」と石﨑氏。それでも問題行為が続くようであれば、クレーマー本人に通告したうえで業務妨害が起きていると警察や弁護士に連絡するのが最終手段だ。「『訴える』と言われても、『構いません』と伝えて問題ありません。食中毒など人命に関わる重大な過失であれば別ですが、軽微な過失に対して過剰な要求をするクレーマーが、費用や時間をかけてまで裁判を起こすとは考えにくいですし、実際に私が顧問をしている店でも、訴えられたことは一度もありません」(石﨑氏)。むしろ「NO」とはっきり言わないことは、悪質なクレーマーを増長させるきっかけになってしまうと考えるべきだ。

 また、大声で騒ぐ、脅し文句を並べ金品を要求する、土下座を強要するといった行為は、「威力業務妨害罪」「強要罪」「脅迫罪」「恐喝罪」などの刑事罰に問われる、れっきとした犯罪行為だということも認識しておきたい。たとえ問題の原因が店にあっても、悪質な迷惑行為にはひるまず、「NO」を伝える姿勢が大切になる。

やってはいけないNG行為は?

その場しのぎの対応や反論は新たなトラブルを生む可能性大

 では、クレーマー対応で避けるべき行為は何か。その一つとして石﨑氏は、「自分で判断できないことをその場で回答すること」を挙げる。騒動を早く収めようと、責任者などに確認せずに「対応します」などと言ってしまうと、あとあと「対応できない」「違う対応をする」となった場合、別のクレームに発展してしまう。「相手から即座の回答を迫られても、その場で結論を出そうとせず、『責任者と協議のうえ、◯◯までに回答します』などと答えましょう」(石﨑氏)。また、反論や議論をするのもNG。クレーマーはもともと納得する気がなく、反論を受けるとさらに感情的になってしまう。また、味やサービスに関するクレームは、「正解のない主観的な要素も多分にあり、議論をしたところで双方の主張が平行線をたどって着地点が見つけられない場合が多いです」と石﨑氏は指摘する。ほか、動揺したり、自信のない態度で接すると、クレーマーを勢いづかせ、状況を悪化させかねないので要注意だ。

悪質なクレーマー対応には、どんな心構えが必要?

「クレーム=人格否定」と捉えず、状況を達観するのが◎

 クレームに対応する際の姿勢や心構えとして重要だと石﨑氏が上げるポイントは3つ。まず、「はきはきと話すこと」。NG行為でも触れたように、小声で話したり、口ごもると、内容に関係なく感情を逆なでする恐れがあるからだ。2つ目は、「状況を達観すること」。「批判を受けても人格を否定されたように捉えず、心の中で『無理なものは無理』と達観し、威嚇に動じないことが重要」(石﨑氏)。3つ目は、「まめな対応をすること」。相手や自分の発言を正しく記憶し、対応に関する金額や期日などの数字をしっかり記録するなど、まめな対応が求められる。「ただ、一人で対応していると、相手の圧力に押されてしまうこともあります。そんなときは、2人以上でフォローし合うことで、冷静に対応できるはずです」と石﨑氏は提案する。

事前に準備できるクレーマー対策は?

マニュアル化&ロープレ、事例の社内共有も効果的

 前もってできるクレーマー対策について石﨑氏は、「前述の初期対応の3原則をスタッフに徹底することがもっとも重要です」と語る。そのためには、最低限のとるべき対応や判断基準をまとめた簡易的なマニュアルを用意し、誰でも同じように対応できるようにすることが望ましい。「どこまでを現場のスタッフに任せ、どこから店長などの管理者が対応するか、相手の要求に対して、どこまでなら応じるのか、など線引きを明確に決めておくことは非常に重要。ここがあいまいだと現場は混乱し、スタッフの士気も下がってしまいます」と石﨑氏は注意を促す。さらに、マニュアルを読んでもらうだけではなく、定期的にスタッフ同士でロールプレイングをしたり、実際に店であったクレーマーの対応事例をスタッフに共有するのも効果的だ。

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飲食店アンケート①「クレーム対応」について聞きました

謝罪で一定数は解決。店の対策には課題あり!?

 上記は、悪質なクレームに関して飲食店に聞いたアンケート結果。Q1では、半数以上の飲食店が悪質なクレームを受けたことがあると回答しており、飲食業界の大きな課題となっていることがわかる。また、クレームが悪質だと感じた理由について聞いたQ2では、「暴言・罵倒」「事実でないことを言う・言いがかりをつける」がそれぞれ50%以上となり、「何回も同じ内容を繰り返す」も高い数値に。前ページで石﨑氏が指摘したクレーマーの特徴「話の堂々巡り」が、実際のケースとしても多いことがわかる。次に、Q3はクレームによる店への悪影響について。誹謗中傷や代金の不払いなどよりも、「店内の雰囲気が悪くなった」(57.7%)をはじめ、ほかの来店客やスタッフの業務への影響があったと感じている店が多いようだ。さらに、悪質なクレーマーへの最終的な対応で効果的だったことを聞いたQ4では、「店長など管理者による謝罪」(33.5%)がもっとも多かった。一方で、「要望に応えられないことをはっきり伝えた」(26.0%)も2番目に多く、クレーマーからの理不尽な要求に対して毅然と対応することで、事態を収められるケースも多いといえそうだ。クレーマーから店を守るために必要だと思う対策についての質問(Q5)では、「スタッフの教育」(43.9%)が一番多かったが、Q6を見ると、マニュアルを用意している店は2割以下。対策が十分とはいえない現状も浮き彫りとなった。

テーマ② 無断キャンセルからお店を守る

社会問題化している無断キャンセル。飲食店は打つ手なし?

