2012/03/27 特集

これだけはおさえておきたい!食の安心・安全ガイド(2ページ目)

URLコピー

食品表示について

ニーズの高まりを理解してケースバイケースの対処を

衛生管理と並んで、飲食店の経営に携わる人なら押さえておきたいのが、食品表示に関する知識。なかでも重要なのが、「期限」と「アレルギー」という2つの項目だ。

「お店のメニューをテイクアウト販売や通販する場合、食あたりなどのリスクを避けるためにも適切な期限表示は不可欠。また近年では、食物アレルギーをお持ちのお客様も確実に増えています。ただ難しいのは、食品表示について国が定めたルールがかなり複雑だということ。商品の内容や業態によっても、必要な表示項目は変わってきます。お店側としては、まず消費者の安心・安全へのニーズが高まっている現状をしっかり把握したうえで、専門家のアドバイスも聞きつつ、個別に対処する姿勢が大切です」(前出・佐川一史氏)。

1. 飲食店のメニューをテイクアウトで販売する場合、食品表示は必要?

最近では、テイクアウトメニューを充実させる飲食店も増えてきている。例えば、ランチに弁当や惣菜類を販売したり、人気のタレやドレッシングを持ち帰り用に売り出したりと、様々なケースがあるだろう。このような場合、店側に表示義務はあるのだろうか?

「その場で作ったメニューを対面式で販売するテイクアウトの場合、厳密に言うと、『期限』『アレルギー』などの表示の義務はありません。不明ならば、すぐ店員に尋ねることができるというのが理由です。ただ、安全性の面からも、最低限の表示は自主的に行なう方がベターだと思います」(佐川氏)。

2. 表示が義務付けられているのは、どういう商品?

簡易的なテイクアウト販売の場合、食品表示がなくても法律的には問題にならない。では、どんな商品で、食品表示が義務付けられているのだろうか。

「その場で作ったメニューではなく、最初から容器包装された加工食品として販売する場合、店は必ず食品表示をしなければいけません。まず店内で作った食品を包装して販売するケース。この場合は『食品衛生法』により、添加物、アレルギーなど6項目の表示が必要です(右の表を参照)。一方、他社に委託して製造した商品を販売する場合は、『食品衛生法』に加えていわゆる『JAS法』の範疇にも入るため、項目数は同じ6つでも、より詳細な記述が求められます。いずれの場合も、まずは専門機関に相談することをおすすめします」(佐川氏)。

必要な表示事項

店内(自社)で製造した商品を包装して販売する場合

  • 名称
  • 添加物
  • アレルギー
  • 期限表示
  • 保存方法
  • 製造者

他社(工場)に委託して製造した商品を販売する場合

  • 名称
  • 原材料名(食材、添加物、アレルギー)
  • 内容量
  • 期限表示
  • 保存方法
  • 製造者

※食品の種類によって、上記以外の項目が必要になる場合があります

3. 「賞味期限」と「消費期限」ってどう違う?

あらかじめ容器包装された加工食品には、「賞味期限」、または「消費期限」の表示が義務付けられている。この2種類の違いについてはどう考えればいいのだろう。

「賞味期限とは、基本的に『おいしく食べることができる期限』のこと。自家製のタレやドレッシング、ジャムなど日持ちがする加工食品の場合は、こちらを使うのが一般的です。一方の消費期限は、『その日を過ぎると食べない方がいい』期限。弁当、惣菜、サンドイッチ、生のケーキなど傷みやすい食品はこちらになります。これら2つのどちらを表示するかは、お店の判断となります」(佐川氏)。

賞味期限

開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、おいしく食べられる期限

  • ジャム
  • ドレッシング
  • タレ
  • レトルト食品

など

消費期限

開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、食べても安全な期限

  • お弁当
  • サンドイッチ
  • お惣菜
  • 生麺

など

4. 賞味期限・消費期限は、どのように決めればいい?

店の判断といっても、客の安心を考えると、やはりきちんとした期限を表示したいもの。その際、期間はどう設定すればよいだろう。

「保存期間で難しいのは、一般的な目安が立てにくいことです。例えば同じドレッシングでも、原材料や包装の仕方などで日持ちする期間は変わります。重要なのは自分たちで食味検査をして、経時変化をチェックすること。保存期間の長い食品については、専門機関に依頼し、厳密な細菌調査等を行なうといいでしょう」(佐川氏)。

全3ページ