2019/11/21 特集

【PART2】外国人客 受け入れキーワード10-“食の多様性”の理解とメニューづくり・提供ポイント(3ページ目)

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「メニューブック」のポイント

KEYWORD10「メニューブック」

マークなども活用し、「わかる人にはわかる」見せ方が大切!

 ハラールやベジタリアン対応のメニューブックは、「該当者のみに届ける工夫がとても大事」と守護氏は語る。例えば、「ハラール対応料理!」などと日本語でアピールすると、日本人の多くは「制限食」と勘違いし、敬遠してしまう危険性がある。外国語メニューだけに表記したり、日本語と外国語を併記するときは、目立たないように工夫し、ピクトグラムやマークで「わかる人にはわかる」ようにするとよい。「ある航空会社は、機内食としてハラール対応の『チキン』とヴィーガン対応の『パスタ』を用意していますが、一般の人にはあくまで『チキン』か『パスタ』の2択。それぞれの該当者のみに対応食であることが伝わるよう、提供されています」(守護氏)。異なる食のルールを持つ人々が、違和感なく同じメニューを選んでいる様子は、まさにフードダイバーシティの実現と言えるだろう。

 守護氏は「同じような光景が、日本の飲食店でも実現するのが理想的」と言う。例えば、日本語のメニューで「ヘルシー定食」と表記している料理を外国語メニューでは「ヴィーガン対応」とすると、どちらにも違和感がない。「実際にこの方法を採用している店では、高齢者や女性が、それとは知らずにヴィーガン食を選び、人気を博しています」(守護氏)。もちろん、同じメニューを目当てにヴィーガンも多数来店しており、外国人客と日本人が同じように食事を楽しむなど、客層が広がっている。

 外国人客がますます増え、食の多様化が広がるなか、「対応食を求められたら、そのときに考えて対処するという受け身のスタンスは、もはや通用しません」と守護氏。「そもそもムスリムやベジタリアンは、自分がマイノリティだと知っているので、日本の飲食店で対応食を主張しない」(守護氏)からこそ、飲食店側が彼らを迎える準備をし、適切な情報を発信して、安心して日本の食を楽しんでもらえるようにすることが大切だろう。

「ぐるなび外国語版」メニューページの一例。写真のほか、外国語と食材と調理法なども明記し、ムスリムやベジタリアンが、店を選びやすくなるよう工夫することが大切だ

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