あきらめたら試合終了。今こそ対応を見直すべき

 悪質クレームと同様に、飲食業界が抱える問題の一つに無断キャンセルがある。「言うまでもなく、無断キャンセルは飲食店にとって百害あって一利なし。用意した料理や食材を、ほかのお客さんに提供できればいいですが、刺身など鮮度が問われる食材は廃棄せざるを得ないケースも少なくありません」と石﨑氏。さらに、満席で予約を断っていた場合の機会損失や人件費のロスも大きい。「フリー客の比率が高い店なら損失分を取り戻せる可能性もありますが、大人数での宴会や貸切が増える年末の繁忙期などは、被害が甚大になります」(石﨑氏)。

 こうした問題は以前からあったが、飲食業界では無断キャンセルへの対策が十分ではなかったと石﨑氏は指摘する。「問題の根本は消費者のモラルなのですが、飲食店も最初からあきらめていたり、キャンセル料を請求する手間を惜しんだり、風評被害につながることを気にして声を上げなかったため、『何も言われない=問題ない』という認識が根付いたという側面もあります」と石﨑氏。しかし近年、学生や外国人観光客などによる大人数での無断キャンセル被害が話題となり、無断キャンセルをよしとしない風潮が広がりつつある。飲食店も潮目が変化している今をチャンスと捉え、次に紹介する予防策や発生後の対策を参考に、自店での対応を見直していただきたい。

事前確認はしてるけど… ほかにできる対策はない?

キャンセルポリシーを予約客に明示するのも重要

 無断キャンセルの予防策として、比較的多くの店が行っているのが予約客への事前確認だ(下記アンケート参照)。予約直後や来店日の前日などに電話やメールで連絡をとり、予約内容のリマインドを行うもので、「一度コンタクトを取ることで、心理的に無断キャンセルに対するハードルが上がるので、一定の効果が期待できます」と石﨑氏。ほかに、貸切や大人数での予約の場合には最低保障金として、デポジット(仮払金)を事前に支払ってもらうことも1つの手段だ。

 こういった対策とは別に、キャンセル料を設定することを前提として石﨑氏が法律的な見地から必要だと考えている対策は、「いつキャンセルをしたら、どれくらいキャンセル料が発生するのか」をまとめたキャンセルポリシーを、しっかり予約客に伝えることだ。自店のホームページやぐるなびなどのネット予約に直結しているサイトに明示するのはもちろん、電話予約の際も必ず口頭で伝えたい。「電話予約の場合は、できれば電話終了後にショートメールなどで予約内容とともに、キャンセルポリシーも送ることをお勧めします」と石﨑氏は語る。こうしておくことで、実際にキャンセル料を請求する場合に『聞いてない』『知らない』などと言われ、水掛け論になることを防ぐことができる。「実際にどこまで請求するかは別にしても、ホームページなどにキャンセルポリシーが明示されているだけで、消費者が安易な気持ちで無断キャンセルすることを防げるはずです」(石﨑氏)。

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それでもドタキャンされてしまったら、実際にキャンセル料は請求すべき?

どこまで対応するかは経営判断だが、当事者に「NO」を伝えることは重要

 では、無断キャンセルが起きてしまった場合に有効な対策は何か。前述した食材・機会ロスの被害を最小限に抑えるために、空席情報をSNSなどで発信するのも手だが、「当事者にキャンセル料を請求することで、『無断キャンセルをすると、ペナルティが伴う』と認識させることも大切」と石﨑氏。無断キャンセルは民法上の債務不履行にあたり、キャンセル料の請求は正当な権利。仮に請求の連絡を数回とっても応じてもらえないようなら、そこで区切りをつけるのが一般的だが、弁護士が回収を代行するサービスなどを利用する方法もある。「どこまで対応するかは経営判断になりますが、クレーム対応と同様、しっかり『NO』を伝えることが消費者の意識を変え、ひいては店を守ることにつながるはずです」(石﨑氏)。

飲食店アンケート②「キャンセル対応」について聞きました

キャンセル料は7割以上の店が未回収

 Q7~11は、無断キャンセルについて飲食店に聞いたアンケートの結果。Q7にあるとおり、無断キャンセル被害に遭っている飲食店は半数以上と決して少なくない。また、Q8を見ると、予約経路が電話でもネットでも無断キャンセルの発生率に大きな違いはないことが見てとれる。次に、キャンセルによる食材ロスの対策についての質問(Q9)では、ほかの来店客へ提供(有料)した店が一定数あるものの、スタッフのまかないにせざるを得なかった店も多く、「すべて破棄した」(13%)も含めて、食材ロスの問題が小さくないことがわかる。一方、Q10のキャンセル対策についての質問では、事前連絡をしている店がもっとも多かったが、次いで「特に何もしていない」店も26.5%と多く、今後の対応が求められそうだ。さらに、Q11を見ると、キャンセル料については、75%が「回収できていない」と回答。ここには、最初から請求していない店も含まれると考えられることから、石﨑氏が上記で指摘しているように、現状を変えるにはキャンセル料の回収に動くことも必要なのかもしれない。

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